トランプ大統領が、昨年12月に、エルサレムはイスラエルの首都と宣言してから100日目となる16日金曜、ガザ地区、西岸地区各地で、パレスチナ人が、投石するなどの暴動をおこして、イスラエル軍と衝突した。
これにより、ツル・カレム付近でイスラエル兵2人が負傷(軽症)。パレスチナ人3人が負傷した。(パレスチナメディア情報)
ガザ地区国境付近では、約100人がイスラエル兵にむかって投石。この時少なくとも7人が、イスラエル軍の反撃で負傷している。
イスラエル各紙によると、トランプ大統領のエルサレム宣言以降、パレスチナ・ナショナルイスラム・フォースという様々なイスラム組織からなる武装勢力が、毎週金曜を”怒りの日”と呼んで暴動をおこし、イスラエル軍と衝突している。最近では、暴力がエスカレートする傾向にあるという。
www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Explosion-in-the-northern-Gaza-Strip-no-IDF-casualties-545163
<イスラエル兵2人死亡、2人重症:西岸地区>
暴動の中でではなかったが、金曜午後、西岸地区北西部のユダヤ人入植地マボ・ドタンに近い585号線上の見張り塔近くで、交代のために立っていたイスラエル兵4人に、パレスチナ人が運転する車が突っ込み、イスラエル兵2人が死亡。2人が負傷した。
負傷した1人は、深刻な頭部外傷で、命の危険がある。もう一人は中等度の負傷。
テロリストは、ワジ・アラ地方バルタア出身のアラ・カブハ(26)。いったん現場から逃げたが、負傷して逮捕された。後に、”パレスチナのためにやった”との動機を認めている。アラは、昨年4月、17ヶ月の景気を終えて、イスラエルの刑務所から出所していた。
www.timesofisrael.com/liberman-vows-to-seek-death-penalty-for-west-bank-car-rammer/
事件発生後、イスラエルは直ちにカブハ一族67人のイスラエル(入植地含む)での労働許可を剥奪。イスラエルとの貿易許可も剥奪した。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5172565,00.html
また、この翌日、イスラエル軍は、アラ・カブハの出身村への踏みこみ捜査を行い、隠された武器の捜索や車両の捜索を行い、家族を尋問した他、アラの兄を連行した。
ハマスは、犯行を称賛。トランプ大統領のエルサレムはイスラエルの首都宣言から100日目のテロであったことを強調。「パレスチナ人の”抗議”は一時的なものではなく、今も継続しているということだ。」と言った。
リーバーマン防衛相は、「個人的なテロはない。すべてパレスチナ自治政府のアッバス議長の責任だ。」と語った。またテロリストへの死刑を主張した。
<ガザ国境で爆破事件続く:パレスチナ自治政府ハムダラ首相を暗殺未遂>
13日火曜、ガザのハマスを訪問しようとしたパレスチナ自治政府のハムダラ首相の車列近くで、仕掛けられていたとみられる爆弾が爆発。車3台が被害を受け、側近などに負傷者が出たが、ハムダラ首相自身は無事だった。
この後、ハムダラ首相は、予定通りガザに入って、汚水処理施設の開所式に出席している。負傷者は、イスラエル側で医療処置を受けた。
この事件の数の2日後、ガザとの国境、イスラエル兵のパトロールのルートでも、爆発が複数発生。イスラエル兵に被害はなかったが、イスラエル軍は、ガザ地区へ報復の戦車砲を撃ち込んだ。エルサレムポストによると、こうした事件は今月に入ってから2回目になる。
パレスチナ自治政府は、ハムダラ首相暗殺事件未遂事件とみて、ハマスに責任があると訴えた。しかし、ハマスは、犯行を非難し、ハマスとパレスチナ自治政府の和解を妨害しようとする一派の犯行だと主張した。
www.timesofisrael.com/explosion-reported-near-palestinian-pms-convoy-during-gaza-visit/
*ラミ・ハムダラ首相
ハムダラ首相は、元言語学者で穏健派とみられている。2013年、ファイヤド前首相の後継者として、アッバス議長から首相職に指名され、いったん受諾したが、2週間後に辞表を提出している。
パレスチナ自治政府は、議長が大きな権力を掌握しており、首相には、実質あまり権力はない。その中で、地味な内政を任される立場にある。辞表を提出したハムダラ首相の気持ちも十分わかるというものである。
しかし、結局、その3ヶ月後に、再びアッバス議長から内閣形成を任され、首相となった。トランプ大統領がUNRWAへの支援金を半減させてしまった昨今、特に厳しい対応に追われていると思われる。
なお、Times of Israelによると、ハムダラ首相は、2000年に事故で3人の息子を失っている。
<石のひとりごと>
過越を前に、若いイスラエル兵がまた2人死亡した。なんとも気が重い。息子たちを兵役に出し、そして失ってしまった家族は、どう思っているのだろうか。息子たちはもう2度と帰ってこないのである。あまりにも厳しい現実だ。
イスラエルの市民生活は今、実に平和だが、その平和がこうした兵士たち、その家族たちに支えられていることを改めて実感させられる。まさに平和は、あたりまえではないということである。
せめて重症の兵士が、回復してくれることを祈っていただければと思う。