<アメリカ系イスラエル人はロムニー支持>
6日のアメリカの大統領選挙まであと3日となった。イスラエルでは一足早く、アメリカから移住しイスラエル人となった人々の不在者投票が行われた。
出口調査によると、有権者約16万人のうち、8万人が投票。うち85%はロムニー候補に投票したことがわかった。
これは、オバマ大統領が、外交においてはイラン問題に集中しすぎたことが原因ではないかと専門家は語っている。
イラン問題はまだ終わってはいないものの、ネタニヤフ首相が、「少なくとも来年春までは軍事介入はない」との見解を示して以来、イスラエルでは関心のトップではなくなっている。その点、ロムニー候補は、イラン問題を含めて、イスラエル支持の立場を明らかにしていた。
*アメリカ在住のユダヤ人は、「オバマ大統領支持が優勢」との結果がでている。イスラエルでの結果が一概に「ユダヤ人はロムニー支持」とはいえないことに注意。
<モルモン教とイスラエル>
ロムニー候補はモルモン教徒。そのモルモン教はイスラエル支持の宗教である。
モルモン教の聖典の内容は、イスラエル民族のヨセフ(創世記)の子孫とされるリーハイという人物とその一族の歴史。リーハイはエレミヤと同時期の人物で、神が彼を危険から守るため、イスラエルからアメリカへ移動させたという。
モルモン教では、この独自の聖典とともに聖書(旧約新訳)も信じている。そのため聖典には、復活したイエスがアメリカに現れたとも書かれている。
元はイスラエル民族から始まり、そこへ信仰によって異邦人も加えられたと考えており、イスラエルへの思いは深い。エルサレムにはモルモン教の大きな総合聖書大学もある。ロムニー候補のイスラエル支持は、彼の宗教にも裏付けされているということである。
<イスラエル総選挙との関連>
イスラエルでも来年1月22日に総選挙が行われる。現在、水面下で様々な動きがあるが、それらが確定するのはアメリカ大統領選挙後だとみられている。
もしオバマ大統領が再選されると、オバマ氏と不仲だと言われるネタニヤフ首相は不利になる。するとリクード・イスラエル・ベイテイヌ党内部から造反するものや、対立候補たちの動きを活発になる思われる。
<スーパーストーム・サンディの影響>
カリブ海から北上し、寒冷前線と合流したサンディはスーパーストームとなり、大統領選挙戦も終盤に入った10月29日、ニューヨーク、ニュージャージーなどの東海岸で、甚大な被害をもたらした。
死者は現時点で95人。ニュージャージーの海岸では、波による洪水、火災で町がなくなったところもある。ニューヨークとニュージャージーではまだ300万人近い家屋が停電したまま。最悪の場合は、11日ごろまで電気の回復の見込みがないという。
マンハッタンでは、地下鉄に15億トンもの水が流れ込み、まだ一部しか開通できていない。ガソリン購入にも長蛇の列で、復興の障害となっている。被害総額は500億ドル(4兆円)に上るとみられる。被災地が経済の中心であるため、今後アメリカ経済に影を落とすと懸念されている。
オバマ大統領の被災地への対応はアメリカ人の75%が満足したとの調査結果が出ている。