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ベネット首相が、プーチン大統領からの伝言として、ゼレンスキー大統領や、西側首脳に伝えた内容が、公式には出されていないが、徐々に明らかになりつつある。
一般メディアの報道では全く出ていないが、イスラエルのメディアによると、水面下でプーチン大統領と、ゼレンスキー大統領が駆け引きを行っているようである。
その発端が、ベネット首相が、モスクワでプーチン大統領と直接話して、その内容をゼレンスキー大統領に伝え、またゼレンスキー大統領の解答をプーチン大統領に伝えたということからはじまっている。
プーチン大統領からゼレンスキー大統領へのメッセージ:降伏か決戦か
イスラエルのメディアによると、プーチン大統領は、前には停戦条件にあげていた、ゼレンスキー大統領の辞任は条件からはずしたということである。また全国での非武装化も緩和したということである。そいういえば、一般の報道でもこの点は今は出てこなくなった。
しかし、ロシアは停戦条件として、①ウクライナが、NATOに加入せず、中立であることを法律で制定すること、②戦闘を停止する(非武装?)、③クリミアのロシアへの併合を認める、に加えて、④東部2州(ルガンスクとドネツク)をあげ、停戦条件を釣り上げた形となった。
これは事実上、ウクライナが、全面的に降伏する場合にのみ、停戦、撤退の相談に応じるということである。しかし、イスラエルのメディアは、今、ボールは、ゼレンスキー大統領の側にあるとの見方を報じている。
すなわち、現実問題として、プーチン大統領が、気を変えるということはありえないので、今は、ゼレンスキー大統領が、降伏して、多くの市民の命を守るしか道はないという見方である。
しかし、イスラエルのこの件に関する関係者は、イスラエルが、ネヴィル・チェンバレンになったのではないと強調している。
ネヴィル・チェンバレンとは、第二次世界大戦勃発直前当時のイギリス首相である。1938年9月、暴走しはじめていたナチス政権の侵攻を前に開催されたミュンヘン会議(1938年9月)において、チェンバレンは、ナチスとの宥和政策、すなわち、ナチスのスデーテン地方への侵攻と支配を受け入れることで戦乱の拡大を抑えようとした。結果、この翌年、ナチスは、ポーランドへの侵攻を開始し、第二次世界大戦が勃発することとなった。
イスラエルは、今、イスラエル自身が、ウクライナにロシアに降伏することをすすめて、ことをおさめようとしているのではないと強調しているということである。イスラエルのベネット首相は、西側では唯一、プーチン大統領と顔を合わせて話し合える立場にある。これを使って、プーチン大統領の本音を聞いて、ゼレンスキー大統領と、西側首脳たちに伝えただけだと強調しているということである。
確かに、ベネット首相と対話した後、ロシアは、首都キエフにも人道回廊を設置して一時停戦に応じると言った。そのこころみが、今、キエフ以外にも、
マリウポリなどでも行われている。これまで2回、避難回廊設置による、市民の避難は失敗に終わっていたが、今行われている3回目では、一部、脱出完了のニュースも出ている。
しかし、今、人道回廊で人々を避難させることで、ロシアには言い訳ができたことになる。脱出の機会を与えたのに、市内に残った者は、みずから選んでロシアに反発したことになるので、殺戮の対象になってもしかたがないということになる。
ゼレンスキー大統領の決断によっては、いよいよロシアが空爆も含めた総攻撃を開始するのではないかと恐怖を覚えるところである。9日、CIAは、ロシア軍が、まもなく兵力倍増で攻撃を開始するとの見通しを表明している。
ゼレンスキー大統領:NATO加盟見送るが別条件提示か
ゼレンスキー大統領は8日、イギリス議会へのメッセージで、チャーチルの言葉を使って、ウクライナは最後まで戦うと表明。この後、ゼレンスキー大統領は、改めて、今ウクライナに必要なのは、防空に必要な戦闘機だと、西側に要請を出した。
ところが、今、9日午後に入ってきたニュースによると、ゼレンスキー大統領が、NATOは、ロシアと戦う勇気がない、ウクライナを受け入れる準備がないことがわかったとして、加盟を見限ったと言っているとのこと。大統領の周囲も、中立は認める可能性はあるとしている。
エルサレムポストによると、ウクライナでは、NATOに加盟することで、独立を維持するのではなく、アメリカ、トルコ、ロシアに独立を認めるよう、要請したらどうかとの案が話し合われているという。
これが認められるなら、ウクライナはNATOには加盟しないで独立を維持できるということになる。しかし、この場合、ウクライナは、ロシアの承認を得なければならないが、クリミア半島、ルガンスク州、ドネツク州はウクライナ領のままでと言っており、ロシアが、これを受けいれるかどうかは、かなり期待薄かもしれない。。
最終的には、やはり、ここ数日のうちに、ロシアが空爆を展開してくる可能性が懸念されているとおりである。