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4月22日ウクライナ情勢まとめ:マリウポリ制圧・ウクライナ東部への激しい攻撃
1)マリウポリ制圧・ドンバス地方で激しい戦闘
ウクライナに侵攻したロシア軍は、キーフを一段落して、東南部の制圧をすすめながら、特にマリウポリへの激しい攻撃を行っていたが、21日、これを制圧したと発表した。しかしマリウポリの製鉄所地下には、まだ2000人以上のウクライナ兵(アゾフ部隊)と1000人以上の市民が残されているとみられており、ウクライナ側は、ロシアによる制圧を否定している。
この製鉄所の要塞へは、ここ数日かなり激しい攻撃が行われていたが、プーチン大統領は昨日、マリウポリは陥落したとして、もはや製鉄所への攻撃は不要とし、完璧な包囲を続けるよう指示したとのこと。言い換えれば兵糧攻めである。
これに先立ち、ロシア軍は、マリウポリに人道回廊を開設し、市民を避難させることに合意したため、ウクライナはバス90台を準備した。しかし、ウクライナ側によると、結局、途中で戦闘になり、稼働できたのはバス7台のみだったとのこと。マリウポリのボイチェンコ市長によると、市内の施設は90%が破壊されたが、その中にまだ市民10万人が残されている。
マリウポリを制圧したとするロシアは、今、ドンバス地方(ルガンスク州、ドネツク州)の完全制圧をめざし、激しい攻撃が行われているもようで、すでにクレミンナという町が制圧されたとのこと。ここでも、キーフ周辺のブチャのような虐殺が行われているのではないかと懸念される。24日は、ロシア正教の復活祭だが、プーチン大統領はこの日の停戦も否定したとのこと。
news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000252181.html
また、ロシアは、21日、大陸間弾道ミサイル(5700キロ射程)の実験を行い、成功したと発表した。西側への警告ともとれる。
2)ウクライナ人のロシア化政策か
NHKによると、ウクライナ人避難者770万人(人口17.5%)だが、避難先から戻った人277万5000人(半数はキーウ含む北部出身者)にのぼるとのこと。ウクライナでは、18-60歳の男性は国外にでられないので、国外避難者は、女性と子供たちが9割以上である。やはり国外の厳しさに耐えられなかった人もいるようである。
国外避難先で最も多いのはポーランドで280万人、次にルーマニアの75万人となっている。アメリカは10万人を受け入れる予定で、これまでに1万5000人を受け入れている。
一方、ウクライナ国内で避難している人は710万人。その中で最も多いのが、リビウ周辺など西部地域で、28万2000人だが、その他は、国内のどこかで避難しているとみられる。
news.yahoo.co.jp/articles/9f84b6248ab3f3f2d9f843b1b93569997b017cf0
ウクライナ人口は、侵攻前で、3700万人(クリミア半島と東部2州を除く)なので、ロシアの侵攻で、国民のおおむね半分が自宅を出て、国内外で避難民になっているということになる。子供は、3分の2近くが、国外に出ているとのこと。次世代がこれほどの失われているということは、まさにウクライナという国がなくなってしまうということもありうることを意味する。
また、ウクライナ側情報によると、ロシア軍は、ウクライナ人40万〜50万人を強制的に連行し、身分証明書を没収して、シベリアも含むロシア各地に離散させ、ロシア人かを図っているとみられている。
ロシアは、これらの人々は、自分でロシアに行きたいと言ったと主張しているが、漏れてくる情報によると、強制的にとか、騙されてとかで、本人の意思とは関係なく連行された人は確実にいるようである。
time.com/6160765/ukrainians-taken-to-russia/
2)G20機能不全:アメリカがさらなる軍事支援を発表
やりたい放題にみえるロシアだが、西側諸国は基本的に、ウクライナと一緒に戦うことができないので、経済制裁の他は、武器支援、人道支援を行うしかない。こうした中、21日、ワシントンで、G20財務相・中央銀行総裁会議が、なんの共同声明も出せないまま閉幕となった。
理由は、ロシアも代表が出席(オンライン)しており、アメリカとイギリスが、ロシア発言時に退席したほか、各国が、侵攻を直ちにやめるよう、ロシアに訴えて、肝心の経済関係の話し合いができなかったということである。G20の加盟国の中には、ロシアとの経済活動を維持している国もあり、一致するはずがないのである。
