イラン問題:20日のジュネーブでの交渉を控えて 2013.11.14

先週、ジュネーブでのイランと6カ国の協議が、なんの合意も得られず、来週20日に先延ばしされたが、その後メディアを通じたバトルが展開されている。

まずは、ケリー国務長官が、「今回合意に達しなかったのは、フランスの反対により6カ国が一致できなかったからという報道は間違い。6カ国は完全に一致していた。合意に達しなかったのは、イランが提示された条件を拒否したからだ。」と述べた。

するとすぐにイランが「合意に達しなかったのは、イランのせいではない。」と反論している。

アメリカの議会は、以前からイランへの新たな経済制裁を検討中だった。オバマ大統領は、20日の交渉に備えて、採択を延期するように指示。これを巡って議会は紛糾している。

ネタニヤフ首相も、今必死の様相である。エルサレムでは、先週から今週、北米ユダヤ機関関係のカンファレンスが目白押しだったが、招かれるすべてのカンファレンスで、「イランの経済制裁を今、緩和するべきではない。」と熱弁した。他の政府閣僚もこれに続いている。これが世界からの批判を招いている。

<イスラエルの主張>

今回、6カ国が提示した案によると、イランは19000期に上る遠心分離器をいっさい処分しないことになっている。これでは、いつでもウランの濃縮をいつでも再開できるばかりか、わずかな時間で核兵器をつくる可能性を残すことになる。

閣僚の1人で前経済相のユバル・ステイニッツ氏は、「もし6カ国が提示した制裁緩和が実行されると、イランは、最大400億ドルを得る可能性を得ることになる。」と語った。

これではイランの思うツボ。非常に悪い取引だとイスラエルは主張する。

<アメリカの主張>

イスラエルはイランの核施設いっさいを破棄すると主張しているが、
それは非現実的。過去にブッシュ大統領が、同じ考えで、イランの核開発をいっさい拒絶したが、逆に核開発は進んだ。イランとの交渉は段階的に進めるべき。

ケリー国務長官は、「ネタニヤフ首相は、将来に向けた可能性を持つ交渉すら否定している。批判は、まず内容を知ってから出すものだ。」と厳しい態度をとった。

後に、アメリカのダン・シャピーロ駐イスラエル大使が、アメリカとイスラエルの友好関係は不動であるとのフォローを行っている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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