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テルアビブ市中で銃撃テロ:3人重傷
9日、テルアビブで大規模な反司法制度改革デモが行われ、終盤で落ち着きが戻り始めた夕刻、町の中心、ディーゼンゴフ通りのカフェ近くの路上で、パレスチナ人が、前を歩いていたイスラエル人3人に後ろから発砲。3人は重傷となった。
Another video circulating on social media shows the moment the alleged terrorist in Tel Aviv was shot dead by officers. pic.twitter.com/jgDrR0IVHZ
— Emanuel (Mannie) Fabian (@manniefabian) March 9, 2023
Surveillance camera footage shows the terror shooting attack in Tel Aviv this evening, outside a cafe on Dizengoff Street. Three wounded, including one critically. Video has been blurred by me. pic.twitter.com/wkXMJcSvfr
— Emanuel (Mannie) Fabian (@manniefabian) March 9, 2023
すぐに、近くにいた警察官2人(1人は非番)と、市民2人(予備役軍人と市民)が駆けつけ、テロリストを射殺。関係者とみられるもう一人は逃げたため、現在捜索が続けられている。
反政府のデモは数キロ先でまだ行われていたため、ロン・フルダイ市長が、市民たちにデモはすぐ停止して、警察に道をあけるよう、すぐに帰宅するよう、指示を出した。
重傷を負った3人はいずれも20代で、1人は、瀕死状態だったがなんとか落ち着き、現在手術室にいる。残り2人も重傷とのこと。
死亡したテロリストは、西岸地区ラマラに近い、ニリン出身のムタズ・サラ・アル・カワジャ(23)。ハマスのメンバーであった。イスラエルには違法に侵入していたという。
ギャラント防衛相の支持に基づき、イスラエル軍がただちにニリンに入り、深夜過ぎには、ムタズの実家の破壊に取り掛かった。
暴力と憎しみの連鎖
このテロは、イスラエル軍が変装してパレスチナ人の町ジャバに入り、指名手配だったパレスチナ人を逮捕しようとして紛争となり、パレスチナ人3人が死亡した同じ日の夜に発生していた。
またこの夜、西岸地区の入植地ベイタル・イリットでは、バスに置かれた不審物(IED/手製簡易爆弾)が入ったバッグが発見された。その後も不審者侵入の警報が何度か鳴り響き、住民は外出せず、ドアに鍵をかけるよう指示された。
www.timesofisrael.com/forces-scanning-settlement-of-beitar-illit-after-suspected-ied-found-on-bus/
ハマスは、テルアビブでのテロについて、犯行声明は出さなかったが、「これは、イスラエルの占領に対する自然な反応だ」と表明した。
www.timesofisrael.com/two-wounded-in-shooting-near-tel-aviv-coffe-shop/
ネタニヤフ首相は、イタリアへの訪問中である。テロの報告はイタリアで受けた。
*その後、西岸地区では、10日、カルネイ・ショムロンで、武装したパレスチナ人が農場に侵入し、IEDを投げつけ、1つが爆発。テリリストは農場主が射殺したとのニュースが入っている。この地域では少なくともIED10個が発見されたとのこと。
www.timesofisrael.com/palestinian-shot-dead-after-allegedly-entering-west-bank-farm-with-knives-ied/
石のひとりごと
国が司法制度改革で混乱している時に、懸念されていたことが起こった。
パレスチナ人との対立は今、どんどんエスカレートしている。皮肉にも、そういう共通の外敵が、イスラエルを一致に向かわせることにはなるのではあるが、双方に失われる命があることを思えば、その代価は高すぎる。
今回、ネタニヤフ首相が、こんな大混乱の時に、イタリア行きを決行したことにも驚きだった。ネタニヤフ首相が、国の緊急事態だからと外交訪問をキャンセルすることは、これまでからも多々あったからである。
パレスチナ人との衝突激化の最中、また国はイスラエル史上に類をみない混乱の時であるのに、そのど真ん中の日に、国を出たということである。
さらに驚かされたのは、テロの被災者の回復を祈るとのメッセージを出す際に、妻サラさんの名前もつけたということ。海外に共に出ているからということなのであろうが、これは今までになかったことである。
確かに、ネタニヤフ首相とは長いつきあいの、元INSS(イスラエル国家治安研究所)のアモス・ヤディン氏が言っていたように、ネタニヤフ首相はこれまでの彼とは別人のような動きにみえる。
今、国を導く指導者であるネタニヤフ首相の心に何があるのかはわからない。しかし、彼こそが、今、国をまとめていく力を持つ立場に立っている。その決断と勇気が与えられるようにとの祈りが必要かもしれない。