昨日行われた全国市長、市議会選挙が終わった。今回は、投票日が休日にならなかったこともあり、投票率は、全国平均42.6%にとどまった。エルサレム、テルアビブ、ハイファの3大都市の市長は全員続投となった。
特記すべき結果は以下の通り。
1.エルサレム:バルカット市長続投
エルサレムでは通常、投票率が低いと、世俗派候補が不利になる。世俗派と違って、ユダヤ教正統派たちは、自らが支持する候補者が通るよう、一斉に投票するからである。
今回は、世俗派の現職ニール・バルカット市長と、正統派の支持を受けたモシェ・レオン氏の一騎打ちで、いわば世俗派対正統派という図式になっていた。
投票日の午前中、投票率はわずか7%。バルカット市長の続投に影がさすのではないかとも言われたが、午後から夕方にかけて仕事帰りの市民が投票所に向かい、最終的な投票率は42.6%となった。(正統派は投票率70%)
*東エルサレムのアラブ人も有権者だが、投票率はわずか0.5%だった。
票のカウントは夜10時にはじまり、夜中2時の時点でバルカット氏の得票数が過半数(最終的には51.1%)となり、勝利宣言が行われた。
<投票日当日>
投票日、バルカット氏、レオン氏はそれぞれ選挙事務所をかまえ、日中は、それぞれ嘆きの壁に行って祈りを捧げた。その後、それぞれ、エルサレム市内各地に現れて、市民へのアピールを行った。
市長、市議会議員選挙において、有権者は白い紙に支持する政党、黄色い紙に支持する市長候補を書いて投票箱に入れることになっている。各地域の小中高校が投票所になった。
投票所の入り口付近には、バルカット市長、モシェ・リオン氏の支持ブースの他、各党のブースが立ち並び、投票に来る人を捕まえては、最終的なアピールを行っていた。
<おもしろ選挙運動!?>
ところが、そのブースにいるのがかなり若い青年たちである。聞くと、エルサレム氏内外から来たアルバイトの高校生たちだった。
1人、「モシェ・リオン」と書いたTシャツを着ているのに、バルカット氏のバナーのところで、「バルカット」のTシャツの仲間たちと騒いでいるのを発見。
聞くと、高校1年生のヤコブ君。「バルカットの方がいいと思うけど、こっち(リオン氏)の方が給料がよかったから。はははは~。」と笑っていた。さすがは”ヤコブ”君・・・。
2.ベイト・シェメシュ:ユダヤ教正統派の町へ前進か
エルサレム市のとなり、ベイト・シェメシュ市では、黒服のユダヤ人がどんどん増え、世俗派の人につばをはきかけるなど、過激化しているのが問題となっている。
今回の選挙では、ユダヤ教正統派のモシェ・アブトブル氏が再選。今後、ベイト・シェメシュ市の世俗派がさらに住みにくくなり、やがてがブネイ・ブラックのような正統派の町になるのではと世俗派らは懸念している。
今回、アブトブル氏が再選するかどうかで、ベイト・シェメシュ市の今後の姿が決まるとも言われていた。
3.ナザレ:カウントやりなおし
前回、お伝えしたナザレでは、現職ジャライシ氏(クリスチャン)の得票率が43%、2位のアリ・サラム氏(イスラム)も43%で、ジャライシ氏がわずか21票多いという、超接戦となった。
あまりにも差が小さいので、カウントにやりなおしになっているもよう。(詳しい情報はまだ入っていない。)
なお、反イスラエル発言・行動で問題の女性議員でナザレの市長戦に出馬していたアビ氏の得票率はわずか10%で、撃沈となった。