4月9日に行われた総選挙の結果は以下のとおり。
国会120議席中、リクード(ネタニヤフ首相)35議席、ブルーアンドホワイト(ガンツ元参謀総長とラピード氏)35議席。
続いてユダヤ教政党のシャス8議席、統一トーラーユダヤ教政党8議席。
続いて左派・労働党6議席、統一アラブ政党のハダッシュ・タアル党6議席。
これに続くのが、右派・イスラエル我が家党(リーバーマン党首)5議席、統一右派政党5議席。
次が、中道右派クラヌ党4議席、左派・メレツ党4議席、極左とも目されるラアム・バラード党4議席。
リクードとブルーアンドホワイトが、同数なので、リブリン大統領は、両者に統一政府を立ち上げることを要請したが、ブルーアンドホワイトは、これを拒否。筆頭野党として、ネタニヤフ首相の独走を阻止するかまえである。
そうなると、連立政権を立ち上げる可能性があるのは、右派を統括して国会120議席中、65議席の過半数とリードできるリクードのネタニヤフ首相でしかない。
リブリン大統領は、通常の手続き通り、議席を持つ政党の党首とそれぞれ、だれが次期連立政権のリーダーにふさわしいかの聞き取りを行った結果、17日、正式にネタニヤフ首相にその役割を指名した。
www.france24.com/en/20190417-israel-president-netanyahu-government-likud-election
今後、ネタニヤフ首相は、28日以内に、各党と連立に入ってくれるよう交渉を行い、新政権の立ち上げをはかる。各党首は、閣僚のポジションや、要求する政策などを、連立に加わる条件として提示し、ネタニヤフ首相と交渉する。
今回の選挙での驚きは、前政権では、教育相、法務相のポジションを割り当てられ、発言権も大きかったナフタリ・ベネット氏の党が、国会入りを果たせなかったことである。ベネット氏自身にとっても無念であっただろう。
ベネット氏がなぜ今回、落ちたかについては、先に、防衛相のポジションを要求し、与えられない場合は連立を離脱すると強気に出たものの、ネタニヤフ首相はこれを拒否。
ベネット氏は、意見を撤回し、政権に残ったが、結局政府は解散総選挙となったため、国民からの信頼と支持を大きく失ったと考えられる。ネタニヤフ首相にとっては、頭痛のタネのベネット氏を首尾よく排斥した形である。
また、ネタニヤフ首相が続投の結果になったことについて、トランプ大統領は、「近く推し進めるアメリカの中東和平案を進めやすくなった。」とこれを歓迎する意向を表明した。
先延ばしになってきたアメリカの中東和平案は、6月に提示される予定となっているが、トランプ大統領が、どうもイスラエルよりであることから、パレスチナ人の間では、国を立ち上げるのはもはや無理との見方が広がっている。
<ネタニヤフ首相の汚職関連>
波に乗っているかのようなネタニヤフ首相だが、まだ汚職問題が払拭されたわけではない。注目されているのは、国会で過半数を確保したリクードが、まずは、「現職首相は起訴されない」とする法案を通そうとするかどうかである。
新しい第21代国会は4月30日に就任することになっている。ブルーアンドホワイトのガンツ氏は、ネタニヤフ首相は、連立交渉で、この法案を通すよう根回しをしていると非難。筆頭野党として、断固、これを阻止すると言っている。