シリアでは、13日、ISの最後の拠点、バグスで、IS戦闘員とその親族ら3000人が投降したと、アメリカが支援するクルド人からなるシリア民主軍が発表した。
www.afpbb.com/articles/-/3215475?pid=21071099
これに続いて22日、トランプ大統領が、シリアのISは終了したと宣言。続いて23日、アメリカが支援するシリア民主軍(クルド人勢力)が、「シリアのISを撃滅」と発表した。
<IS後のシリア:最大の危機はクルド人自治区>
確かにISの支配域はなくなったが、多数のIS分子は、離散しただけで、付近に潜んでいるため、復活は時間の問題と指摘されている。
シリア民主軍によると、1月からのバグスでの最終戦闘で、ISのジハーディスト5000人とその親族2万4000人が散らばったていると推定される。(推定数・メディアによって数字は異なる)
シリアより先に、モスルを制覇してISを撃滅させたイラクでは、今やISの地下ネットワークができているもようで、シリアでも同様になると懸念されている。
また、現地のシリア民主軍クルド人勢力によると、外国から来て行き場を失い、現地で捕縛したIS戦闘員とその家族たちが、あまりにも多く、これを抑えきれるのか、危険な状態だと警告している。
さらにクルド人たちには、他にも懸念事項がある。クルド人を天敵として絶滅させたいと考えているトルコがすぐ国境まで近づいている点である。
シリアからISの支配域がなくなった今、シリアの3分の2を支配するアサド政権が、まだ残っている反政府勢力の討伐に乗り出し、国を統一しようとすることは明らかである。
その場合、アメリカとイスラエルとも友好関係を維持するクルド自治区のクルド人人勢力とその地域にいるクリスチャンたちを、アサド政権が、トルコと協力して取りかこみ、虐殺に及ぶ可能性があるのだ。
トルコやクルド自治区などのクリスチャンたちとも交流を持つエルサレムの祈りの家・リック・ライディング牧師が訴えている。
<アメリカ軍撤退との関連>
トランプ大統領は、当初、シリアの主に東北部、クルド自治区にいるアメリカ軍2000人をすべて撤退させると言っていた。しかし、ユーフラテス川東側にあたるクルド自治区から、米軍が姿を消すと、たちまち、ロシア、イラン、トルコに至るシーア派の回廊ができあがり、イスラエルにとっても大きな脅威になる。
シリアからの米軍撤退については、アメリカ国内外からの懸念が殺到したことから、今は、アメリカ軍400人は残すとし、そのうちの半分にあたる200人は、シリア南部、ヨルダンとシリア、イラクの国境付近に残留させることになっている。
www.nytimes.com/2019/03/23/opinion/isis-defeated.html
しかし、トランプ大統領は今、IS復帰をけん制するためにも、2000人のアメリカ軍撤退を延期するとみられている。
www.france24.com/en/20190323-syria-kurd-autonomy-under-threat-after-caliphate-falls