あくなきガザの挑戦:イスラエルに通じる地下トンネル 2013.10.14

先週、ガザからイスラエル領内のキブツ・エン・ハシロシャ付近(300mイスラエル内部)につながる本格的な地下トンネルが発見された。トンネルは、ガザとイスラエルを隔てる防護フェンスの下、深さ20mの地点を通って1.7Kmもあった。

トンネルは縦1.8mで、大人が立って歩けるほどある。内部はコンクリートでおおってあり、かなり本格的。イスラエル軍によると、トンネルの目的は、物資搬入ではなく、イスラエル兵の誘拐などテロ目的だとみられている。

イスラエル軍は、ブルドーザーなどでトンネルを破壊中。またセメントなど建築資材のガザへの搬入を停止した。

<ガザとイスラエルの間の現状>

ガザへの生活物資はこれまで、主にはガザとエジプト間のトンネルから搬入されていた。ところが、エジプト暫定政権がガザのハマスの母体ムスリム同胞団の鎮圧政策の一環として、ガザにつながるトンネルの大部分を破壊してしまった。

そのため、イスラエルからガザへの物資搬入量が増えていた。9月だけで、トラック5549台、15万トン以上もの物資が搬入されている。*イスラエルからガザへの無料のチャリティではなく、国連関係団体やビジネスの物資であるとに注意

ガザに出入りする記者によると、ガザの物資は十分であり、人々はちゃんと食べているという。したがってガザとイスラエルの間のトンネルは、テロ目的、またはイスラエルへの侵入が目的としか考えられない。

<あくなきガザの挑戦:トンネル発覚>

トンネルは、今回急に発覚したのではない。今年1月、ガザとイスラエルの国境付近で、雨水によって地下トンネルが崩壊し、ガザとイスラエルとの間にトンネル網が存在していることがわかった。

以来、イスラエル軍が、綿密に調査し続け、今回のトンネル発覚となった。

<ハマスの反応>

ハマスのスポークスマンは、「問題はトンネルではない。人々の心(ガザの閉鎖を続けているイスラエルへの憎しみ)だ。この心がある限り、トンネルはいくらでも掘られる。」と語った。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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