イスラエルが69回目の建国記念日を祝っているその日、ユネスコでは、イスラエルのエルサレム、ヘブロンのマクペラの洞窟、ベツレヘムのラケルの墓に対する主権を否定するともとれる決議案に対する採択が行われることになっている。
加盟国58カ国の過半数がイスラム国であることから、採択される見通しとなっている。
この決議案は、アルジェリア、エジプト、レバノン、モロッコ、オマーン、カタール、スーダン(全部イスラム国)が提出したもので、昨年12月に、神殿の丘とイスラエルの関係を否定したかのような決議案が採択されたが、それと同様の動きである。
<ドイツによる介入は裏目?>
今回は、これに対し、ドイツが、上記アラブ諸国と交渉をすすめ、エルサレムに対する「ハラム・アッシャリフ」という名称を取り下げるなど、表現に緩和と妥協をすれば、ヨーロッパ諸国に対し、この決議案に賛同するか棄権票を投じるとして働きかけを行った。
アラブ諸国はこれに応じ、文面から神殿の丘に対する「ハラム・アッシャリフ」という名称や、嘆きの壁に対して使っていた「アル・バラック」というイスラムの名称を取り下げた。
また、エルサレムは、「ユダヤ教、キリスト教、イスラム教にとって重要である。」とイスラムを突出させない文面にするなど、大幅な譲歩を行ったとしている。
しかし、いくら表現が緩和されたとしても、この表現によれば、エルサレムは3宗教に等しく重要なのであって、イスラエルがその上に主権を行使するのはおかしいとイスラエルは反発している。
実際、エルサレム、ヘブロンのマクペラの洞窟、ラケルの墓は、歴史的に見れば、明らかにイスラエルが最大の関係国であり、考古学的にみても、遺跡となっている建造物は、すべてイスラエルが建築したものである。主権をとっても当然だとイスラエルは考えている。
ドイツは、頑張って譲歩を導き出したつもりであったかもしれないが、イスラエルとしては、この案にヨーロッパ諸国にが賛成、または棄権票を投じることによって、これが国際社会の認識になってしまうことは承認しがたいことである。
投票前の現段階で、イタリアが、これに反対すると表明しているが、ユネスコ加盟国58カ国の過半数が、イスラム諸国であることから、この決議案は前回と同様、承認されるみこみとなっている。
・・で、それでどうなるのか?・・・だが、前回と同様、今すぐ何かが変わるということではないだろう。
しかし、こうしたことの積み重ねが、全世界の反イスラエル感情に、正当性を与えることになり、将来、全世界がイスラエルを攻撃しに行くということも可能になっていくのかもしれないと思われる。