シリア撤退問題で、すっかり槍玉にあがったアメリカだが、先週、ボルトン大統領補佐官とポンペイオ国務長官が、中東同盟各国を歴訪し、アメリカが中東から撤退してしまうわけではないとの保障を伝えて回った。
その中で、ポンペイオ国務長官は、アメリカは今後、対イラン政策を徹底化することをアピールし、2月13,14日、ポーランドでイランに関する国際会議を開催すると発表した。チャンネル10によると、ポンペイオ国務長官はこの会議にネタニヤフ首相も招いたとのことである。
www.timesofisrael.com/netanyahu-said-invited-to-anti-iran-conference-in-warsaw-alongside-arab-fms/
しかし、イスラエルが参加することと、アメリカへの信頼が薄らぐ中、どのような成果になるか、見通しは決して甘くない。
また、2人の使者とトランプ大統領の口から出てくる方針に食い違いがあることから、大統領と米防衛チームの間が一致していないのではないかとの指摘もある。
1)トルコがボルトン大統領補佐官訪問を拒否
ボルトン大統領補佐官は、6日、イスラエルを訪問。ネタニヤフ首相に、シリアから撤退してもISとの戦いはやめず、クルド人を見捨てることはないと約束した。言い換えれば、トルコがクルド人を襲撃しないと確証するまでは撤退しないということである。
これを聞いて怒ったのがトルコのエルドアン大統領である。アメリカは、クルド人のYPG,PKK、PYDなどの見分けもついてない。トルコにとってクルド人問題がどれほど大きいかわかってないと怒りをあらわにした。その上で、ボルトン補佐官のトルコ訪問を拒否するに至った。
トルコは、トルコだけで、残留ISを駆逐できると主張し、(IS撃滅を理由に駐留していた)米軍には、さっさと撤退するべきだと主張している。トランプ大統領は、これに同意して米軍撤退を決めたわけだが、トルコのねらいは、その後、シリアにいるクルド人勢力を攻撃することである。
www.nytimes.com/2019/01/08/world/middleeast/erdogan-bolton-turkey-syria-kurds.html
ボルトン補佐官が拒否されたことは、アメリカにとっては大きな打撃だが、ポンペイオ国務長官は、必ずトルコとの合意に至れるとの楽観を表明している。
2)ポンペイオ国務長官中東8カ国歴訪
ボルトン補佐官に続いて8日、ポンペイオ国務長官が中東8カ国への歴訪に出発した。訪問予定国は、ヨルダン、エジプト、バハレーン、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、オマーン、クウェート、イラクとなっている。
ポンペイオ国務長官は、まずヨルダンを訪問した後、エジプトを訪問。オバマ前大統領が、2009年に米大統領として初めて演説を行ったカイロにて演説を行った。
ポンペイオ国務長官は、オバマ氏の名前は出さなかったが、オバマ氏の政策で、イランの進出を許したことが中東の混乱の原因だと語り、トランプ政権は、その状態を覆す決意であり、シリアからイラン軍を一掃する方針であると強調した。
また、シリアからの米軍撤退について、米軍撤退は必ず断行すると語り、トランプ大統領と治安閣僚との間に不一致はないとも強調した。
www.nytimes.com/2019/01/10/world/middleeast/mike-pompeo-speech-middle-east-obama.html
金曜、ポンペイオ国務長官は、バハレーンから湾岸諸国を訪問を開始した。特にクウェートは、米軍1万人を受け入れている国ではあるが、今は、サウジアラビアと断交してイランよりとなっているため、非常に難しい訪問になると思われる。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5444448,00.html
<イランの反応>
イランのザリフ外相は、アメリカはヒステリックになっていると言い、ツイッターに次のように書き込んだ。
「アメリカの最後の反イラン会議に参加する国は死んでいるか、失脚寸前である。イランは強い。(反イラン会議のホスト)ポーランドは恥を知れ。イランは第二次世界大戦中、ポーランドを助けたのに、今は反イラン見世物のホストになっている。」
www.timesofisrael.com/netanyahu-said-invited-to-anti-iran-conference-in-warsaw-alongside-arab-fms/
<長引く米政府閉鎖の危機>
中東政策でも翻弄しているアメリカだが、内政もかなり混迷を深めている。メキシコとの国境に建設予定の壁の費用を含む予算案で野党民主党と合意できなかったため、現在政府機関の一部が閉鎖。22日を超えて市場最長の閉鎖となった。
これにより、政府に雇用されている80万人の給与が支払われないままとなっている。約50万人は、無給で仕事を続けているが、35万人は、事実上一時解雇状態とされたため、大勢が失業保険の手続きに入ったという。
博物館が閉鎖したり、ごみの収集が滞ったりと、日常に影響も出て、ホワイトハウス前ではデモも行われた。
<石のひとりごと:とんでもない思いつき発想より>
アメリカから中東へ2人の使者が派遣された。この様子から、将来、終末時代に世界に派遣される2人の証人(黙示録11:3-4)を連想させられた。
聖書によると、この2人の証人は、1260日(3年半)の間、世界中で、やがて来る終末の危機を解き、そこからの救いという神の福音(良い知らせ)を世界に伝える働きをする。その後、この2人は獣(サタン)に殺される。
彼らの死は、世界中の祝いとなるが、どっこい、その後、その2人が生き返って、世界は大混乱になると聖書には書かれている。
無論、今回のボルトン補佐官とポンペイオ国務長官が、その終末の2人の証人であると言っているわけではない。
しかし、今回の2人は、トランプ大統領のシリア撤退宣言の後始末的にすぎないのかもしれないが、来るべき「イランの危機」を訴えて回っている。この先にあるのは、イランとの対決である。そのイランにはロシアとトルコがついている。
もしかしたら、アメリカはこのイラン(ロシア、トルコ)との戦いに敗れ、それを見て世界はアメリカをあざけり、やっと平和が来ると祝うのかもしれない。。。が、その後、イスラエルによって反イラン勢力(アメリカがこの時存続しているか否か!?)が復活してくるのかもしれない。(エゼキエル39)
・・・・と、これは、とんでもない、単なる石の思いつき発想ではあるが、聖書がますます興味ふかくなってくる最近の世界情勢であることは間違いない。まだ聖書を読んだことのない人は、特におすすめする書物である。