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ネタニヤフ首相がギャラント防衛相解任は赤線超え
司法制度改革に反対するイスラエル軍予備役兵が急増する中、あらたに予備役パイロット1000人が、政府の招集に応じないと表明。防衛に大きな危機が迫っているとして、25日(土)、ギャラント防衛相が、ネタニヤフ首相にこの法案プロセスを停止するようにと公の声明を発表した。
すると、その翌日26日(日)、ネタニヤフ首相は、ギャラント防衛相の解任を発表し、あくまでも方針を貫く姿勢をみせた。
しかし、首相と防衛相は、イスラエルにとってニコイチでなければならない最重要の存在である。ギャラント防衛相が、この法案に反対を公言して、ネタニヤフ首相に反旗を翻せば、それは、国にとっては赤線になるといわれていた。
テルアビブから全国へ60-70万人デモ:“蜂起”報道も
その予想通り、ギャランどテルアビブでは、アヤロン高速道路を封鎖する“マンモス級”とまでと言われる大規模なデモが発生。警察は暴動処理班を発動させて、これをとりしまろうとした。このため、現場は暴力的なカオスになる場面もあった。
Sending love to friends, family and colleagues in Israel this evening. Israeli democracy will prevail ❤️🇮🇱pic.twitter.com/klZwG9FxFX
— Yiftah Curiel (@yiftahc) March 26, 2023
これに輪をかけたのが、ネタニヤフ首相が、ロンドンを訪問中に、ユダヤ教規定認証を受けていないレストランに行き、そこでロブスターを食べていたというニュースである。ネタニヤフ首相がいかにイスラエルからかけ離れているかとの感情にまで火がついてしまったようである。
エルサレムでは、首相官邸前のバリケードを突破する様子が報じられ、チャンネル12は、「蜂起」という言葉さえ使ってこれを報じた。
The moment protesters break through barricades in front of Prime Minister's residence. One newscaster calls this by its name, a popular uprising. Tomorrow a nationwide strike is on horizon, joined by universities. The military is more fragile than ever. pic.twitter.com/GegHPKo6UK
— Louis Fishman لوي فيشمان לואי פישמן (@Istanbultelaviv) March 26, 2023
月曜から全国最大の労働デモへ:ベングリオン空港閉鎖で旅行者のキャンセル出始める
デモ隊は、さらに大きなデモに備える勢いである。反発は、学校や病院へも拡大しており、月曜から休講や、病院までもがストになるみこみとなっている。さらには、ベングリオン空港がストに入ったか、飛行機の発着に影響が出ており、旅行者のキャンセルも出始めている。
司法制度改革プロセス停止するか?:ネタニヤフ首相はどう決断
こうした状況の中、ヘルツォグ大統領が、政権に対し、司法制度改革を停止するようにとの声明を出した。またアメリカ政府や、からも、ネタニヤフ首相にデモ隊の声に耳を傾けるようにとの警告が次々に届いている。
実際のところ、ニール・バルカット前エルサレム市長はじめ、政権内部には、この法案に反対する議員も少なくないようである。しかし、それを口にだせば、ギャラント防衛相のように即、解任になることから、沈黙を続けているといわれていた。そうした議員たちが、今、政府内でも声を上げ始めているとの記事もある。
しかし、右派政党や極右政党、ユダヤ教正統派は、今も改革の撤回に反対しているという。27日朝に、ネタニヤフ首相が声明を発表とのことだが、さすがに、この司法制度改革は停止させるのではと発表するとみられている。
当初は朝10時(日本時間午後4時)とも言われたが、今11時半(日本時間5時半)でまだ発表はない。
石のひとりごと
激しい衝突ではあるが、死傷者が出ていないことは幸いである。しかし、ニュースで拾い上げらきれていないが、イスラエルは、非常に際どいところに立っている。
パレスチナ人との関係が悪化する中、ラマダンに入っている。ラマラやフワラなどで、衝突も報告されている。
またシリアのイラン軍関連への攻撃は、毎週1回から2回というペースで実施されている。幸い、イランやヒズボラの反撃はなく、シリアもロシアも中東諸国もアメリカもこれについては黙認している。ただ幸いというしかないような、きわどい状況である。
こうした中、来週からは過越の休暇が始まる。100万人からのイスラエル人が海外に出るとも推測されている。いったいどんな過越の休暇になっているのだろうか。予想外の平穏になっていればよいのだが。イスラエルという国、まったくもって、激しすぎる様相である。。