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5月3日ウクライナ情勢まとめ
ロシアがウクライナへの侵攻を開始してから、3ヶ月めに入った。
米当局によると、ロシアは予想以上のウクライナ軍の反撃を受けており、戦死者1万5000人、戦車530台を含む装甲車2000台、ヘリコプター、戦闘機60機と兵力の約30%を失っている。このため、ひんぱんに作戦変更を余儀なくされているとみられる。
jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-usa-conference-idJPKCN2MI0X8
しかし、プーチン大統領が、それで引き下がる様子はなく、東部から南部への戦闘を強化し、地域の制圧とロシア化を進めている。
その手は、これまで大規模な戦闘にまでは至っていなかったオデーサでのミサイル攻撃にも発展。死者も出ている。
今懸念されているのは、オデーサから西、親ロシアでロシア軍も駐屯する沿ドニエストルで、複数の衝突が発生していることである。ロシアはウクライナによるものと非難しているが、偽旗作戦とみられ、今後、戦闘が、隣国モルドバへと拡大してく可能性が懸念されている。
その後、27日、国連のグテーレス事務総長が、プーチン大統領、続いてゼレンスキー大統領を直接訪問して、話をしたが、結果は出せなかった。それどころか、グテーレス事務総長がキーフにいる時に、キーフへのロシアのミサイルが着弾し、ロシアに停戦への意志がないことを表明したようなものであった。
またこの日、ロシアは、ポーランドとブルガリアに向けた天然ガスの供給を停止すると発表した。
ロシアがいっこうに強気姿勢を崩さないので、西側諸国など40カ国は、先月25日に、ウクライナに対し、防衛用だけでなく攻撃用も含めた軍事支援を開始することを決めていたが、4月30日、アメリカのペロシ下院議長が、キーフを訪問。
ウクライナへの支援継続と表明するとともに、バイデン大統領が計上した330億ドル(約4兆3000万円)の可決を急ぐとゼレンスキー大統領に伝えた。ペロシ氏の訪問西側の一致と決意を表すことが目標であったとのこと。
www.cnn.co.jp/usa/35187046.html
こうした中、5月9日には、モスクワで、戦勝記念日が行われる予定で、それまでの間に、ロシア軍が、ウクライナ東南部での制圧地域を拡大するとみられている。
今年の戦勝記念日に出席する外国首脳はおらず、ウクライナとの戦闘の最中でもあり、縮小したイベントになるとみられている。しかし、ロシアは、このイベントで、プーチン大統領が最終的な段階での核兵器による戦闘を指揮するとされる特別機、「終末の日の特別機」を登場させると発表しており、この日、「開戦宣言」が出されるのではないかとみられる。
*この終末の日の特別機なる指揮用の飛行機は、アメリカにもある。
総じて、ウクライナでの戦闘に解決の糸口は見えていないどころか、エスカレートしているということである。
ウクライナ現状:東南部戦闘激化・オデーサへもミサイル
1)東部制圧とロシア化
キーフから撤退したロシア軍は、東部ルガンスク州とドネツク州の完全制圧を目指して戦闘を激化させている。制圧が済んだ地域では、レーニン像が設置され、ロシアの教育や、通貨もルーブルにするなど、ロシア化が進められていると伝えられている。
プーチン大統領が、すでに両州の独立を承認している中、近く、独立に向けた住民投票を行う可能性があるといわれている。
2)南部制圧とロシア化:オデーサへの戦闘拡大懸念
南部でもロシア軍の攻撃が激化しており、特にヘルソン州を制圧して、東部2州のように、レーニン像を立て、独立にむけた住民投票が行われる可能性があるとみられている。
マリウポリでは、町の90%が破壊され、アゾフターリ製鉄所にウクライナ軍兵士と一般住民ら1000人以上が立てこもっているとみられていた。先週、ロシア軍の攻撃は一時的にやんだが、兵糧攻めにしたため、水も食料も底をつき始めていた。
このため、ロシア軍(?)と国連が協力して、20人、100人と市民たちが製鉄所から、ウクライナ支配地への脱出を始めていた。しかし、2日には、ロシア軍の激しい空爆がはじまり、脱出はまた停止しているとのこと。製鉄所にはまだ数百人の一般市民も残っているとみられる。
そこからさらに西、南部の港湾都市、オデーサでは先月23日、ミサイル攻撃があり8人が死亡していたが、5月2日、居住地が爆撃を受け、15歳の少年が死亡した。この日は、特に歴史的背景から、ロシア軍の攻撃が予想されていたため、夜には戒厳令が出ていたとのこと。
www.ndtv.com/world-news/teenage-boy-killed-in-russian-missile-strike-on-ukraines-odessa-2941118
3)モルドバの沿ドニエストルへ拡大する戦闘
モルドバとウクライナ国境にそって、沿ドニエストル共和国という無認可の親ロシア地域が存在する。本来はモルドバ領である。この地域で、小さな爆破事件などがあいつでおり、ロシアは、ウクライナによるものと言っている。これまでのパターンから考えると、これらは偽旗作戦で、ロシアがウクライナを攻撃する理由に使われる可能性が指摘されている。
モルドバは、3月にmジョージアとともに、EUへの加盟を申請しており、ロシアには屈しない構えである。
www3.nhk.or.jp/news/html/20220304/k10013513231000.html
ロシア“弱体化”で西側40カ国一致:イスラエルも出席
こうしたロシアの前に西側はどうしているだろうか。4月25日、ドイツで、アメリカのオースティン国防相が、ロシアのウクライナ侵攻に対処するための国際会議を開催した。
参加したのは、NATO加盟国に、オーストラリアや日本、韓国など、40カ国が参加。イスラエルも参加していた。
これに先立ちオースティン米国防相は、「ロシアを弱体化させる」との表明しており、今後はさらに積極的なウクライナへの軍事支援を行うことを目的とした国際会議である。
今後も毎月定期的にグループ会議を行ない、ロシアの“暴走”を抑えようとする動きである。
この会議では、これまで、第二次世界大戦以降の制約から、ウクライナへの軍備供与には、ヘルメットのみなどと慎重だったドイツが、ケパルと対空戦車50台を供与すると大きな方向転換を明らかにした。
攻撃用ドローンや、兵士の訓練など、これまでより攻撃的な支援が明らかにされている。
この会議には、軍事介入には今の所加わっていなかったイスラエルの代表も出席していた。あらゆる面で、大きな転換期になったと考えられる。しかし、西側のこうした動きは、プーチン大統領には宣戦布告にもみえるかもしれない。
5月9日には、ロシアから開戦宣言が出されるとも言われており、核兵器を使う理由にもなってしまうかもしれない。まさに、「終わりの日の時の戦闘機」の登場である。それがどうか阻止されるよう、神に祈らなければならない。