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イスラエルのコーヘン外相とブルハン主権評議会代表会談
日本からも今、岸田首相がアフリカを歴訪するなど、世界のアフリカへの注目が高まっている。イスラエルも独自の外交を展開しているが、特にスーダンは、2020年のアブラハム合意への参加を表明したこともあり、イスラエルも外交的な努力を続けていた国である。
しかし、スーダンがまだクーデター続きの国(最終は2022年10月)でもあり、国を支配する軍にその意志があっても、国内からの反対が大きく、まだ実現していない。
しかし、イスラエルとしても、エジプト、サウジアラビアとも協力関係に進む方向にある中、もしスーダンもこの輪に入れることができれば、紅海に入るイランを警戒することが可能になるので、ぜひとも、スーダンとは国交正常化したいところであった。
イスラエルのコーヘン外相は、今年2月2日、スーダンを訪問し、この時点での最高指導者、ブルハン主権評議会代表と会談した。ブルハン氏はクーデターで前政権を倒した軍人であるが、スーダンを民主化しようとしており、イスラエルとの協力には前向きであった。コーヘン外相は、スーダンとの国交正常化はまもなく可能だとの見方を表明していた。
www.meij.or.jp/kawara/2022_140.html
スーダンで内戦再発:4月15日
ところが、その後の4月15日、首都ハルツームで、今スーダンを支配するブルハン氏の国軍と、準軍事組織と呼ばれるライバルの軍、RSFが衝突し、戦闘状態となった。国連によると、最初の1週間で数百人が死亡し、国連職員にも死者が出た。
さらには少なくとも2万人が隣国チャドへ、1万6000人がエジプトへ、1万4000人が南スーダンに逃れるという大惨事になっている。水、食料不足に、今後、伝染病などの災害になっていくことが懸念されている。
アラブ連盟は、これについても話し合うことになっている。
もはや、イスラエルとの国交正常化どころではないということである。
www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/04/19/31078.html
www.japanforunhcr.org/news/2023/what-happening-Sudan
なお、スーダン(北部)は、かつてのクシュ文明の遺跡がある地域に位置する。クシュは、エゼキエル書38章5節によれば、ペルシャ(イラン)と共にいてイスラエルを攻撃してくる軍の中にいると記されている。
イスラエルとの国交正常化を目指していたブルハン氏率いる国軍が勝利するのか、逆にこれに反対する軍が勝利して、スーダンを再びイラン側に立つ国にするのか、これからの動きにも注目すべき動きである。