ガザ国境で毎週金曜に暴力的な衝突になってから4週目になる。今回の死亡者は4人。このデモが始まってからの使者は38人となった。
デモへの参加人数は、毎週減ってきており、今週は3000人ほどだった。しかし、表現される敵意はだんだん凶悪になってきている。
金曜デモの前日木曜、イスラム聖戦は、イスラエル軍南方総司令官のヨアブ・モルデカイ大佐と数人の射撃手が、国境フェンスの近くにいるところを撮影したビデオを流し、その直後にパレスチナ人射撃手が、ライフルの照準を合わせる様子を付け加えて、あたかも彼らを殺すといわんばかりのクリップをネットに流した。
これを受けて、リーバーマン防衛相は、「もしこちらの上官を殺すことがあれば、ハマスの最高指導者が死ぬことになるのはハマスもよく知っているはずだ。」と脅迫しかえした。
その翌日の今日金曜朝、イスラエル軍は、国境付近にいるパレスチナ人の上に、次のように記したビラをまいた。ビラには次のように描かれていた。
”あなたがしようとしている行為は暴力だ。ハマスは、テロ行為をするようあなたを利用している。イスラエル軍はいかなるシナリオにも対処する。だから国境に近いたり、そのフェンスにダメージを与えるようなことはしないように。
イスラエルは、フェンスや軍用車両に傷つける行為に容赦はしない。だから、あなたを危険に陥れるようなハマスの命令に従わないように。」
これに対し、ガザのパレスチナ人は、ナチスの鉤十字をあしらった凧をあげ、イスラエル側へ飛来した。その凧には、火炎瓶がとりつかられていた。
ガザ側の情報によれば、この金曜に、イスラエル軍の銃撃によって死亡したパレスチナ人は4人。そのうち1人は15歳だった。
15歳の少年が死亡したことを受けて、国連の中東特使モラデノフ氏は、「憤慨だ。15歳の子供が殺された。徹底的な調査が必要だ。」との声明を出した。
これに対し、リーバーマン防衛相は、責任はハマスにあるとし、「ハマスは、女性や子供の背後に隠れている臆病者だ。ガザの人々に言う。フェンスには近づかないように。」と言った。
イスラエル軍の射撃手たちは、銃撃は、指導者的な動きをしている者に限るとともに、下肢を狙うよう指示されている。だれのどこを撃ったのかは、ライフルに記録、撮影されている。
前回、パレスチナ人を撃って大笑いしていたイスラエル兵のビデオがネットに流され、問題になったが、精査の結果、イスラエル兵は正確に判断し、下肢を撃っていたことがわかった。大笑いしていたのは、軍人ではないカメラマンであったことが判明。
イスラエル兵の対処は、適切とされ、罰はカメラマンが受けたと伝えられている。
<ナタリー・ポートマンがイスラエルをボイコット?>
オスカー女優ナタリー・ポートマンさんは、イスラエル人である。彼女の功績をたたえて、今年ジェネシス賞の受賞者に選ばれた。ジェネシス賞とは、ユダヤ人としてユダヤ人社会に貢献した人に送られる賞である。賞金は通常100万ドル。
ところが、先週、ナタリーさんが、エルサレムでの授賞式をキャンセルする意向を表明し、論議を呼んだ。時期的にも、イスラエルのガザでの対策に反対しているとか、BDS(イスラエルボイコット運動)にほだされたとかメディアは騒ぎ立てた。イスラエルからも驚きの声が殺到した。
このため、ナタリーさんは、「ネタニヤフ首相に同意できないので、ネタニヤフ首相がスピーチする授賞式には出ないことにした。」と自ら明らかにした。
ナタリーさんは、自分はイスラエルを愛しているのでBDSに同調していないことを強調。ディアスポラの多くのユダヤ人と同様、ネタニヤフ首相を指示しないという権利もあるはずだと語った。
なお、ジェネシス賞では、ナタリーさんが、女性の地位向上のために賞金を使うと表明していたため、同額の献金を募り、結果、倍の200万ドル(2億円以上)になっていた。
今回、ナタリーさんは、受賞しないが、賞金は、いずれにしても女性の地位向上のために使われるという。
決して一枚岩ではないというのがユダヤ人なのだが、その多様性がまたユダヤ人でもあるということである。