ベネット政権を支持して与党の過半数を可能にしている、イスラム教政党ラアム党のアッバス氏は、先月の神殿の丘問題で、政権への支持を保留にすると発表。
以来、今もベネット政権との交渉を続けており、まだ正式には、政権復帰を表明するまでには至っていない。このままであれば、ベネット政権は、過半数割れのままである。
こうした中、30日、ハマスのヤヒヤ・シンワルが、公のスピーチの中で、イスラエル人15人を殺害した先月のテロ事件を称賛。ついで、ラアム党のアッバス氏は、最悪の裏切り者だと非難した。
アッバス氏は、イスラエルの存在を認め、その中でアラブ人の権利を守ろうとしている立場をとっているからである。「イスラエルはユダヤ人の国であった。これからもユダヤ人の国だ。」と明言し、その中で、アラブ系住民を代表するという、現実的で勇気ある政治家であるといえる。
しかし、シンワルは、「アラブ人であるのに、ユダヤ人の国を認めることは最大の堕落だ。アルアクサ(神殿の丘)を売り渡しているのに、大した成果はあげていないではないか」と罵った。
これに対し、アッバス氏は、「私は、イスラエルの国内で、イスラエルの人々とパレスチナの人々の間の、パートナーシップと互いを受け入れるための話し合いを行っている。このプロセスが、平和につながると信じている。」と返答。
「ハマスにはなんの借りもない。彼はガザのことをするし、私たちはここでイスラエルのアラブ人のために働いている。彼に関係なく、私たちは自分たちで決断する。」とシンワルを一蹴したのであった。
<石のひとりごと:勇気ある現実派政治家たち>
ベネット首相は、先月、家族宛に、銃弾薬入りの私の脅迫状を受け取った。右派でありながら、現実的に、右派のイデオロギーだけを掲げていたのでは解決がないと悟って、今の統一政権を率いることになったのであるが、右派たちからは裏切り行為にしか見えないのである。
同様に、アッバス氏も、アラブ人であるのに、イスラエルはユダヤ人の国と認めると明言することで、現実的に、アラブ系住民の権利を守ろうとしている。しかし、アッバス氏もまた、ハマスだけでなく、イスラム教徒たちからの脅迫を受けているとニュースをみたことがある。
ベネット首相とアッバス氏。なんとか交渉を成立させ、政権運営を共につづけていってくれればと、これは個人的な思いである。