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ラピード外相が外遊で、その名をあげているが、ベネット首相もイスラエルの新首相として、国交のある国々、周辺諸国の首脳たちとの電話での会談を進めている。そのまとめは以下の通り。
アメリカ:バイデン大統領:最大の友好国
バイデン大統領は、ベネット首相と、ラピード次期首相が新政権を立ち上げるとすぐに、祝いを述べ、その日のうちに、ベネット首相と電話会談を行った。バイデン大統領は、アメリカとイスラエルは、他に類をみない友好国であると表明している。
また、ベネット首相を7月にもホワイトハウスに招くとして、準備がすすめられているとのこと。イラン問題など、打ち合わせすることは多いとみられる。
しかし、パレスチナ問題について、アメリカは、イスラエルが、パレスチナ人テロリストの家を破壊することや、西岸地区への入植活動には反対する立場である。これについても、アメリカとの打ち合わせが必要である。
ロシア:プーチン大統領:シリア・イラン情勢で協力必要
7月5日、ベネット首相は、プーチン大統領と電話会談した。ベネット首相は、ロシアが中東地域(特にシリア)の治安維持に大きな役割を果たしているとして感謝を表明した。シリアにはイラン革命軍の進出拠点を、イスラエルが攻撃することをある程度ロシアに黙認してもらっているという関係にある。
こちらも近く首脳会談を行うことで合意している。
なお、ベネット首相は、官僚時代、2020年1月、アメリカからモスクワ経由でイスラエルへ帰国途中、薬物所持でロシア政府に逮捕されたイスラエル人女性を引き取りにモスクワへ行くという経験をしている。この女性ナアマ・イッサカルさんは、ロシアで7年間の収監を命じられたが、プーチン大統領の恩赦によって、帰国できたのであった。ベネット首相は、これについてもプーチン大統領に感謝を述べた。
エジプト:シーシ大統領:ガザ情勢、人質交換などパレスチナ問題で協力必要
6月28日、ベネット首相は、就任からまだ2週間ほとのころ、エジプトのシーシ大統領と電話会談した。イスラエルとガザとの停戦は、時間の問題とも言われており、今後、エジプトの協力は、イスラエルにとっても非常に重要である。
現在、ガザ地区には、カタールからの現金が国連を通して搬入されることになっており、イスラエルは、現金がハマスの手に流れることがないよう、注目しているところである。
両首脳は、イスラエルとエジプトが国交を結んで40年になることを感謝した。また、今、エジプトが、イスラエルとパレスチナの仲介者として努力し、特にガザで捕虜になっているイスラエル人とイスラエル兵の遺体の返還についての交渉を、カイロで行えていることにも感謝を表明した。
www.timesofisrael.com/bennett-talks-to-egypts-sissi-for-1st-time-as-pm-they-agree-to-meet/
この後、ラピード外相が、ブリュッセルで行われているEUでの会議の場で、エジプトのシャウクリー外相と会談。ガザ地区に復興支援のシステムから、イスラエル人の捕虜についても話し合ったとのこと。
また、エジプトのメディアが、ラピード外相へのインタビューを行った。エジプトがそこまでイスラエルに対してオープンになるのは、久しぶりとのこと。
على هامش زيارته الحالية إلى بروكسل.. وزير الخارجية #سامح_شكري يلتقي نظيره الإسرائيلي يائير لابيد ويؤكد على ضرورة التحرك العاجل نحو حلحلة الجمود الراهن بين الجانبين الفلسطيني والإسرائيلي وصولًا إلى إطلاق مفاوضات سلام عادلة وشاملة. @yairlapid pic.twitter.com/QaFO5Y859Q
— Egypt MFA Spokesperson (@MfaEgypt) July 11, 2021
www.timesofisrael.com/meeting-with-egypts-fm-lapid-focuses-on-israeli-captives-in-gaza/
ヨルダン:アブダラ2世国王:神殿の丘とパレスチナ問題、ヨルダン川水問題で協力必要
6月29日、エジプトのシーシ大統領と電話会談した翌日、ベネット首相は、イスラエルと国交を結んでいるもう一つの隣国、ヨルダンへお忍びで訪問していたことが、後になってわかった。
2017年になるが、アンマンのイスラエル大使館のセキュリティが謝ってヨルダン人を殺害してしまい、一時、外交官を帰国させると言ったことも発生し、以来、ネタニヤフ前首相が、ヨルダンとの関係を、重視していなかったことで、両国の関係は今や微妙になっている。
最近では、ヨルダン皇太子の神殿の丘への訪問を、治安維持で合意できなかったことから、イスラエルがこれをキャンセルし、その反発として、ヨルダンは、ネタニヤフ前首相のUAE訪問時に上空を通過させないといった応酬が発生していた。
加えて、先月の神殿の丘での紛争からガザとの戦闘にまで発展した件。神殿の丘の管理者は、ヨルダンのイスラム団体ワクフである。また、ヨルダン国民の70%近くはパレスチナ人なので、イスラエルとあまり友好的な姿勢を公にすることは、王室にとっても命取りになりうる。
こうした流れの中でのベネット首相のヨルダンへのお忍び訪問であったということである。何が話し破れたかは不明だが、この訪問が明らかになったのは、ラピード外相がヨルダンのサファディ外相と、ヨルダン川の水問題についての会談を、国境のアレンビーブリッジで行ったとのニュースとほぼ同時に明らかになった形である。
ラピード外相は、水不足に悩むヨルダンのために、ヨルダン川から、5000万平方リットルを組み上げることで合意したと報じられた。関係回復のための、ひとつのお土産といったところだろうか。
www.timesofisrael.com/bennett-met-secretly-with-jordans-king-abdullah-in-amman-reports/
EU:ラピード外相がEU26カ国代表と会談
ラピード外相は11日からブリュッセルを訪問。EU26代表が集まる会合で、イスラエルを代表して挨拶することになっている。ラピード外相は、11日、EUの外交代表ヨセフ・ボレル氏と面談。EUとイスラエルとの特に経済関係についての期待を表明している。
EUはどちらかというとパレスチナよりなので、イスラエルとの関係はそれほどよいとはいえない。イスラエルの外相が、この会議に加わるのは、2008年のツィっピー・リブニ前外相以来である。
リブニ氏は、左派ではないが、リクードから出たカディマ党で、女性でもあり柔軟との期待から、海外でも、比較的に受け入れられていた政治家であった。
ラピード外相は、中道だが世俗派で左派よりである。右派にこりかたまっていないというイメージから、海外でも受け入れられやすいという特権があるようである。
www.timesofisrael.com/lapid-meets-top-eu-diplomat-in-brussels-as-israel-looks-to-improve-ties/
石のひとりごと
12年続いたネタニヤフ政権から一変。多様で若いベネット・ラピード政権になり、世界との関係に新しい風が吹いているようである。
ベネット首相、ぎりぎりをすり抜けながら、あやうい感じの中だが、それなりに進みはじめている。スタートアップのスピリットに期待したい。
いずれにしても神が今、この時にこの人を選んだということである。とりなしに覚えていきたい内閣チームである。