<フランス主導の中東和平会議・延期の発表>
フランス政府は、パリでのイスラエルとパレスチナのための国際中東和平会議を提案。今月末には開催を目標に、双方への交渉を行っていた。
会議は、5月30日に予定されていたが、17日、フランスのオーランド大統領は、夏まで延期すると発表した。理由は、そこで重要な役割を果たす予定のケリー国務長官が、現在、手一杯で出席できないからと言っている。
また、この試みがもし失敗した場合は、再びテロや戦争のきっかけになると予想されることから、慎重を期す必要があるとも語っている。しかし、実際には、こうした会議を開催する状況にないというのが理由のようである。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4804149,00.html
フランス主導のイスラエル・パレスチナの和平交渉について、ネタニヤフ首相は、案が出た当初から、「この問題への解決は、双方が無条件に直接会談に望むことであり、他者の介入では解決しない。」と述べて拒否する意向を伝えていた。
また先週、ユネスコが、「ユダヤ人と神殿の丘には歴史的な関係がない」との採択を行い、33カ国が賛成票を投じて、可決されていたのだが、その中にフランスも含まれていた。
いうまでもないが、神殿の丘には、ソロモンの第一神殿から、エズラ・ネヘミヤからヘロデ大王に至る第二神殿に至るまで、ユダヤ人の神殿があったのであり、それは歴史学者も考古学も認めているところである。
にも関わらず、ユネスコがこうした決議を認めたことで、ネタニヤフ首相は激怒し、「国連職員全員に歴史の授業を提供する。」と反発。国連も直ちに「その必要はない」と言い返すという出来事があった。
www.rt.com/news/342184-israel-unesco-temple-mount/
当然、これに賛成票を投じたフランスが主導する中東和平会議に、ネタニヤフ首相が、参加するはずもない。
ケリー国務長官も、あれほどリキを入れて、アメリカとエルサレム、ラマラ、ヨルダンをさんざん往復してもなお、失敗した両者の関係回復である。
経験のあるアメリカですらさじをなげた問題に、フランスが急に出て来て解決できるはずもない、というところではないだろうか。
<エジプトが和平交渉へ意欲>
ところが、このフランスの会議延期の発表があった後、エジプトのシシ大統領が突然、フランス主導の中東和平会議を支援するとの発表を行った。
シシ大統領は、「1979年以前のイスラエルとエジプトの関係(両国の和平交渉前)は、今のイスラエルとパレスチナ人と同様に敵意に満ちたものだった。」とし、イスラエルとパレスチナも和平は可能であるはずだと述べた。
その上で、これは両者にとって和平のチャンスであるとし、エジプトは、これにできる限りの協力をする。もし合意に至るならば、エジプトはイスラエルとの関係を良きものとして維持すると約束すると述べた。
パレスチナへは、分裂している勢力を統一するようよびかけ、それにもエジプトは協力する用意があると述べた。
ネタニヤフ首相は、エジプトのこの申し出に対し、エジプトと穏健アラブ諸国の協力に期待すると、これを受け入れ感謝すると発表した。代表野党のヘルツォグ党首も同様の見解を発表している。
しかし、実際にはどうだろうか。まずは会議が実現するかどうか、もし実現し、解決したとしたら、それこそ歴史的なことである。今後の動きに注目したい。