シリア情勢と難民の少年たち 2016.6.12

イスラム教では、宗教行事の間だからといって戦争がなくなることはない。むしろ、アラーのために戦う霊がはたらくようで、死者はより増える。

11日、ダマスカス郊外で、自爆テロが発生し、12人が死亡した。ISISが犯行声明を出している。シリア領内のISISは徐々に領土を失いつつあるのだが、ダマスカスという主都を狙ったテロを行う事で、まだまだ健在ぶりを発揮した形である。

www.bbc.com/news/world-middle-east-36506192

シリア内戦での死者は5年で25万人以上。国外難民は1100万人となっている。

国内にとどまっている難民は、餓死の危険性の中にいるが、9-10日、ダマスカス郊外へ、国連などから人道支援物資の搬入がはじまった。

しかし、ダマスカス郊外では、シリア政権軍の空爆が続き、搬入は著しく妨害されているという。

ダマスカスでのテロ事件を受けて、シリア軍とそれに協力するヒズボラは、空爆を正当化するかのような態度だという。

<売春を余儀なくされる難民の少年たち>

シリアなどの難民たちが、トルコからヨーロッパに流れて行けないようにして、トルコにとどまる策が施行されて以来(トルコ発案)、ギリシャへ渡る難民はいなくなった。*逆に北アフリカからイタリアへは増加

しかし、これより先にギリシャへ移動していて、そのまま留め置かれた難民たちは、前にも後にも進めず、悲惨なことになっている。
BBCが、彼らがたむろするアテネの公園など現場の地獄のさたを報告した。

それによると、難民の少年たちが、生き延びてなんとかヨーロッパへ進むため、一回、5-10ユーロで体を売っているという。行為はごみだらけの公園のやぶなど、屋外で行われている。麻薬売買もあり、地域はまさに無法地帯となっている。

いうまでもないが、男子が売春するということで、まさにソドムとゴモラ状態である。

難民として逃れて来たのは、大半が男性たちだが、10代やそれ以下の少年が一人で逃れてきているもめずらしくない。こうした男性たちは、先にヨーロッパにたどりつき、おちついたら家族を呼び寄せようとしていたのだが、今となっては先にもすすめず、元の国にも戻れない状況に陥っているのである。

BBCのインタビューに答えた若い少年は、体を売る以外に道がないことや、いまとなっては、ヨーロッパをめざさなければと後悔していると語っている。

www.bbc.com/news/world-europe-36500635

また、エルサレムポストによると、単独でヨーロッパへ入った中東系の難民の子供たち1万人が行方不明だという。犯罪組織の人身売買に連れ去られたと懸念されている。

これらの子供たちには国がない。パスポートがない。つまりだれがこの子たちを守るのかといえば、だれもいないということである。しいていえば、子供たちがたどりついたヨーロッパの国々ということになるのかもしれないが、どの国もこうした子供たちの為に犠牲を払う国はない。

この記事によると、赤十字がホットラインを開設し、対処に乗り出しているもようである。

www.jpost.com/Middle-East/Without-help-families-face-lonely-search-for-Europes-missing-refugee-children-456532

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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