ネパールでは、火曜、マグニチュード7.3の大きな余震が続き、死者は少なくとも65人、負傷者は2000人と伝えられている。
しかし、イスラエル軍はその前日に野営病院を撤去。昨日火曜には、隊員260人全員が、ネタニヤフ首相が出迎える中、イスラエルに帰国していた。今のところ、イスラエルが再び救援隊を派遣するという情報はない。
現在、現地に残っているのは、イスラエイドと呼ばれるイスラエルとユダヤ人による支援団体で、長期にわたって医療や特に心理面でのサポートを行うチームである。
日本では、東北での震災から今も、Japan Israaid サポートプログラムとして活動を続けている。 http://jisp.org/projects/
現在、予想外に大きな余震を受けて、イスラエイドは、カトマンズに臨時の新生児救急病院を立ち上げ、各地で救援活動を続けている。
<周辺国への救援は?>
今回、ネパールという遠方へ、膨大な救援隊を派遣したことについて、批判もあがっていた。遠方よりもすぐ隣のシリアやガザ地区には特に医療救援を必要する人が大勢いるではないかというのであった。
しかし、実際には、イスラエルは水面下で、周辺国への医療活動を行っている。
1)シリア人負傷者の治療
最近、ゴラン高原シリア側で、シリア政府軍が撃退され、反政府勢力同士の衝突となってイスラエルにも流れ弾が着弾するようになり、緊張が高まっている。そのような中、国境では、今もシリア人で重傷の市民たちがイスラエル側へ逃れて来ている。
シリア人負傷者の受け入れは、2年前、ゴラン高原に駐屯していた国連軍(UNDOF)が、負傷者を連れて来たことがきっかけになった。その後、UNDOFがイスラム主義勢力の襲撃を受けて撤退してからは、負傷者が連日、命がけでイスラエルへ逃れてきているという。
中には、生きてたどりついたのが不思議といえるような重傷を負っている者もおり、連日このような重傷者を目の当たりにする兵士たちの、大きな心理的負担になっている。現場のイスラエル軍関係者は、特に子供の重傷者をみることの痛みを語っている。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4655669,00.html(ゴラン高原のイスラエル軍の負傷者救助の様子)
イスラエル軍によると、これまでに救出したシリア人は1600人。国境付近に小さな野営病院を設置して応急手当した後、必要な場合は国内の病院に搬送する。ほとんどは子供や高齢者だが、イスラム過激派戦闘員でも、死にかかっている人なら救出している。子供の場合は、できるだけ、母親を同伴させている。
こうしたイスラエルの医療活動は、武装勢力の方でも暗黙の了解となっており、イスラエルとの戦争を控える要因になっているとも考えられている。
2)ガザ地区パレスチナ人への医療 http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4655497,00.html
イスラエルは、ガザ地区の重病の子供たちをイスラエルで治療するという活動を行っている。ヤラちゃん4才は交通事故で足を負傷。ガザ地区の医師はヤラちゃんの両足を切断したが、傷口が壊死を起こして危険な状態となった。
両親はハマスにイスラエルでの治療を願い出た。時間はかかったが、ハマスは、ヤラちゃんといとこの2人ならとイスラエルへ行く許可を出したという。イスラエルでヤラちゃんは適切な治療を受けて義足をもらい、元気に歩く姿が報じられている。
ケアを受けたガザの子供たちや、シリア人負傷者は、当然、イスラエルに対する見方をすっかり変えて帰国している。
3)クリスチャンが仲介するイスラエルでの医療活動
ところでエルサレムには、福音派クリスチャンの団体で、ガザや中東の心臓病の子供たちをイスラエルへ搬送し、治療を受けられるように支援している団体シェベット・アヒームがある。http://shevet.org/content/about
ジャーナリストのジョナサン氏が、中東をめぐって、各地から心臓病の子供のために、イスラエルの病院での治療の仲介をしているという。エルサレムのホームには、ガザのパレスチナ人だけでなく、イラク北部のクルド人やシリア人家族が宿泊し、治療を受けている。
費用は、できるだけ家族が負担するが、不足分はクリスチャンたちの献金で、働き人はボランティアで活動している。ここにも中国人ボランティアがいて、子供の遊び相手になっていた。
注)同様の働きをするクリスチャン団体は、ここだけでなく、他にもあります。