人質男性3人の家族が拉致時の映像を公開:人質と家族101人がUNRWAを起訴 2024.6.25

人質男性3人拉致の映像を公開:10月7日に殺されたのは息子だと両親が世界に訴え

先に10月7日にハマスに拉致された女性5人の家族が、ハマスが送りつけてきたその瞬間の映像を公開したが、24日、続いて男性3人が拉致される瞬間の映像を、家族が公開に踏み切った。

映像は、数人のハマスが、ライフルを掲げて、アラー・アクバルと狂ったように叫んでいる中、猛スピードで走る軽トラの中の映像である。

かなり早いスピードで動いているので一瞬一瞬ではあるが、ハーシュ・ゴールドバーグ・ポリンさん(23)、オール・レヴィさん(33)、エリヤ・コーヘンさん(26)が写っている。3人の顔は、殴られたか、血まみれで恐れにみちた表情である。

3人は、最も被害が大きかった音楽フェスティバル(364人殺害、40人拉致)で被災した人々である。ハマスがきた時、3人は、近くのシェルターに駆け込んでいた。

この時、10人用のシェルターに30人がぎっしり入っていたことがわかっている。

ポリンさんは、友人のシャピラさんと一緒にいたが、シャピラさんは、手榴弾をハマスに投げて逆に、ハマスの手榴弾で殺された。

ポリンさんは、その後、4月にハマスがポリンさんの映像を発表した時に、左腕の肘から下を、失っていたことがわかっている。

mtolive.net/ハマス心理作戦か:人質男性の反ネタニヤフ声明/

エリヤさんは、同じシェルターにガールフレンドのジヴさんらと隠れていた。多くが殺されたあと、エリヤさんたち2人は、違いに手を繋いで遺体の下に隠れていたが、エリヤさんだけが、引っ張り出されていったという。

オールさんとその妻エイナブさん、まだ幼児の息子アルモグちゃんも、このシェルターに逃げ込んでいた。オールさんはその場で殺されたが、エイナブさんとアルモグちゃんは、拉致された。

この映像は3つのパートからなっており、イスラエル軍が、ハマスとの戦闘の中で発見したクリップだった。先週、家族に引き渡した後、人質フォーラムと家族が、公に公開することを決めた。

家族たちは、政府は人質を見捨てている。世界に10月7日、息子たちに何があったかを知ってもらうために公表に踏み切ったと言っている。写真は、ポリンさんの両親。(スクリーンキャプチャ)

www.timesofisrael.com/hostage-families-release-hamas-video-showing-3-sons-abduction-into-gaza-under-fire/

人質100人以上の家族がUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)に10億ドル要求の訴え

24日、解放された人質本人たちと、殺害された人質、まだ解放されていない人質の家族たち101人が、UNRWAに対し、ハマスを補助したとして、10億ドルを要求する訴えをニューヨークで起こした。訴えは167ページにも及んでいる。

その一つは、UNRWAが、その学校を含む管轄の市民センターをハマスの武器庫や拠点として使わせていたことである。ガザのUNRWA中央事務局の下からは、ハマスの指揮センターとそれにつらなるトンネルが発見されていた。

5月には、ラファのUNRWA物流センターで、その職員とハマス戦闘員が一緒に立っている様子をドローンが撮影されていた。こうした動きは、ガザ市民たちに、ハマスが、テロ組織雨ではなく、公的機関であるかのような錯覚を起こさせる結果になった。

訴えには、ハマスによるイスラエル人誘拐、ガザでの投獄中の拷問、虐待が含まれているが、それがUNRWA施設関連の場所で行われていたことから、UNRWAは共犯に値するとしている。

次に、UNRWAの現地職員はUSドルで給与支払いを受けているという点。ガザでの通貨はシェケルである。職員たちは、ドルをシェケルに換金しなければならない。その際、ハマスが10-25%という、法外な手数料を取って、結果的に、ドルがハマスの手に入る仕組みが続けられている。

起訴はまた、UNRWAの現フィリップ・ラザリーニ事務局長から、前任長官7人までを訴えの対象としている。

元長官で、現在はUNRWA高官、ならびに国際赤十字委員会事務局長である、ピエール・クレーンビュール氏や、国連難民高騰弁務官のフィリッポ・グランディ氏も訴えの対象である。

UNRWAの教科書には、子供たちがいかにイスラエルを敵視するべきかという項目が、どれほど指摘されても削除されなかった。

結果、幼い時から、パレスチナ人の子供たちは、イスラエルを憎み、戦うことを正当化して成長している。結果、イスラエル人を殺すことになんの罪意識も持たないテロリストを生み出すこととなった。

イスラエル人たちは、UNRWAとその指導者は、私の子供たちと家族の殺害に完全に加担していると訴えている。

なお、イスラエルのギャラント防衛相は、今年2月の段階で、ガザのUNRWA職員1万3000人のうち、1468人、言い換えれば、少なくとも12%はハマスとイスラム聖戦と癒着状態にあり、園中でハマス185人、イスラム聖戦51人は、正式なUNRWAの職員であったと発表していた。

国連の車で遺体を拉致するUNRWA職員 IDF

さらに、UNRWA職員の少なくとも12人が、10月7日の奇襲に積極的に参加し、30人は、略奪や人質の拉致を助けたとしている。

UNRWAのラザーニ現長官はこれに対し、イスラエルが、UNRWAを解散させようとしているとして、世界に阻止するよう訴えた。UNRWAはガザだけでなく、中東全域で活動しており、解体された場合、各地のパレスチナ人に支援が届かなくなるからである。

www.timesofisrael.com/october-7-victims-sue-unrwa-for-1-billion-claiming-it-aided-and-abetted-hamas/

石のひとりごと

人質家族たちの言っていることは、真っ当な訴えである。しかし、世界はどこまでこれに耳を傾けるかは、残念ながら、あまり希望は持てない。逆にUNRWAを解散せようとしているとして、非難されるかもしれない。

しかし、世界に1億2000万人もいるとされる難民の中で、パレスチナ人たけが、特別な国連機関に支えられている。またイスラエルが建国してからもう76年になるのに、まだ延々と難民でありつづけている。UNRWAは、自立させるという目標に完全に失敗している。

世界は不条理をもはや止められなくなっているように思う。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。