イスラム国とアメリカ・国際社会 2014.9.17

<反イスラム国対策・国際会議:パリ>

シリアからイラク領内へ勢力を伸ばすイスラム系テロ組織イスラム国(IS)。Yネットによると、イスラム国(IS)は、原油などの密売と、人身売買(イスラム以外の女性や子供を売っている)で1日の収入は300万ドルに及ぶと見られている。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4570968,00.html

世界中から、体制に満足しないものなどがイスラム国に参加して膨らんで来ているが、ボスニアからは小さな子供たちが、「アラー・アクバル」といいながらアブ・バクル・バグダディに忠誠を誓う映像まで登場している。
www.memrijttm.org/isis-footage-shows-bosnian-children-in-syria.html

こうした現状の中、月曜、パリで、イスラム原理主義組織「イスラム国」(IS)を撲滅しようとする国々の国際会議が行われた。主導はアメリカで、中国とロシア、日本も加わって30カ国が参加した。

アラブ諸国で参加したのは、エジプト、イラク、ヨルダン、レバノン、サウジアラビアとカタールなど湾岸6カ国

注目されていたイラン。報道は二転三転していたが、最終的にはイランは会議には招かれなかった。そのイランが支援しているシリアもイスラム国とは敵対しているが、会議には招かれなかった。

日本からは和田和也駐イラク大使が出席。 毎日新聞によると、「日本は軍事協力はできないが、難民支援や事後処理での資金提供などで協力する。」と伝えている。

<それぞれの事情。。>

具体的な協力内容だが、アメリカの、シリアにまで空爆の範囲を広げるという方針に協力を申し出ている国はない。イギリスとフランス、オーストラリアが空爆に協力すると言っているが、それはイラク領内だけの話。

アメリカ以外がシリアへの介入を恐れる大きな理由は、アサド政権の背後にイランとロシアがいるからである。シリアへ踏み込んだ場合、何らかの形でロシアとぶつかることは避けられない。欧米はウクライナ問題ですでにロシアとはややこしいことになっているのである。

またトルコは、イスラム国に43人の人質をとられているだけでなく、実は大勢のトルコ人がイスラム国に参加している。また、トルコは、現在イスラム国と戦っているクルド人と長年戦ってきたという事情もある。国際社会とともに、いまさらクルド人を支援してイスラム国を倒すことはありえないのである。

次に大きな影響力を持つ(はずの)、エジプトだが、こちらも内乱続きで、国が破綻寸前。外国に軍隊を出せる状態にない。シナイ半島にいるイスラム国を含むテロ集団に対処するのがせいいっぱい。つまり、結局、シリアまで踏み込むのはアメリカのみということになる。

<バグダッド南西部を空爆:アメリカ軍>

アメリカ軍は、 オバマ大統領が新プランを表明して以来、初めてとなるバグダッド近郊への空爆を行った。それに対する情報は今のところない。なお、空爆だけでは地上のテロ組織を一掃することは難しく、アメリカ軍からも、結局地上軍投入ということばも出始めている。

<イスラエル人に今年も海外渡航に関する警告>

来週から始まる秋の例祭によるゴールデンウイーク。海外から観光客が殺到するのに反比例してイスラエル人が海外旅行に出る。イスラエルでは毎年、外務省の警告に反してシナイ半島やタイなど危険な地域にイスラエル人が出かけて行くので問題になっている。

今年は特にイスラム国問題で、シナイ半島、エジプト、タイなどに加えて、西ヨーロッパでも危険性が高いとして、渡航に関して、例年以上に厳しい警告が出されている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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