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瓦礫状態のジェニンにUAEが1500万ドル支援へ
イスラエル軍による48時間のジェニン難民キャンプへの大規模攻撃。最終的な死者は、パレスチナ人12人。イスラエル兵1人であった。
イスラエル軍が撤退した今、その壮絶な破壊の様相が、世界のメディアが拡散している。インフラが破壊されているほか、道路は瓦礫で塞がれているところもある。
以下はGardian newsによる映像
*パレスチナ難民キャンプとは?
難民キャンプというと、貧しいテント生活者を思う人もいると思うが、そうではない。パレスチナ人難民と呼ばれる人々が出始めたのは、イスラエルが建国して以来なので、すでに75年も前の話である。そのため、難民キャンプとはいえ、今は普通の家屋に住んでいる。
また、ジェニンは、政府管轄で言えば37万人の都市で、その中に、難民キャンプと呼ばれる地域があり、約2万人が、高い失業率と人口密集の貧しい状態で生活している。
1993年のオスロ合意以来、難民キャンプを含むジェニンは、100%パレスチナ自治政府の管轄下にあり、イスラエルは関与しない地域になった。
このため、ジェニンは、まさに聖書でいう「のがれの町」状態にある。イスラエル軍によると、今年に入ってからだけでもイスラエルの指名手配を受けたパレスチナ人が、少なくとも19人、ジェニンへ逃れたとみられていた。
こうした中、昨年から発生した、イスラエル国内での銃撃事件約50件は、ジェニンから出てきたテロリストによるものだった。
イスラエル軍が撤退した翌日、UAE(アラブ首長国連邦)は、ジェニンの復興のために、1500万ドル(21億円)を、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)を通じて、支援すると発表した。
UNRWAは、ハマスなどパレスチナ人テロ組織に支援金が流出しているとして、トランプ前大統領が、支援を停止した組織である。UAEの大金がよりにもよってUNRWAへ流れる結果になったことは、イスラエルにとっては本末転倒というところではないだろうか。
www.timesofisrael.com/uae-pledges-15-million-through-unrwa-to-help-rebuild-jenin-refugee-camp/
国連総長がイスラエル軍を過ぎた武力行使と非難
ジェニン難民キャンプでは、上下水道が破壊され、市民への生活が著しく破壊されているなどと国連安保理への報告が続いている。
国連のグテーレス事務総長は、7日、記者会見において、「イスラエルは、ジェニン難民キャンプで、明らかに過剰な武力を行使した。暴力はなんの解決にもならず、暴力の応酬を悪化させることになる。」とイスラエルを名指しで非難した。
www3.nhk.or.jp/news/html/20230707/k10014121151000.html
また、国連のパレスチナ特別調査員であるフランチェスカ・アルバネーゼは、イスラエルのしたことは「戦争犯罪だ」と指摘した。
イスラエルのギラッド・エルダン国連大使は、ジェニン難民キャンプでは、大量の武器を押収しただけでなく、モスクの地下に300メートルに及ぶ地下トンネルがあったと報告。
ジェニンからは、イスラエル市民を狙ったテロが繰り返されていると訴えた。イスラエル市民への犯行だけは無視するのはいかなるものかと反発する書面をグテーレス事務総長に送ったとのこと。これに対するグテーレス事務総長の反応はない。
石のひとりごと
ジェニンに対する攻撃は、これまで我慢し続けてきた上で、いよいよキレたという、表現はよくないのだが、今回、イスラエルは、考えた末、思い切って行動に出たということである。世界が何を言おうが、自国民を守るためには、これしかないとの結論に至ったということである。
www.haaretz.com/ty-WRITER/0000017f-da24-dea8-a77f-de66e0aa0000%5B/caption%5D
確かに、これによって、暴力の応酬は悪化するだけに終わるのかもしれない。
ハアレツの風刺作家アモス・バイデルマン氏も、この作戦で、イスラエル軍が撤退すると同時に、大量のテロリストが、ジェニンに舞い戻る絵を発表している。
とはいえ、とはいえだ。何もしないで放っておけば、ジェニンのテロリストは、さらに大きなテロ事件を決行したことだろう。
ベネット前首相が言っていたように、イスラエルは今右派左派で大きく分離が進んでいるのではあるが、この侵攻については、概ね、国民ほとんどが賛成のようである。
イスラエル人以外には、分かり得ない、治安状況である。
www.timesofisrael.com/uae-pledges-15-million-through-unrwa-to-help-rebuild-jenin-refugee-camp/