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ロックダウン緩和すすむ
イスラエルでは、ワクチン接種がすすみ、新規感染者も減少傾向(とはいえ、1日に2500−3500人は感染)にある。このため、21日から、ワクチン接種を終了し、グリーンパスポート(スマホアプリ)を持っている人には、モール、ジムなどへの入場が許可されるようになった。
テルアビブやハイファを含む15の地域では、まだ再開されていなかった学校も再開され、以前の生活に戻りつつあるとの希望が見え始めている。ネタニヤフ首相は、この日、エデルステイン保健相とともに、開かれたばかりのジムを訪問。市民たちにあらためてワクチン接種を促した。
これについては、ワクチンに消極的な人に、事実上、接種を強制する形にもなることから、どこまで個人を尊重するかどうかといった論議にもなっている。この問題は、のちに他の国でもあがってくることだろう。
シナゴーグなど宗教施設での礼拝は、まだ屋内10人の制限が解除されていない。このため、キリスト教会や、メシアニックの礼拝もまだ1−2週間はオンラインが続くが、その後、礼拝に集まれるようになる可能性が見え始めている。
ただし、ヨルダンが管理する東エルサレムのハラムアッシャリフ(神殿の丘)でのイスラム教徒の礼拝は、ほぼ無制限で、礼拝日の金曜には1万5000人が押し寄せて、すでに以前の様相に戻っているようである。
海外からの出入国に関する制限は、3月6日まで延期された。外国人は言うまでもなく、イスラエル人でも帰国できない人がまだ多く残されている。1日2000人まで許可することで政府は合意したとの情報があるが、まだ具体的な動きは見えていない。
ファイザーワクチンの劇的な効果
イスラエルでは、総人口の半数近くにあたる425万人が1回、約300万人が2回目のワクチン接種を終えた。今は16歳以上の若者たちが接種を受けている。テルアビブでは、バーを接種会場にし、接種した人に、市からのビールがあたるなどして、若者たちがより接種を受けやすいようにしている。深刻な副反応の報告はない。
ワクチン接種を始めてから2ヶ月たった今、イスラエル保健省によると、2回のワクチン接種から2週間後、重症化を防ぐ率は99.2%、死亡を防ぐ率は98.9%であった。保健省は、ファイザーのワクチンの効果は「劇的」と発表した。
この他、イスラエル最大の保険機関、HMOによると、2回のワクチンで発症を抑えた率が94%、重症化を防いだ率は92%と報告している。
www.timesofisrael.com/israel-says-vaccine-dramatically-effective-prevents-98-9-of-covid-deaths/
感染は若年者へ移行傾向:妊婦(32)と胎児が死亡
制限解除がすすみ、なんとなく明るい雰囲気になっているようだが、イスラエルがコロナから脱出に向かっているとはまだ言い切れるものではない。worldmeterによるデータで、21日の感染者は5530人、死者は51人。重症者は847人。検査数に対する陽性率は6.4%。実効再生産数は、0.79。
イスラエルのコロナは、今はイギリス型変異株が最も多く、感染はまだワクチンの接種を受けていない若年層に移行する傾向にある。Ynet newsによると、今週末の感染者の75%は、39歳以下であった。しかし、先週1週間のデータ平均によると、39歳以下は、10%なので、今週1週間の動向を見る必要があるだろう。
www.ynetnews.com/health_science/article/Sk1Pgs1GO
今、特に懸念されていることは、妊婦への感染が増えていることである。エルサレムでは、妊娠30週にあったオズナット・ベン・シトリットさん(32)が、コロナにより急変して16日に入院。その5日後の21日に死亡した。医師たちは、緊急の帝王切開で、胎児を助けようとしたが、胎児も死亡した。
オズナットさんは、健康で、これまでに4人の子供達を問題なく出産していた。基礎疾患もない。しかし、ワクチンに不安を訴えて、接種していなかったという。
この数日前には、アシュドドで、(ワクチン接種せず)感染した妊婦が、死産に陥ったが、胎児は、胎盤から感染していた。
チャンネル12によると、パンデミックが始まって以来、感染した妊婦は7415人。11月は288人であったのが、12月には1238人、1月には2629人と、感染が急増している。
現時点で、感染して入院している妊婦は50人。このうち16人が重症で、8人はかなり危険な状態にあるという。この妊婦たちも全員がワクチン接種を受けていなかった。(チャンネル13)
この背景には、保健省が妊婦への接種を促したのが1月20日になってからであったということもある。保健省は、ワクチンを受けた妊婦に深刻な副反応があったことから、それまでワクチンを遅らせていた。しかし、その後、妊婦が感染した場合、重症化する率が高いことがわかったため、今は、妊婦もワクチンの接種を受けるようになっている。
皮肉にも、オズナットさんの義理の兄は、ワクチン反対派でで、フェイスブックでそのグループを運営していたという。参加者は数千人に上っていたが、オズナットさんの死で、この男性は、このページを閉鎖したとのこと。
断食と祈りへの呼びかけ:イスラエル聖書大学
イスラエルは、今、大きな賭けにでている。本来なら、まだ制限を解除するべきでないというのが、専門家の意見なのだが、もうこれ以上の制限には耐えられないというのが現状だ。第4波にならないよう、神に祈るしかない。
こうした中、イスラエルで、旧新約聖書両方と、イエス・キリストをメシアと信じるユダヤ人(メシアニック・ジュー:システムはプロテスタントに近い)の教会の指導者たちが、イスラエル聖書大学で、今後についての話し合いを行った。
指導者たちは、2月24日を、イスラエルを覚える断食と祈る日に定め、イスラエル全国のメシアニックの教会、また世界のクリスチャン支援者たちに、参加を呼びかけた。*約1時間のズーム・ミーティング予定(日本時間は夜中3時になるみこみ)呼びかけは以下の通り
疫病の1年、すでに数千人の命が奪われた。子供達は、ほぼ1年、学校に行けなかった。多くは仕事と収入を失った。ワクチン接種を受けるべき否か・・・2年の間に4回めの総選挙と、指導者たちの間には、分裂がある。しかし、それでも主権は主にある。個人でもいいし、各地の教会としてでもいいし、ともに、主のあわれみを祈ってほしい。
わたしがこの国を滅ぼさないように、わたしは、この国のために、わたしの前で石垣を築き、破れ口を修理する者を彼らの間に探し求めたが、見つからなかった。(エゼキエル書22:20)
石のひとりごと
今になって、こうした祈りの呼びかけがあるということは、イスラエルは本当に限界にきているのであり、今、この時にコロナから脱出することが、世界にとっても希望になるのではないかと思う。
しかし、決して楽観はできないということも知っておくべきである。感染はまだ毎日数千人出ているし、死者も1日に50人出ている。また懸念されることは、重症者、死者が若年化していること。変異株の動向もある。加えて、ロシアからは、鳥インフルエンザの人への感染も報告されている。まさに、主のあわれみが必要な時である。
イスラエルのためにとりなすにあたり、私たちは日本もおぼえなければならない。コロナ禍で、日本の様々な本質があぶり出され、これまでの官僚主義政治、アナログ社会の限界が明らかになった。オリンピックへの対策もある。経済格差で、ホームレスや自殺も増えている。
私たちには、日本で、本当に数少ない(わずか1%以下)祭司としての役割が委ねられている。