世界の経済は、今、コロナ危機に続いて、ウクライナ戦争で、かなり混乱している。すでに食糧危機になっている国もある。それらに対処するはずだったG20経済相会議が機能不全に陥ったということは深刻な事態である。
こうした中、アメリカのバイデン大統領は、ウクライナに対し、あらたに8億ドル(1000億円)分の軍事支援を行うと発表した。榴弾砲(戦車破壊様ミサイル)や、攻撃用ドローンなど、より攻撃的なものも含まれている。これまでのアメリカの軍事支援は、26億ドルである。
加えて、追加経済支援も5億ドルとも発表している。こちらは合計10億ドル。ロシアのおかげでアメリカの出費も相当なものである。
www3.nhk.or.jp/news/html/20220421/k10013593361000.html
マリウポリ周辺で集団墓地200以上の可能性:衛星写真より
上記のように、ロシアのウクライナへの侵攻が次の段階に入ったとも言われている中、衛星写真から、マリウポリの西、20キロのマンフシュ村の近くに、200以上の墓とみられる集団墓地があるとの報道が出て、イスラエルでは、現代の「バビ・ヤール」だとの報道が出ている。
バビ・ヤールとは、1941年にナチスドイツが、東方旧ソ連方面への侵攻を開始した際に、キーフに近い森に、ユダヤ人に巨大な穴を掘らせ、その上に人々を裸にして並ばせ、銃殺した穴のことである。この時、ユダヤ人3万3771人以上が3日間で殺害された。ウクライナ政府は最近、この場所に記念施設を建設したばかりであった。
衛星写真によると、3月19日の時点から、写っている墓地が徐々に拡大し、4月3日の写真では、墓地が85メートルにまで拡大しており、200人分の墓ではないかということである。地域は以前から、ウクライナ当局が、ロシア軍が、遺体を運び込んでいるとみていた場所であった。
ウクライナ当局は、最大9000人がここに葬られている可能性があると語っている。
www.timesofisrael.com/a-new-babyn-yar-satellite-photos-show-possible-mass-graves-near-mariupol/
91歳ホロコーストサバイバーがマリウポリ地下避難中に死亡
マリウポリでは1月以上も人々が地下で避難生活を強いられてきた。水も電気も食糧もなく、凍える状態である。4月4日、ホロコーストサバイバーのヴァンダ・セミオノブナ・オビエドコワさん(91)が、マリウポリの地下に避難している中で、死亡していたことがわかった。
ヴァンダさんは、1941年10月、10歳の時に、ナチスドイツが、マリウポリに攻めてきて、ユダヤ人を虐殺しまわったとき、地下に避難した。しかし、この時、ヴァンダさんの母親はナチスに銃殺されたという。ヴァンダさんは、ユダヤ人でなかった父親の助けで、その後2年、病院で匿われて助かった。
戦後は、マリウポリに戻って、ユダヤ人コミュニティで熱心に奉仕していた人だった。今回は、娘のラリーサさんと地下の避難することになったが、過酷な環境に、体力的にも耐えられなかったとみられる。ラリーサさんは、ヴァンダさんを近くの公園に埋葬し、その後、マリウポリから避難している。
ロシアのウクライナ侵攻で、死亡したホロコースト・サバイバーはヴァンダさんが2人目とのこと。
石のひとりごと
プーチン大統領は、ウクライナ侵攻の理由を非ナチ化だと言っていたが、いかんせん、プーチン大統領自身がナチになっているようである。またプーチン大統領が、今やっていることからは、紀元前586―538年に、バビロンが来て、イスラエルの国を滅ぼし、多くの民を捕囚に連行していった時のことを思わされている。聖書に以下のような箇所があった。これは、かつてのバビロンの王、ネブカデネザル王に関することである。
王さま。いと高き神は、あなたの父上ネブカデネザルに、国と偉大さと、光栄と権威をお与えになりました。神が彼に賜った偉大さによって、諸民、諸国、諸国語の者たちはことごとく、彼の前に震え、おののきました。彼は思いのままに人を殺し、思いのままに人を生かし、思いのままに人を高め、思いのままに人を低くしました。
こうして彼の心が高ぶり、彼の霊が強くなり、高慢にふるまったので、彼はその王座から退けられ、栄光を奪われました。そして、人の中から追い出され、心は獣と等しくなり、野ろばとともに住み、牛のように草を食べ、からだは天の露にぬれて、ついに、いと高き神が人間の国を支配し、みこころにかなう者をその上にお立てになることを知るようになりました。(ダニエル5:18-21)
この箇所を読みながら、ちょっとプーチン大統領を想像してしまった。こんな好き放題がいつまでも放置されるはずはない。天地創造の神が、どのようにこの事態を扱われていくのかと思いながら、プーチン大統領が、自分よりも上におられる主を知るようになる時が来ることを祈った。