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ヘルツォグ大統領ワシントン訪問
今の政権が強硬右派であり、司法制度改革問題で国内に大きな分裂をもたらしていることは、イスラエルとアメリカとの関係にも影を落としている。
バイデン大統領とネタニヤフ首相の関係は非常に長いのだが、昨年末に、ネタニヤフ首相が2回目となる政権を発足させて以来、バイデン大統領は、まだネタニヤフ首相をワシントンに一度も招待していない。これはネタニヤフ首相にとっては、大きな黒星である。
アメリカとしては、強硬右派政権で、西岸地区でユダヤ人入植地を強硬に拡大していることに加え、司法制度改革で行政が司法を押さえ込むことも可能になる法案を出していること、イスラエル国内からは、民主主義が危ういとの大きなデモが続いていることなど、民主主義の大御所としてのアメリカとしては、看過できないことが、あまりにも続いているからである。
しかし、イスラエルがアメリカを必要としているように、アメリカも中東で唯一の足がかりとなるイスラエルとの関係を失うわけにはいかない。両国の関係不和は、中東の治安にも関わってくる。
バイデン大統領は、まず、イスラエル独立75周年を記念して、ヘルツォグ大統領をワシントンに招き、両国の関係が強固であることをアピールした。
ヘルツォグ大統領は、21日、イスラエルの大統領としては、史上2人目として、アメリカ議会で演説し、独立75年の暖かい祝辞を大統領や議員たちから受けることができた。なお、1回目は、今のヘルツォグ大統領の父親であった故ハイム・ヘルツォグ大統領である。
この時、ヘルツォグ大統領は、アメリカに対し、イスラエル国内での大規模なデモは、それが可能なほどにイスラエルは民主国家であることを表明していると述べ、イスラエルの民主主義は盤石だと伝えようとした。
これに合わせて、バイデン大統領は、ネタニヤフ首相に電話をかけ、話をする中で、ついにネタニヤフ首相を今年中にワシントンへ招待したと伝えられた。
しかし、その直後である。バイデン大統領が、CNNのインタビューの際に、これらすべてを覆して、今のイスラエルが強硬右派だと明確に批判する声明を出した。ネタニヤフ首相の招待についても、いつ頃になるのか、どこで会うのかなどもまだ明らかにしておらず、本当に招待したのかというようなレベルになっている。
バイデン大統領としても、微妙なところなのであろう。
www.nytimes.com/2023/07/18/us/politics/biden-israel-netanyahu-herzog.html
石のひとりごと
イスラエルが強硬に右派に傾くということは、要するに、聖書に書かれているようなユダヤ人の国になろうとする、その約束されている土地を得ていこうとすることになるのではあるが、当然、それを世界は受け入れることはできない。
やがては、イスラエルにとっては最高の同盟国アメリカも、イスラエルに寄り添えなくなり、やがて全世界がイスラエルを取り囲み、攻めこむという形になるものと思われる。それが今かどうかはわからないが、その構造は見え始めているといえるかもしれない。