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国境で忙しいイスラエル領事館事務所
在ウクライナ・イスラエル領事館は、ウクライナのリビウに移動して活動していたが、先週、そこも引き上げて、今はポーランド側で休みなく働いている。
避難してくるイスラエル人は、車で長い列で待ち続けたあと、2つの検問所から、国境を超えて、ポーランドに避難してくる。ウクライナ側から、書類に問題があるなどの問題で、領事館に助けを求めてきたりする。国境を超えてから、何をどうしたらいいのかもわからない人もいるという。
帰国便に乗れるまで、24-48時間ぐらい、滞在する場所も提供している。イスラエルは、ウクライナと接するポーランド、ルーマニア、ハンガリーで、このような支援設備を備えているとのこと。
(写真はイスラエル外務省フェイスブックより)
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イスラエル外務省によると、先週までに3000―4000人が帰国したが、この人々共に、ウクライナ人も一緒にイスラエルへ到着しているようである。
イスラエルは、こうした非ユダヤ人が移住者としてとどまってしまわないよう、イスラエルのパスポートを持っていない人には、“短期在住費用”として、1人1万シェケル(約40万円)を徴収している。ハアレツ紙によると、これまでに、ウクライナ人約70人が、入国を拒否され、ウクライナではないが、ヨーロッパへ送り返された人もいるとのこと。批判も出ている。
帰国したイスラエル人の多くは、戦争が終われば、ウクライナへ帰ると言っているが、そのままイスラエルに残ると言っている人もいるという。
新移民・今週初頭に到着予定:ポーランド・モルドバ・ルーマニアより
ユダヤ機関によると、今週初頭から、ウクライナから、イスラエルへ緊急に移住するユダヤ人が到着する見通しとなった。ポーランド、モルドバ、ルーマニアから出発してくることになっている。到着時には、移住相がベングリオン空港で迎える予定。
企画実行は、ユダヤ機関と、国際ユダヤ・クリスチャン・フェローシップ。ウクライナとの国境を接する3国に、移住センターを6カ所に設けて、今も受付を行なっている。
すでに数千人が、移住したいとコンタクトしており、ここしばらくで、1万人が移住すると予想されている。
これら新移民は、家族がない場合、ネゲブ地方にいったんは送られる予定とのこと。
アルジャジーラは、アラブのニュースメディアだが、この動きを、イスラエルのチャンスと伝えている。コロナ禍で移住が難しい傾向にあり、ウクライナからの移住者は、昨年中は3100人にとどまっていた。
ウクライナに残留は4000-5000人:懸念される極右勢力
ウクライナには、まだ4000―5000人のイスラエル人が残っているとみられる。今後は、ロシア軍の侵攻が1週間になり、特にキエフなど大都市では、食糧難、水不足の事態になりつつある。そうなると、強盗などの犯罪の蔓延が懸念される
Times of Israelが伝えるところによると、ウクライナでは、白人至上主義者の極右がおり、ユダヤ陰謀論を掲げるものも出ている。たとえば、「ユダヤ人シオニストのゼレンスキー大統領が、ウクライナ人に集団自殺させようとしている。」とか、「ユダヤ人が世界を制覇するために、白人の愛国者たち(ウクライナとロシア)が相打ちするように扇動している」とかである。
特に18-60歳の男性を出国させず、兵役に徴集していることを挙げての陰謀論である。
www.timesofisrael.com/white-supremacists-condemn-ukraine-conflict-as-a-brother-war-some-blame-jews/
プーチン大統領は、ウクライナ侵攻を、ネオナチ政権を倒すためと言っている。
ゼレンスキー大統領はユダヤ人なので、ナチ政権というのはおかしいのだが、ウクライナで、こうした反ユダヤ主義暴力が発生し始めると、プーチン大統領の言い分を正当化してしまうことにもなりかねない。
なんとも混乱した感じだが、こうした情報操作や情報戦争が、ことを大きくしてしまう。残っているイスラエル人、またユダヤ人が、早くに決断し、イスラエルへ帰国、移住することを祈る。