デンマークの主都コペンハーゲンで発生した銃撃テロ。14日(土)、言論の自由を訴える集会を開催していたカフェへが銃撃され、市民1人が死亡したのに続いて、その夜15日深夜過ぎに、シナゴーグが襲撃され、ユダヤ人のボランティア警備員1人が死亡。警察官2人が負傷した。
被害にあったシナゴーグでは、この日、80人が出席して、バットミツバ(12才女子の成人式)が行われていたが、幸い、襲撃は内部にまでは至らなかった。犠牲となった警備員は、ダン・ウダンさん(37)。母親がデンマーク人、父親がイスラエル人だった。
犯人は犯行後、徒歩で逃亡。大規模な捜査が行われていたが、数時間後、家に帰って来た犯人を警察が呼び止めたところ発砲したため、その場で射殺された。2件の銃撃事件が同一犯によるものかどうかはまだ確定していないが、可能性は高いとされている。
朝のカフェで標的になったと思われる人物は、預言者モハンマドの風刺画を書いた人物であり、以前から殺害予告されていたことと、その後、襲撃されたのがユダヤ機関であったことから、政治的背景、つまりはテロとの味方が強まっている。
コペンハーゲンでは、現在、相当な数の警察官を配備して警戒態勢を続けている。
バットミツバに出席していたラビは、「ユダヤ関係施設の警備強化は、以前から訴えてきた。パリでの銃撃事件のあと、警備は強化されたが、十分ではなかった。」と語っている。
Yネットによると、デンマークにいるユダヤ人は7000人。このうち5000人がコペンハーゲンにいる。デンマークでの反ユダヤ主義は、昨年のガザ紛争以来、特に悪化しているという。
<リーバーマン外相・ネタニヤフ首相コメント>
リーバーマン外相は、事件を受けて、「イスラム過激派と、欧米。自由社会との戦いにおいては、まずユダヤ人が狙われる。ユダヤ人がこの戦いの最先端にいるからだ。各国は、非難決議やラリー(デモ行進)ではなく、イスラム過激派を根から壊滅させる対策を講じるべきだ。」と訴えた。
ネタニヤフ首相は、今週の閣議開始にあたり、「ヨーロッパで、再びユダヤ人が、ユダヤ人だからという理由で殺された。ヨーロッパでのこうした反ユダヤ主義行為は、これからさらに悪化すると思われる。
各国が治安強化をはかることは大切だが、ヨーロッパのユダヤ人は、大挙してイスラエルに移住すべきだ。」との声明を出した。またネタニヤフ首相は、ヨーロッパとウクライナの移住促進プログラムに新たに1億8000万シェケル(約54億円)の計上を議論するとしている。
ユダヤの家党のナフタリ・ベネット党首は、「ヨーロッパでのイスラム過激派の台頭に大変懸念している。イスラエルはユダヤ人社会の自衛をある程度助けることはできる。しかし、ヨーロッパにいるユダヤ人の保護の責任は、最終的にはその国の政府にある。
イスラエルがいつでも受け入れる用意をして待っていることを知らないユダヤ人はいない。ユダヤ人自身が、こうした攻撃は単発ではないことに目覚め、イスラエルへ帰還することを決めなければならない。」と語った。
また、「国際社会は、自由世界の最先端で戦っているイスラエルを助けるべきであって、その手を縛り上げることではない。」とも語っている。