まだ続く米大学の反イスラエルラリー:陰謀論の気配も? 2024.5.7

Pro-Palestinian demonstrators overtook fences surrounding an encampment at M.I.T. on Monday after an hourslong standoff with the police.Credit...Sophie Park for The New York Times

MIT(マサチューセッツ工科大学)でも反イスラエルの混乱

4月17日にコロンビア大学で、泊まり込みのデモ隊を撤去させるために、治安部隊が出動するほどのデモになって以来、その動きが全国の歯ハーバード大学や、UCLAなどいわゆる名門と言われる大学の間で拡大している。

6日の時点で、カリフォルニア州の少なくとも100以上の学校で、警察との衝突が発生している。ニューヨークタイムズによると、これまでに50校以上から、2500人以上が逮捕されている。

さらに、理数系で世界一とも目されるMIT(マサチューセッツ工科大学)でも、大規模なデモが発生した。MIT学生だけでなく、12の学校から高校生たちが数百人やってきて、デモに加わっている。親イスラエルのグループとの非難の応酬もあったという。

www.nytimes.com/live/2024/05/06/us/campus-protests

学生たちは、正義感に燃え、イスラエルが、パレスチナ人に対するジェノサイドを行っているのに、自分の大学がそのイスラエルや、ユダヤ人組織から支援を受けており、それがゆえに、イスラエルに好意的になり、ジェノサイドを助けることになっている。それが我慢できないと言っている。

7日の読売新聞には、「多額寄付、ユダヤ系影響力」と題した記事があったが、アメリカにあるイスラエルロビーのことが挙げられていた。

ユダヤ人の経済力で、大学が仕切られていることを問題視していると感じさせられる記事である。かつての陰謀論を思わされた。

今後、イスラエルがどう出てくるかは不明だが、ガザでの攻撃を拡大すれば、アメリカでの反イスラエル運動から、陰謀論的な嫌悪感が再燃し、今すでに悪化している反ユダヤ主義暴力がエスカレートするのではないかと懸念される。

世界的な流れ:アメリカも国連も即時停戦を求める

アメリカは、イスラエルを理解しようとしているが、基本的に停戦を、目指すとしている。それが、人質にとって、ガザの人々にとっても唯一の解決であるとみているからである。

国連のグテーレス事務総長も、強く停戦を求めるとの声明を出している。

いわば、これが世界の通念といえるだろう。このまま、イスラエルが交渉に応じず、ラファでの攻撃を続ければ、イスラエルの孤立はさらにすすむかもしれない。

日本では、NHKがアルジャジーラの報道をよく使っている。他の局のニュースも、ガザの人々の悲惨な様子をアンバランスに多く報道している。

ある解説番組では、イスラエルの反撃が、100倍返しかそれ以上になっており、やり過ぎであることが問題だと指摘していた。ハマスが10月7日に、イスラエルにしたことや、その背後にイランという大きな脅威があることも、今ではすっかり棚上げである。

また、ハマスからの攻撃や、ヒズボラからの攻撃、パレスチナ人のテロで、イスラエル人にも死者が出ていること、その防衛のニーズについては、まったく報じられていない。

最近、テレビのニュースが、以前より明確に反イスラエルに偏っていると感じるのは筆者だけだろうか。

世界は今、ホロコーストの前の時代のように、イスラエルを悪と見ることが、正義であるとの流れになりつつある。日本も例外ではないということである。

被害者でもあるのに、理解されず、世界はその敵を支持する声を上げる。ユダヤ人にとっては、珍しくないことではあるが、やはり、今、多くのイスラエル人の心が痛んでいる事は確かである。

ただそれでつぶれてしまわないというのが、ユダヤ人であり、その国イスラエルであると思う。

石のひとりごと:世界の常識に流されないように

ネタニヤフ首相は、世界で孤立しても国を守ると言いつつ、孤立してはいないとも言っていた。国としては孤立しても、イスラエルの立場を理解する人々がいるからだと言っていた。

世界の常識では理解できないかもしれないが、いかんせん、イスラエルは、国レベルで主を証することが使命とされている国であると聖書に宣言されている。その使命が変わることもないとも書かれている。

私たち救われている異邦人は、今、世界の流れに流されないように、ガザで苦しむ人々だけでなく、ぎりぎりのところで孤立するイスラエルにも心を向けて、とりなしていただければと思う。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。