全国で「抵抗の日」デモ:道路・空港2時間封鎖で警察と乱闘も・30人逮捕 2023.3.10

Israeli police scuffle with protesters during a protest against plans by Prime Minister Benjamin Netanyahu's new government to overhaul the judicial system, in Tel Aviv, Israel, Thursday, March 9, 2023. (AP Photo/Ohad Zwigenberg)

予定されていた、司法制度改革に反対するデモ「抵抗の日」、または「独裁を許さない日」は9日、朝から行われた。今回は、テルアビブの主要高速道路アヤロン・ハイウェイと、ベングリオン空港入り口、またハイファでは海路を封鎖してのデモとなった。

アヤロン・ハイウェイの封鎖は2時間におよんだ。またネタニヤフ首相夫妻の、イタリアへの公式訪問を妨害する目的で、ベングリオン空港周辺がデモ隊に封鎖された。電車も一時遮断され、交通網が一時、大規模に遮断された。海外へ出る人々はデモが始まる前に、空港へ到着するようにしたようである。

ハイウェイの遮断現場ではデモ隊と、警察官が揉み合いになる様子はあったが、負傷者はなかった。前回は、テルアビブのエシェド長官が不在であったことから、放水銃が使われた。しかし、エシェド長官は、今回はこれらの使用を許さなかったという。

しかし、30人が逮捕された。

以下は、赤い服で統一して反対を表明する女性たち

主なデモは、テルアビブ中心のハビマスクエアで行われたが、「独裁は、これまで70年以上かけて築いてきたものを壊すことになる。イスラエル市民として、独裁に反発し、民主主義を守ることは、市民としての義務である。」として、イスラエルの独立宣言証書のコピーに署名がなされた。

司法制度改革案の法案をまとめ、可決に向けてすすめている、憲法・法律・司法委員会のロズマン委員長は、この日午後、テルアビブの弁護士協会での会議に出席するはずだったが、デモ隊に妨害されて移動できなかった。オンラインでの出席を余儀なくされた。

エルサレムでは保守派(右派系)シンクタンクで、政府の司法制度改革に深く関わっているオフィスの外に、砂袋を並べるなどして、入り口を封鎖するデモが行われた。

ハイファでは、海軍予備役将校たちが、一時ハイファ港を封鎖した。この他では、これまでと同様、学校前での子供たちを含むデモの他、スタートアップの企業たちが、全国各地で反対デモを行った。

テルアビブ警察担当長官解任の混乱

ベン・グビル氏と、シャブタイ警察庁長官(photo credit: LIAM FORBERG)

警察を参加に置く国家安全保障相のベン・グヴィル氏は、9日、テルアビブや全国で行われている市民によるデモについて、アナキスト(無政府主義者)だと批判。警察には、厳しく、力で対処するようにと指示していた。

ところが、テルアビブ地区警察のアミハイ・エシェド長官はこれに従わず、高速道路や、空港で、デモ隊に対して、穏やかな対処をとった。このため、ベン・グヴィル氏は、怒りを発し、エシェド長官を、解任すると発表した。

ところがその夜、テルアビブ市内で3人が負傷するテロが発生し、エシェド長官は、現場を非常に効果的に指揮した。ベン・グヴィル氏は、エシェド氏を解任したわけではなかたと主張。そのままエシェド氏をテルアビブ警察長官にしたのであった。

www.timesofisrael.com/after-raging-at-police-restraint-toward-protesters-ben-gvir-removes-tel-aviv-top-cop/

ベン・グヴィル氏は、国家安全保障相として、警察を束ねる地位にあるが、極右で、過激派発言も相次いでいることから、元警察長官ら25人が、グヴィル氏を解任しないと第三インティファーダ(パレスチナ人の武装蜂起)になると警告。グヴィル氏の解任を求める文書をネタニヤフ首相に提出している。

www.timesofisrael.com/25-ex-police-chiefs-commanders-to-pm-ben-gvirs-policies-will-lead-to-3rd-intifada/

政治・外交への影響

1)アメリカのオースティン国防相・エルサレムに到達できず

オースティン米国防相とネタニヤフ首相 Amos Ben-Gershom (GPO)

この日、アメリカのオースティン国防相が来て、ネタニヤフ首相と、ギャラント防衛相と会談することになっていた。しかし、空港から出られなかたため、急遽、空港に隣接する、イスラエル航空宇宙産業本部で、会談した。

ネタニヤフ首相は、エルサレムから警察のヘリコプターで空港へ向かった。

オースティン米国防相は、「イスラエルとアメリカの友好は、民主主義が基盤である。司法の独立性は重要で、そこに変化をもたらす際には、継続性を維持できるよう、幅広い合意が必要だ。」と釘をさした。

ネタニヤフ首相は、その後でサラ藤夫人とともに、イタリアへ飛び立った。イタリアでは、メローニ首相と、イスラエルからの天然ガスを供給するとし、その見返りとして、イタリア大使館をエルサレムに移動させることを要請するとのこと。

2)ヘルツォグ大統領の着任外交官との面会ならず

大統領官邸では、新しく着任する外国外交官たちとの面会、認証というイベントが定期的に行われているが、この日のイベントはキャンセルとされた。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。