ガザとヘブロンのマスク・防護服工場 2020.3.31

ヘブロンのマスク工場 出展:ヘブロンのマスク工場(i24 スクリーンキャプチャ)

パレスチナ自治区感染者106人:移動制限実施中

現時点で、パレスチナ自治区の感染者は、106人。死者は1人。自治政府は、イスラエルと入植地で働いていた人々が感染しているとして、イスラエルにいるパレスチナ人約15万人に、自治区へ戻るよう呼びかけている。しかし、実際に戻った人がどのぐらいいるかは不明。

ガザ地区の感染者は少なくとも9人だが、検査していないだけなので、感染者はもっといると思われる。エルサレムポストによると、ガザでは1800人が隔離されている。

www.jpost.com/middle-east/un-official-coronavirus-spike-could-cause-collapse-of-gaza-health-system-622857

以前から、カタールが、ガザに時々現金を供給してきたが、30日、そのカタールからの現金が到着した。ガザの10万以上の家族に、100ドルづつが分配される。配布時に群衆になってもいけないので、2週間にわけて、少しづつ分配するとのこと。

イスラエルは、自治区やガザ地区に、検査キットや医療物資を届けるなどして、支援を行っている。ガザではコロナウイルス感染の危険性を避けるため、イスラエルとの国境でのデモはキャンセルとなっている。

www.ynetnews.com/article/HklDpcJDU

ガザとヘブロンにあるマスク工場

Times of Israel によると、ガザでは、3月初旬から、ウニパル2000(CEO/ナビル・ジャワドさん(59))という衣類の製造会社が、新型コロナ脅威下にある世界のニーズを見て、マスクと防護服作りを始めた。

この会社の衣類は、50年以上前から、テルアビブなど、イスラエル国内でも売っていたという。今は、衣類の製造はやめて、マスクを製造している。マスクは1枚5シェケル(150円)、防護ガウンは12シェケル(400円)

ここからイスラエルにもマスクを売っているかどうか、COGAT(ガザからの人・物資の出入り担当のイスラエル軍部署)は明確な回答はしていないが、服を売っていたのだから、ひょっとして可能性はあるのかもしれない。

この会社では、今月末までに、1日にマスク2万5000枚製造を目指しているとのこと。

www.timesofisrael.com/palestinians-transform-factories-into-mask-manufacturing-plants-as-virus-spreads/

一方、ヘブロンでも、靴工場を経営しいたアミジャド・ズガラルさん(30)が、工場を改造し、マスクを製造している。現時点で、1日7000-1万枚製造している。これは西岸地区で必要なマスクの10%だという。

ここでは、医療従事者や警察など公職にはマスク一枚を1.5シェケル(50円)、一般には2シェケル(60円)で売っているという。だいぶ安いが、これまでに労働者を30人増やすことができ、現在は50人が働いている。

ヘブロンでは、現在外出制限が出されているがこの工場は稼働しているとのこと。自治区には、マスク製造会社が2社、その他の医療物資をを4社が製造している。自治政府の産業省は、イスラエルやヨルダンにも輸出する意欲を語っている。

ころんでもただ起きないのは、イスラエル人だけでなく、パレスチナ人ものようである。これまでの敵意はなんだったのかとも思うが、なんにしても、パレスチナ人たちが、職を得られたのはよかったと思う。

石のひとりごと:危機が押し出す和解

出展:Margen David Adom

写真は、ベエルシェバで、ユダヤ教ユダヤ人と、イスラム教アラブ系イスラエル人救急隊員が、同じ時間に、それぞれの神に祈っている様子である。

イスラエルでは、救急車への出動要請は通常6000件のところ、コロナ危機が始まってからは10万件を超えるようになっているという。ある火曜午後、2人が、シフトに入る40分間、不思議に要請が減って静かになったので、それぞれが祈りに入った。

左のユダヤ教徒は、エルサレムに方角(北)に向かって祈るアブラハム・ミンツさん(43)、右は、メッカ(南)に向かって祈るイスラム教徒のゾハル・アブ・ジャマさん(39)である。2人は忙しさの中、今に限らず、いつも同じ時間にこのように祈っているという。

イスラエルは、ユダヤ人の国ではあるが、20%、10人に2人はアラブ人の国。両者は、確かに相容れない歴史を歩んできたが、日常はそれなりに共存しているのである。

www.nytimes.com/2020/03/25/world/middleeast/israel-virus-prayer.html

この写真は、ニューヨークタイムスや、CNNなど大手メディアのほか、SNSでもいろいろなところからアップされていや。それほどこの写真が人々に希望となったということであろう。

コロナの危機をだれが想像しえただろうか。ここまで世界が変わるとだれが想像しえただろうか。これまでどうしても相容れなかった人々も、この危機を前に、妥協せざるをえなくなるということであろう。

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイド、イスラエル政府公認ガイドとして活動しています。 イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて18年。学校・企業・教会などで講演して15年になります。