ラピード外相・ブリンケン米国務長官・ベン・ザイードUAE外相:イラン問題を協議

ラピード外相、ブリンケン国務長官、ベン・ザイード外相 GPO

イランへの武力行使も示唆:アメリカ、イスラエル、湾岸諸国

13日、ラピード外相と、昨年交わされたアブラハム合意で、湾岸諸国で最初にイスラエルとの国交正常化に踏み切ったUAEのベン・ザイード外相は、ともにワシントンを訪問。それぞれ、ブリンケン米国務長官と個人会談をした後、ともに3者会談を行った。

3者がともに会するのは、アブラハム合意から1年目ということではあるが、主な議題は、2015年以来のJCPOA(イランと国際社会との核合意) をどうするかという問題であった。

イランでは6月、強硬派と目されるライシ大統領へと政権交代があった。このため、以前からくすぶっていた2015年のJCPOA(イランと世界諸国の核開発に関する合意)延長問題が、保留になったまま動いていない。

すでにイランは合意から逸脱して、20%にまで濃縮されたウランを120キロを保有して、核兵器に一段と近づいた様相にある。

アメリカは、なんとかこの合意に復帰し(トランプ大統領時代にアメリカは離脱)、イランとの新たな合意に持ち込めるよう、外交努力してきた。

しかし、その努力は報われていないことから、あと残る手段は、武力でイラン核施設を復帰不能までに破壊するというところにまで話が進んできている。

ラピード外相はこの3者会談の後の記者会見で、「イスラエルには、イランの核施設攻撃する権利がある。ブリンケン国務長官と私はともに、ホロコーストサバイバーの息子だ。

世界には、悪に武力で立ち向かわなければならない時がある。テロ国家が核兵器を持とうとしているなら、それは止めなければならない。

文明社会はそれを受け入れないということを明らかにしなければならない。世界は真剣なのだということをイランに悟らせなければ、イランは核兵器へのレースを走り抜いてしまうだろう。もし、外交的手段が限界なら、“他の選択肢”(武力)も必要だ。」と、武力行使の用意があることを明白にした。

ブリンケン国務長官は、「イスラエルとUAE、アメリカの3国は、イランを核保有国にすることを認めない。」ということで一致していると述べた。

また、「この9ヶ月、警告を発しながら様子を見てきたが、イランの様子に変化がない。もはや時間がなくなりつつある。イランが今のまま態度を変えず、JCPOAを再開できない場合、“他の選択”に移行するしかない。その準備は整えている。」とイランに警告を発した。

参考までに、4ヶ月前の6月のブリンケン国務長官のイランに関する発言は以下の通り。今と同様のことを言っているのがわかる。イランに対する危機感の表明は今にはじまったことではないということである。

攻撃の前?の外交

本日14日、EUの使節団としてエンリケ・モラ氏がテヘランを訪問する。議題は、イランとEUの関係、アフガニスタン問題、そして2015年のJCPOA核合意についてとなっている。これで、JCPOAにまだ希望があるのか、ないのかが見えてくるだろう。

www.timesofisrael.com/eu-envoy-to-visit-iran-thursday-seeking-progress-in-nuclear-talks/

また、来週、ベネット首相が、ロシアでプーチン大統領と会談することになっている。もし将来、イスラエルがイランを攻撃するとしたら、その背後にいるロシア、中国がどう出てくるかが大きな課題になる。ベネット首相のロシア訪問もイラン問題が議題になるとみられている。中国については、アメリカがイスラエルに関係強化に釘を刺す発言をしている。

www.timesofisrael.com/bennett-to-travel-to-russia-next-week-to-meet-putin-with-iran-on-agenda/

最近のシリア領内イラン関連施設への攻撃

イスラエルはここ数年、シリアに進出してくるイラン軍関係施設を空爆する作戦をずっと続けている。その数は数え切れないほどで、イランも水面下で、ドローンによる攻撃で反撃したりしてきた。イスラエルとイランは、実質的にはもう戦争をしている状況にある。しかし、この数週間は特に、攻撃が相次いでいた。

①10月13日
シリアのメディアによると、13日夜、シリア中央パルミラ周辺で、イスラエルによるとみられるミサイル空爆があった。最近の空爆は、その地域の上空に言ってから発射するのではない。遠い地点の上空、時に国境の外から戦闘機がミサイルを発射するという形の空爆である。

今回も、戦闘機からのミサイルではあったが、発射されたのは、シリア、ヨルダン、イラク国境にあるアメリカ軍拠点に近い地域からであったと、SANA (シリアのメディア)は報じている。この攻撃でシリア人兵士1人が死亡した。

www.timesofisrael.com/syrian-state-media-reports-idf-strike-in-countrys-center/

②10月8日
シリアのメディアによると、8日夜、パルミラ郊外のT4空軍基地に、イスラエル戦闘機からミサイルによる空爆があった。発射地は上記と同じ地点とみられる。この攻撃で、シリア兵6人が負傷。

www.timesofisrael.com/israeli-warplanes-allegedly-strike-syrian-airbase-near-homs/

③9月27日
シリア東部ユーフラテス川近くのイラン軍施設が空爆を受けた。シリアもイスラエルも無言であった。

www.timesofisrael.com/strikes-said-to-target-iran-backed-forces-in-eastern-syria/

イランの反応:迎撃ミサイルテスト完了で対戦姿勢を強調

イスラエルとアメリカの警告を出す中、イラン軍は、12日から、弾道ミサイルなどに対処する迎撃ミサイルシシテム、巡航ミサイルの訓練とそのテストを行った。イランのメディアを通して、イラン軍司令官が公表したところによると、「イランの対空防衛は完全に準備が整っている。イランは、これらの対空ミサイルシステムを全国に配備した。」と述べた。

*イランが厳しい経済制裁の中で、武器開発ができたのはなぜか?

イランは、2015年のJCPOAにより、核開発には、一定のブレーキがかかったものの、遠心分離機を配備した各濃縮工場などは、すべて温存であったため、合意の期限が切れると、あらたな合意がないと、ただちに核開発を再開できる状態にあった。また、経済制裁が緩和されたことで、イランは上記のような非核通常兵器、迎撃ミサイルなどを配備することができたということである。

この不備を訴えていたイスラエル2018年、トランプ前大統領が同意を表明し、今に至る経済制裁を復活させたのであった。その影響で、イランの武器開発にはブレーキがかかったと思われるが、結局ロシアと中国が背後でイランの経済を支えていたことから、アメリカの経済制裁で、イランの危険な現政権を内側から倒すことはできなかったということである。

石のひとりごと

イスラエルとイランが戦争になると、欧米資本主義諸国と、共産主義国というイデオロギーの衝突に発展する可能性がある。そこまでの戦争にならないよう、お互いに脅しあっているという段階だろうか。

しかし、ちょっとしたことで戦争は勃発するものである。主が定められた時意外に戦争が始まって、救われる前に死ぬ人々が双方に出ることがないように、中東全体を覚えてのとりなしが必要である。

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて18年。学校・企業・教会などで講演して15年になります。