ヘブロンで重傷のパレスチナ人を撃ったイスラエル軍のエロール・アザリア軍曹(20)が、故殺罪で起訴されることとなった事件について。
火曜夜、テルアビブでは、約2000人が集まって、「テロリストは、殺されるべきである。」「エロールはヒーロー」「殺すか殺されるか」といったスローガンで、軍・政府に、アザリア軍曹を釈放するよう訴える集会を行った。
デモには、アザリア軍曹の両親と家族、またテロ犠牲者家族らも参加した。集会には、人気の歌手やバンドが招かれたが、エイヤル・ゴランなどこれを拒否したミュージシャンもいた。
不参加を決めたミュージシャンは、「このことを政治的に利用するものがいるかもしれない。」「家族には同情するが、政府や軍に反するすることは、赦されないと思う。」と言っている。やはり意見は割れているもようである。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4793780,00.html
<石のひとりごと>
過激な一派はイスラエル、パレスチナ双方に存在する。両方に対応しなければならない治安部隊もなかなか骨折りである。しかし、その治安部隊の中にも過激右派がいるので、やっかいなことである。
イスラエルの治安部隊は、イスラエル軍と、警察(国境警備隊含む)、シン・ベトなど複数の組織で構成されている。日本では、警察、公安、自衛隊などの横のつながりが弱いと言われているが、イスラエルでも治安部隊内部では、組織ごとに、それぞれの考え方があり、協調は難しいという。
これらの複数の治安組織とともに、現時点ではネタニヤフ首相に対して反抗的な閣僚たちで国家治安委員会が構成されている。これを一つにまとめるのは、不可能に近いと言える。このため、通常、首相には治安アドバイザーというものが存在する。
しかし、Yネットによると、ネタニヤフ首相は、穏健な考えを持ち、エキスパートとしては弱いと見られる人物をアドバイザーに好む傾向があり、実際には次々と交代してしまい、実質アドバイザー不在状態だという。
イスラエルをとりまく外交・防衛情勢はいまだかつてないほど緊張し、国内世論も常に割れている。この国を導くネタニヤフ首相の肩の荷は相当重い。
非常に危なっかしい感じだが、とにもかくにも、約束のゆえに主が背後におられるということだけが、イスラエルを守っているのだろう。
しかし、日本でも熊本の地震対策に加えて、来月のサミットの準備、オバマ大統領の広島訪問、北朝鮮のミサイル問題、首相の靖国訪問問題など、安倍首相の肩に、問題はてんこもり以上だ。
安倍首相を批判するのではなく、首相を覚えるのためのとりなしが非常に重要であることを改めて実感させられる。