アメリカの原子力科学者たちが、世界情勢を見ながら管理する「世界終末時計」が、今年1月23日、2分進められ、夜中(人類の終末)まであと3分に設置されていたことがわかった。
世界終末時計は、第二次世界大戦後の1946年、マンハッタンプロジェクトで、広島と長崎に投下した原爆を開発した科学者たちによって始められたもの。世界の核兵器開発状況などから、人類の滅亡までどれぐらい近いのかを世界に警鐘を鳴らすことを目的としている。
原爆では、一瞬にして数十万人が死亡したことから、科学者たちの間に、深い罪意識とともに、核開発が人類滅亡につながりうるとの認識が生まれたのである。
世界終末時計は、時計が設置された1946年以降、多数のノーベル賞受賞科学者を含む原子力科学者たちによって針が動かされ、Bulletin of the Atomic Scientists (原子力科学誌)の中で発表している。
実際の時計はシカゴ大学にあり、針が動く時には、メディアにも発表される。
時計といっても、針は11時45分から0時までの間を動くだけである。これまでに米ソが核実験を競って行った1952年には、0時(終末)まであと2分。米ソが戦略兵器削減条約に調印した1991年には17分まで針が戻された。
最近では核兵器問題に加えて、異常気象も判断の基準になっている。これまでに時計が動かされた時のできごとは以下のサイトで見る事ができる。
thebulletin.org Bulletin of the Atomic Scientists
原子力科学誌主任のケネット・ベネディクト氏は、今年針を進めた理由として、①異常気象が続いているが、対処がなされていないこと、②核兵器をめぐる競争について、世界の指導者たちは、そのスケールの大きさとスピードについていけていないとして、人類滅亡への危機が近づいたと判断したと語った。