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アメリカがイラン関係施設を攻撃
アメリカが、27日、シリアとイラク国境のイランの支援を受けている武装組織拠点を空爆。
ペンタゴンのキルビー報道官は、イラクに駐留している米軍が、今年に入ってから少なくとも40回は攻撃されたとして、バイデン大統領の指示により、この攻撃を実施したと正式に発表した。
アメリカが、今回攻撃したのは、シリアとイラクの国境付近で、シリアにあるイランに関係する組織の武器庫2箇所と、イラクの武器庫1箇所とのこと。これにより、イラクの武装勢力の少なくとも5人が死亡したとみられている。
イスラエルが、シリアとイラクのイラン関連施設を攻撃するのは(正式発表はいつもあるわけではない)珍しいことではないが、アメリカがこれを攻撃し、正式に認めるのは、異例である。
この攻撃は、イラク北部、ユーフラテス川周辺で、アメリカ領事館もあるクルド人勢力地域の首都、アルビルが攻撃された翌日とのことであった。こうした米軍や、アメリカ関係施設周辺への攻撃は、アメリカに早く撤退するようにとの圧力とみられている。
www.timesofisrael.com/us-airstrikes-in-iraq-syria-target-iran-backed-militia-groups/
中東からの米軍撤退に関して
バイデン政権は、今年9月11日までに、アフガニスタンの米軍を撤退させる計画である。このため、アフガニスタンでは、タリバンが台頭し始めており、米軍に協力したアフガン人ちは身に危険が及ぶとして、アメリカへの移住を求める動きもある。
イラクに駐留する米軍は、IS討伐の際には、6000人規模で派遣されていた。しかし、もはやISと戦うことはなくなったとして、トランプ政権時代に撤退が計画され、現在は、2500人が残されているだけである。
イラク政府からの撤退要請もあり、バイデン政権も、米同時多発テロとその後の戦争から10年を機に、イラクからの米軍を撤退させる方向である。
しかし、この地域からの米軍撤退は、周辺スンニ派諸国が反対している他、イスラエルにとっても、イランから地中海に至る通路に障害がなくなる形ができあがるので、非常に危険である。
このため、アメリカは、イランとの対話の経路を確保するためにも今、JCPOAを通じて、イランとの接点を持とうとしている。しかし、両国の溝は深まる様子がみえていない。
じわじわ危険度高まるイラン情勢
イランは、JCPOA核合意から離れて、核の濃縮を60%にまであげ、アメリカとの妥協もみせず、強気姿勢を崩していない。
さらに27日、イランのガリバブ国会議長が、IAEA(国際原子力機関)ん査察受け入れ期間が、24日、執行したとして、原子力施設の監視カメラのデータなどを提出しないと述べた。
この査察期間は、2月にイランとIAEAが最低限の査察に応じるとして受け入れたもので、5月に期限が切れたが、この時、なんとか、1ヶ月延長されていたというものである。いよいよイランの核兵器開発への歯止めが効かない状況になりつつある。
www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2723T0X20C21A6000000/
さらにイランからは、27日、イラン国営放送で、イラン革命防衛隊総司令官が、7000キロ先の標的を攻撃し、戻ってくることのできるUAV(ドローン)を保有していると述べた。これは、イスラエルだけでなく、広くヨーロッパにまで到達できるということである。
www.timesofisrael.com/iran-claims-it-has-drones-capable-of-flying-7000-kilometers/
イランでは、8月3日には、今より強硬なライシ大統領が今のロウハニ大統領と交代することになっており、もしかしたらすでに、ライシ大統領の方針に入りつつあるということかもしれない。
こうした中、イスラエルは、ガンツ防衛相(前政権時代)、続いてイスラエル軍のコハビ参謀総長がワシントンを訪問し、アメリカの防衛関係者と会談を行なったのであった。続いて、ラピード外相が、ローマでブリンケン米国務長官と会談に臨んでいる。