目次
イスラエル治安部隊がディーさん家族殺害のテロリストら3人を射殺
5月4日、イスラエルの警察と軍は、西岸地区ナブルスの旧市街に、一部はパレスチナ人に扮装して入り、先月、ラビ・ディーさんの妻ルーシーさんとその娘2人を殺害したテロリスト2人と、この時銃撃してきた1人の計3人を射殺した。
Police publish footage of Yamam officers operating in Nablus this morning, during the raid that resulted in three Palestinian gunmen killed, among them the terrorists who killed three members of the Dee family. pic.twitter.com/mxzWKniQra
— Emanuel (Mannie) Fabian (@manniefabian) May 4, 2023
*ラビ・ディーさんの妻と娘2人への銃撃テロ
先月7日、過越の中日に、一家は北部で休暇を過ごすため、ヨルダン渓谷を通る国道57号戦を2台の車に分かれて北上していた。1台目には、ラビで父親のレオンさんと、下の3人の子供たちが乗り、2台目には、妻のルーシーさん(48)と、長女マイアさん(20)、次女リナさん(15)が乗っていた。
途中でルーシーさんと連絡がとれなくなったので、レオンさんたちが引き返すと、銃撃にあい、路肩に激突している車とルーシーさんらを救出しようとしていた救急隊を発見した。マリアさんとリナさんはその場で死亡が確認され、リーシーさんは、重傷で病院へ搬送されたが、 3日後に死亡した。
パレスチナ自治政府は、テロリストが使用した車は発見したが、テロリストらは逃れてどこかに隠れているとみられた。治安部隊は、ただちに捜索を開始してていた。
ディーさん妻娘ら射殺のテロリスト射殺の経緯
治安部隊は、ルーシーさんらを殺したテロリストの捜索を続けていた。3日、イスラエル軍の対テロ・エリート部隊とされるヤマン部隊は、ナブルスの隠れ家とみられる家屋に移動式ミサイルを発射。家から出てきた時に3人を射殺したという。ドローンを使ったとの情報もある。
テロリストは、ハッサン・カトナニとモアズ・アル・マスリ(右二人)。2人を助けようとして殺されたイブラヒム・ジャブル(左端)。いずれもハマスのメンバーであった。
なお、この作戦中に、軍用犬デュンゴ(7)が死亡したとこと。
ラビ・レオン・ディーさん:テロリスト家族に面会を希望
レオンさんは、これほどの喪失に見舞われながらも、「失われたものではなく、あるものに目を向ける」として、犯人へのうらみは一つもこぼさなかった。
治安部隊がテロリストら3人を射殺したとの報告を受けると、ラビ・ディーさんは、逃げていたテロリストたちがこれ以上の犯罪を犯すことがなくなったとして、「私たち家族は慰められた」と語った。
また、治安部隊や、一般パレスチナ市民に負傷者が出さずに、帰還したことも合わせて感謝を表明した。同時に、今回射殺されたテロリストたちの家族に会って、話すことを希望すると述べた。
テロ事件後、ディーさんのところには、多くのパレスチナ人たちが、電話をかけてきて、「これはアラーの意志ではないと」テロ事件を非難し、ディーさんへの慰めようとしたという。
ディーさんは、今も、パレスチナ人全員に恨みがあるわけではないと述べ、今回射殺されたパレスチナ人たちの家族に会いたいとも語った。家族たちには、彼らの行為でいったい何を成し遂げたかったのか。将来、どんな希望をもっているのかを聞きたいという。
しかし、母と上の姉2人を失った娘、カレンさんは、私を慰めるものはなにもないと語っているとのこと。
www.timesofisrael.com/after-terror-suspects-killed-leo-dee-says-hed-like-to-speak-to-their-families/
石のひとりごと:中東での報復について
イスラエル軍は、やられたら必ずやりかえすということを原則にしている。今回も、3人射殺されたから3人射殺してちょうどだったと言っている。武器をもたない一般市民をねらうテロは、犯罪であり、決して、何もしないままで許すことはできないとイスラエルは言っている。
しかし、今年に入ってから、パレスチナ人に殺されたイスラエル市民は19人で、これに対し、イスラエル軍が殺したパレスチナ人は99人に上る。いわば、倍返し以上の反撃をしているということである。その結果、テロが減ったかといえば、そうとはいえないわけである。
しかし、国民がテロリストに殺されても、テロリストへの人道だけを前に出して、何もしないでただ国民がやられても何もしない国や治安部隊の姿、それもまたどうなのかとも思ったりする。
治安部隊が、犠牲者に代わって、その手を汚してまで報復を行うということ。その背後に、国民一人一人を国がどれほど大事にしているのか。一人一人が国の失い得ない、財産であると考えていることもまた国民には感じられることだろう。
とはいえ、テロリストが殺されても、犠牲者が戻ってくるはずもなく、それが、慰めのすべてではないことは明らかである。
特に、ユダヤ教は命をなによりも大切にする信仰なので、敵とはいえ、殺すことそのものに満足しているわけではない。また、たまたま殺す立場に立たされてしまった若いイスラエル兵の心にも大きな傷を残すことになる。
イスラエルとしても非常に難しい選択なのである。
もうまもなく、イスラエル社会はこの事件をも忘れていくだろう。最愛の妻であり母であった人、また姉であった人、家事を担当し、家を守っていた女性たち三人を失ったディーさんたち遺族の苦しみはここからはじまっていく。
またテロリスト家族の情報はほとんどないが、彼らもまた若い息子たちを失っている。こうした争いそのものがなくなるよう、祈るしかない。