イスラエルでは、政府が暴走しないよう、国会に法案を出す前にいったん審議する国会委員会がそれぞれの分野毎に設置されている。コロナ対策についても、特別な委員会が立ち上げられているが、その委員長、ファット・シャシャ・ビトン氏が、政府のうちだしたコロナ対策を、つづけさまに拒否したため、政府の大きな足かせになっているとみられていた。
このため、ネタニヤフ首相は、23日、コロナ対策については、国会の監視能力を軽減し、政府が素早く決定、実施する権限を認める”大コロナ法案”を提出。28−35で可決された。実際に発効するのは8月10日で、とりあえずの機嫌は2021年6月までとなっている。
これにより、政府が、社会構造の一部をコロナ対策として閉鎖することを決めた場合、国会がこれを否定できる時間は24時間以内とされる。もし緊急事態とされた場合は、国会をスキップして、すぐに政策を施行することも可能である。この場合、国会は施行後に政策を突き返すことは可能だが、その期限は1週間以内で、最大でも2週間以内とされる。
また政府は、緊急事態宣言を一回、28日間で発動でき、最大60日(前は45日)まで延長可能となる。
今後、国会委員会は、教育、厚生労働、経済、司法の4分野にしぼられ、コロナ対策もこの4委員会が審議することになる。
www.timesofisrael.com/knesset-passes-coronavirus-law-weakening-its-oversight-of-goverment-decisions/
*対コロナ新司令官就任:ロニー・ガムズ教授(テルアビブ・ソラスキー医療センター委員長)
上記新体制にあわせて、ネタニヤフ首相は、23日、あらたのコロナ対策の司令官として、テルアビブ・ソラスキー医療センターのロニー・ガムズ教授を指名した。ガムズ教授には、数々の権威があたえられるもようである。
ガムズ教授は、先に保健省長官に指名されていた、同じくベテランの医師であり、大病院の院長でもあるチェジー・レビ氏と協力してコロナ対策の指揮をとる。そのガムズ教授だが、今はロックダウンをするべき時ではないとの考えであることを表明している。
www.timesofisrael.com/coronavirus-czar-will-get-all-authority-to-cut-virus-infection-chain-pm-says/
<カオス:大規模市民デモ続く>
エルサレムでは、連日、首相官邸前で、警察と衝突するような大規模な市民デモが続いている。23日も、エルサレムの首相官邸前では、参加者4000人とみられる大きなデモが発生した。
今回も、「たべるものがない」という人から、民主主義があやういと訴える左派系の訴えとともに、複数の女性が、政府のやること(たとえば、占領、警察の暴力・・・などが入るようになっている)よりはまし、といったプラカードも持ちながら、トップレスになっての訴えをするなど、それぞれが、それぞれの訴えを叫んでいる。無論ソーシャルディスタンスなどはなく、カオス状態である人々の間で、政府への信頼が、失われているとの分析も出ている。
最終的には、武装した放水車が出動。警察との乱闘となり、55人が逮捕された。しかし、55人は、翌朝には釈放されている。
<石のひとりごと>
この通りは、エルサレム南部から町の中心街に行く際に必ず通る大通りである。筆者も毎日のように歩いたりバスで通ったりしたものだが、これだけブロックされていては、バスの往来も制限されて、さぞ不便であろう。まあ、デモは、24時間毎日というわけではなさそうだが、デモの様相と同時に、迷惑そうな一般の人々の顔も思い浮かぶところである・・・。