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ロッド市でアラブ人の暴徒化
昨日、エルサレムでのパレスチナ人とイスラエルの治安部隊との衝突に合わせて、テルアビブからそう遠くないロッド市(イスラエル国内)でアラブ人のデモが発生。暴徒化して、イスラエルの旗を引き下ろすなどの過激な行為に出た。
市内に在住するユダヤ人たちにも迫ってきたとのことで、ユダヤ人がその中の1人(34)を銃殺するに及び、警察に逮捕された。
死亡したのは、ムーサ・ハソーン(25)で、翌朝に行われた葬儀にはアラブ人多数が出席した。その後アラブ人たちは暴徒と化し、シナゴーグや店舗、車両などに投石したり、放火してまわった。警察は催涙弾を使うなどして、大規模な衝突となった。
市内はカオス状態となり、ロッド市市長は、「内戦の様相だ」と言っている。また、シナゴーグに放火で燃え上がる様子から、ナチス時代のクリスタルナハト(水晶の夜)という言葉を使って伝えるメディアもあった。
ロケット弾のサイレンが鳴る中での、この騒ぎはまさに尋常を大きく逸している様相と言える。
www.ynetnews.com/article/B100tnmOdO
これほどのは、大きくなかったが、テルアビブ南部のヤっフォでも警察との暴力的な衝突が発生しており、今後こうした動きが広がらないか懸念されている。
ロッドに特別非常事態宣言
シナゴーグが放火されるほどのカオスになっているロッド市の様相から、ネタニヤフ首相は緊急に治安関係者を招集し、ロッド市に特別緊急事態宣言を発動。今夜からは、西岸地区から国境警備隊が応援に駆けつけることになっている。
クリスタルナハト(水晶の夜)とパレスチナ自治政府の動きに類似点?
1938年(ナチスが政権についてから5年目)11月9日と10日の夜、ベルリン、ウイーンはじめ、ドイツ全土、併合オーストリアや、チェコスロバキアなどで、暴徒がユダヤ人の商店やシナゴーグを襲撃してガラスを破壊したり、放火したりした事件。
この2日間で、267のシナゴーグが破壊され、7500のユダヤ系商店が破壊された。ユダヤ人91人が殺害され、女性たちはレイプの被害を受けた。さらにユダヤ人男性3万人が、強制収容所へ送られたのであった。この暴動は、一般ドイツ市民による自然発生的なものだとナチスは主張した。
この暴動の前に、ナチスが、ポーランド系ユダヤ人を極寒の中、追放したが、その中に両親がいることを知って怒ったユダヤ人へーシェル・グリンスパン(17)が、パリで、ドイツの外交官を銃殺するという事件が発生する。
ゲッペルスはこれを使って、ユダヤ人が暗殺を企んでいると吹聴。ユダヤ人への暴力を正当化して人々を煽動したと言われている。またヒトラーが、自然発生的な暴動はそのままにしてよいとしたため、ナチス党員の中には、一般市民の服装で、暴動を煽ったという。
この夜は、警察や消防隊もシナゴーグなどが燃えていても、隣の非ユダヤ人宅に被害が出るまでは、出動しなくて良いとの指示が出されていたのであった。
encyclopedia.ushmm.org/content/ja/article/kristallnacht
今回の暴動でも、パレスチナ人たちが、悪の根源はイスラエルにあると信じ込んでいる点があげられる。
パレスチナ自治政府では、5月22日に、ハマスも含めて15年ぶりとなる議会選挙を行うことになっていた。ハマスも一般市民も今のアッバス議長体制に辟易していたので、選挙への期待は大きく、投票に行くと言っていた有権者は90%を超えていた。
しかし、最終的に、自分に不利と見たアッバス議長がこの選挙はキャンセルにした。その理由として、アッバス議長は、東エルサレムでの投票をイスラエルが、認めなかったこと(事実ではない)を挙げた。選挙のキャンセルはイスラエルにあると名指しした。
このため、人々の中に、すべては、東エルサレムを“占領”しているイスラエルが悪いという潜在的な思いに火がついた上に、神殿の丘での衝突となり、イスラムの聖地が危ない・・・とどんどん憎しみが煽られていったということである。