<バン・キ・ムン国連事務総長:電撃訪問>
火曜、国連事務総長のバン・キ・ムン国連事務総長が、ヨーロッパ訪問の機会をとらえ、突然エルサレムにやってきた。事務総長は、「私が来たということは国際社会がそれだけ懸念しているということである。」と語った。
訪問後の記者会見で、バン事務総長は、パレスチナ人の若者に対し、「占領され、入植地の拡大が続き、事態になにも変化がなく、リーダーたちが効果的なことをできないでいることの葛藤はよくわかる。」と理解を示しつつ、若い世代や子供たちが、武器をとって殺人に走ることへの深い懸念を表明した。
一方、ネタニヤフ首相は、「アッバス議長はISISとハマスに仲間入りし、イスラエルが神殿の丘の現状維持を破って、モスクを破壊しに来ると言っている。しかし現状維持を破っているのは、爆発物をアルアクサモスクに持ち込んでいるパレスチナ人の方でイスラエルではない。アルアクサモスクを破壊しに来るという主張も全くの嘘である。」と強い語調で訴えた。
バン国連事務総長は、この後、アッバス議長、ヨルダンの国王と会談の予定。なお、ヨルダンは、イスラエルを非難する立場である。国内の70%を超えるパレスチナ人市民の手前、そうせざると得ないのだろう。
<物議をよぶネタニヤフ首相の発言>
エルサレムでは現在、世界シオニスト会議が開かれているが、その中で、ネタニヤフ首相が言ったことが物議をよんでいる。
ネタニヤフ首相は、第二次世界大戦中、パレスチナのリーダーであったハジ・アミン・フセイニが、ヒトラーと会談した時に、ユダヤ人大虐殺を促したと語った。
ハジ・アミン・フセイニが、当時ユダヤ人の追放政策をすすめていたヒトラーに「追い出されたユダヤ人の多くはパレスチナの地に来てしまう。ユダヤ人を殺せ。」と言ったというのである。これは聞きようによっては、ユダヤ人虐殺はヒトラーではなく、ハジ・アミン・フセインの責任ともとれる発言である。
この直後、歴史家からは、「それは歴史上の事実ではない」「ネタニヤフ首相はヒトラーの責任を軽くした」「ホロコーストを利用するのは赦されないことだ」などと、非難が相次いだ。
ネタニヤフ首相は、ちょうど延期になっていたドイツ訪問を実現するため、ドイツへ向ったが、その前の記者会見では「私はヒトラーの責任を軽くしたのではない。ホロコーストの責任はそれを実施したヒトラーだということに変わりはない。」と語った。
ドイツでは、メルケル首相もこれについて、「ドイツには、歴史的な責任があるという認識にはなんの変わりもない。」と語った。
www.bbc.com/news/world-middle-east-34599706
ネタニヤフ首相は、ドイツでもくりかえし、神殿の丘の現状維持を守っていないのはイスラエルではなく、パレスチナ側であると訴えるとともに、「パレスチナ人のテロは、現状に葛藤しているからではない。単純にユダヤ人を憎み、イスラエルをなきものにしようとしているだけである。」と訴えた。