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イスラエルでは、側近24時間の新たな感染者は255人で計1万5058人。死者は、2人で194人。人工呼吸器依存者102人。新たな感染者は安定した数字で、続けてピークは過ぎたと言える数字であることから、政府は、さらなる規制緩和に進むことを決めた。
一方、失業者は、1万873人増えて、112万5814人。もっとも打撃が大きい都市は続けてエイラットで、失業率43.9%。政府は、見過ごされていた自営業者への経済支援を発表した。
新たな規制緩和
政府は、19日から経済活動の一部をおためし緩和したが、5日後、感染が急増する様子もないことから、26日(日)朝から、さらなる規制緩和を開始することを決めた。期限は5月3日まで。
今回、あらたに規制緩和の対象になるのは、大きなモール以外で、道路に面した店舗の営業である。事前に市に、感染予防の条件が満たされていることを申請して許可を得ること(パープル・バッジ)。労働者は、グループにわけて、シフトを組み、一度の出勤しないなど、詳細にわたって指示が出ている。
これにより、エルサレムでは、オープンマーケットのマハネイ・ヤフダの野菜屋さんなんどの営業が可能になる。しかし、24日に撮影された写真を見ると、マハネイ・ヤフダでは、すでに多くの買い物客が来ていたようである。
レストランは、電話によるオーダーに加え、テイクアウトも許可となる。これにより、前回、お金がないといって、人々の同情を呼んだファラフェル屋さんも店を開けることができる。この他、美容院も営業開始となる。
訪問介護は、マスク着用と、2m離れる原則を守るなら再開OK。おそらくは、家事手伝い程度と思われる。
規制緩和については、業務ごとに、かなり詳細にわたった指示が出されており、質問や、疑問の余地がないほどになっている。これらの指示を読むと、聖書のレビ記などで、生活に関する律法や、利害関係の場合の、様々なパターンが、退屈なほどに詳細にわたって記録されているのを連想させられるている。
なお、企業がルール違反した場合は、罰金2000シェケル(約6万円)
規制緩和ではあるが、市民のマスク着用義務(7歳以上)は継続、外出も、不要不急でない限り、自宅から500m以内というルールも継続される。警察の監視が続いており、守らない者の罰金制度も継続される。
www.timesofisrael.com/government-approves-reopening-of-most-stores-hairdressers-and-beauty-salons/
新たな封鎖地域:ベイト・シェメシュ、ネティボットなど
各地で、経済活動の規制緩和が始まっているが、ユダヤ教超正統派の居住区では、まだ感染者が増加する傾向にある町がある。政府は、住民1000人に対する感染者数が多いベイト・シェメシュ、ネティボットなどの超正統派地区を、26日(日)朝から5日間封鎖すると発表した。
こられの地域では、一部の過激な超正統派たちが、警察への反発もみられた地域である。封鎖期間中、食料等、必要物品は、すべて、軍が準備、配給する。
先に封鎖措置に置かれていたユダヤ教超正統派地区、ブネイ・ブラックと、メア・シャリームなどエルサレムのユダヤ教地区の封鎖はすでに解除されている。
*ユダヤ教超正統派ラビ2人が政府に従う方向で脱帽
ユダヤ教超正統派たちが、政府の外出規制に従わず、反発を続けた背景には、3月12日に、特に律法に厳しいリトアニア派のトップの1人、ラビ・カニエフスキー(92)が、ネタニヤフ首相のイシバ(ユダヤ教神学校)の一時閉鎖を拒否したことがあげられる。
ラビ・カニエフスキー(92)に従い、超正統派の若い学生たちは、外出規制を守らず、通常の生活を継続して、外出制限を監視にきた警察と衝突する者も出る騒ぎとなっていた。これを受けて、ラビたちは、警察による封鎖をただちに緩和しなければ、もっとひどいことになるといった脅迫じみた声明も出していた。
しかし、こうしたラビの方針のために、超正統派地域で感染が広がったのではないかとの非難も出てくるようになった。
