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ヘブロンでの過激右派暴動
今のネタニヤフ政権は、ユダヤ教政党と右派宗教シオニスト政党で、支えられている。このため、西岸地区では、強硬右派たちが、パレスチナ人を暴力と恐怖で追い出そうとする事件が増加しており、西岸地区をイスラエルが合併するという野望を見せている。
先週19日(火)、ヘブロンのユダヤ人地域で、宗教行事に集まっていた数十人の過激右派ユダヤ人たちが、ユダヤ人とパレスチナ人の衝突を監視し、治安を維持するために駐留しているイスラエル軍の司令官アビ・ブルース大佐を襲撃した。
過激ユダヤ人たちは、過激ユダヤ人の動きも監視しているため、ブルース大佐を「裏切り者」と呼んで、追いかけ、出口を封鎖しようとした。この暴動の中で、5人が逮捕され、暴徒は解散させられた。
ユダヤ人の行政逮捕廃止とカッツ防衛相発表
過激ユダヤ人の逮捕は、裁判所の許可がなくても、とりあえず逮捕できる、いわゆる「行政逮捕」の適応の中で行われている。この逮捕の場合、最大半年間、身柄を拘束できる。
しかし、実際には、現時点でこれが適応されて、身柄を拘束されているユダヤ人は7人であるのに対し、パレスチナ人は数千人に上っている。
ユダヤ人の場合は、逮捕されても、だいたい数日の間で釈放されているからである。パレスチナ人からは、問題視されている。
こうした現状からか、11月22日(金)、カッツ国防相は、行政拘束のユダヤ人への適応は廃止すると発表した。
つまり、今後、過激ユダヤ人が、たとえ現場で取り押さえられることはあっても、長期間、身柄を拘束されることはないということである。過激右派勢力は、これを歓迎している。
これについて、国内治安を担当するシンベトのバル長官は、ユダヤ人であってもテロ攻撃を計画していることがわかれば逮捕するべきであるとし、それをしない場合は、イスラエルの治安に関わる問題に発展すると反対、警告していた。
しかし、カッツ国防相は、ユダヤ人への行政逮捕は停止すると発表し、バル長官には、代替となるシステムを提案するよう、指示したとのこと。
石のひとりごと
今のネタニヤフ政権は、左派傾向のガンツ氏、続いて、前防衛相のガラント氏を政権から追放して、右派のカッツ国防相に交代させた。徐々に右派でかたまる政権になりつつある。
右派たちは、根本的に、西岸地区とガザ地区も、神がユダヤ人に与えた地であるとの理解である。しかし、今は、それに加えて、パレスチナ人との共存は、もはや不可能であり、西岸地区も、イスラエルが支配するしか道はないとの考えも拡大している。右派政権の行動が大胆になりつつある。
これを世界が受け入れるとは思えないが、今の世界情勢を見ると、まるで予想外ばかりが起こっている。この流れの中で、右派たちが、第三神殿の設立に進み始めるといったことも、起こりうるのかもしれないと思う。