ぎりぎりでなんとかすり抜けるベネット政権。バイデン大統領がイスラエルに約束した、迎撃ミサイル強化への支援10億ドル(1100億円)分について、民主党内部から反発意見が出され、その是非が、下院で審議されることとなった。
この10億ドル分は、主に、5月にハマスとの戦闘が発生した際に消費してしまったミサイル分の補充であるとのこと。このため、イスラエルでは、もしこの約束が果たされなかった場合、治安に大きな欠陥になるだけでなく、アメリカがもはやイスラエルをバックアップしないということを世界に証明することと
なり、今後、イスラエルの治安維持は、新しい時代を迎えるとまで言われていたのであった。
しかし、蓋をあけてみると、激しい論議が行われたあと、賛成420、反対9で圧倒的な可決となった。反対した8人は、民主党員で、共和党員が1人であった。
この結果を受け、ベネット首相は、民主党、共和党双方に、感謝を表明した。またもやギリギりセーフであった。
<アメリカのイスラエルへの防衛支援>
上記のように、イスラエルは、アメリカから10億ドル(1100億円)の支援を受けることとなったが、これは、今年初頭、アメリカがアイアンドーム強化の支援として約束した7300万ドル(80億円)とは別とのこと。さらには、イスラエルが、年間に受け取っている防衛費支援の38億ドル(4000億円)とも別計算とのこと。
これにさかのぼって、アメリカは、2011年以降、イスラエルがアイアンドーム迎撃ミサイルを開発できるよう、17億ドル(2000億円)を支援。2014年のガザとの戦争の後、オバマ当時大統領は、イスラエルにミサイルシステムの回復のためと2億2500万ドル(250億円)を支援していた。こうしてみると、今回の10億ドルは、これまでの支援額の60%にあたり、かなりの額であることがわかる。
文字通り、イスラエルは、アメリカの支援により、これまで生き延びてきたといっても過言ではないのかもしれない。しかし、イスラエルは、ハマスのミサイルを撃墜できているとはいえ、その支払いは相当な額のようである。