このため、リトアニア派は、23日、ラビ・カニエフスキーと、ラビ・ゲルション・エデルステインの2人が、超正統派・統一トーラー党のヤコブ・リッツマン保健相に協力するという立場で、「26日から開始予定のサマー・プログラムについては、各自家での学習とし、イシバは開講しない。」との共同声明を出した。
www.timesofisrael.com/senior-ultra-orthodox-rabbis-announce-yeshivas-not-reopening/
*インターネットに走るユダヤ教超正統派
超正統派社会では、これまで世俗社会のインターネットを使うことが禁じられ、世俗社会にアクセスしない超正統派使用のものに限られていた。ところが、イスラエルの通信会社ベゼックによると、コロナ危機が始まってから、超正統派地域で、インターネットへのアクセスが40%も増えたとのこと。(i24)
コロナ危機後の超正統派たちのライフスタイルに変化が出て、一般社会へのさらなる参画も期待できるのではないかとの声もある。
経済復興にむけて(政府プレスオフィス資料より)
1)2020年コロナ関連の特別出費予想:500億シェケル(1兆5000億円)
経財相は、2020年中に、コロナ危機で必要になる特別歳出を、500億シェケル(1兆5000億円)との予測を発表した。経済活性化案を含めると800億シェケルに及ぶ。
計画は4段階で、①医療・市民生活関連 ②社会保障 ③企業継続支援、④企業発展となっており、それぞれに資金が配分される。①には100億シェケル、②には38億シェケルとなっており、67歳以上の高齢者で、コロナの影響で職を失った人々への生活保障も行うとなっている。
2)自営業・小規模企業へ支援80億シェケル(2400億円)
日本と同様、イスラエルでも、コロナ危機で最も大きな影響を受けているのは、自営業者や、小規模業者である。政府は、これらの企業へ80億シェケルを支援することで合意した。
このうち、52億シェケルは、小規模企業、28億シェケルは、自営業者の2−3月の損失を、最大40万シェケル(1200万円)まででカバーする。支給は税申告データに従い、5月初頭に支給される。
これ以降の自営業者への支給は、3−6月の収益が、通常より25%以上減少している企業が対象となり、通常収入の70%を保証する分が、最高1万500シェケル(32万円程度)で、追加支給される。
石のひとりごと:イスラエルが示す指針
イスラエルという国は、全世界のサンプルであると思う。この国で起こることは、やがて世界にも起こるというパターンが多い。
また、イスラエルは、危機察知能力に相当長けている。合わせて、危機が終わりそうな時を読むことにも通常は長けている。できるだけ、無駄はしないからである。
当初、コロナ危機が出始めたころ、まだ世界がそこまでの危機感を持っていないときに、イスラエルは、やりすぎぐらいに、国の封鎖を実施した。その様子から、もしイスラエルが、そこまで極端なほどの対処をするということは、おそらく本当に大変なことになるだろうと懸念したが、果たしてそうなった。
イスラエルは、今、経済の回復をかなり急いでいる。日々の感染者は、東京より多い200人以上であるのに、もう経済再開を始めているのである。アメリカからは「早すぎる」と言われた。しかし、イスラエルは実施に踏み込んだ。それは、今が、自国経済復興のぎりぎりの時だと読んだからである。
しかし、それだけではない。イスラエルは、だいぶ前から世界にやがれ食糧難、水不足の時代が来ると言っていた。今、世界は、コロナ危機びあと、世界恐慌、食糧難、水不足になると懸念されている。いよいよその時に近づいている。
おそらく、その時までに、イスラエルは、それを乗り越えるだけの力を取り戻しているのではないだろうか。
無論、イスラエルとて、完璧ではなく、失敗もある。今も道の領域に進む中、抜足差足である。それも含めて、イスラエルは、総じて、世界の先を行っているように思う。それは決して、彼らがすぐれているという意味ではない。
以前、スティーブン栄子師のご主人、ビル師が、「イスラエルは、レジに並んでいる人々の先頭に立っているようなものだ。」と言われた。イスラエルは、先頭にいるが皆と同じように支払いはしなければならないし、先に撃たれるのも、先に出てくるのもイスラエルだということである。
イスラエルは、時を読むしるしだと言われるが、これからも目を離せない存在だと思う。