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人質3人・助けてと表示していた
15日、IDFに誤って射殺された3人の人質、アロン・シャムリズさん(26・写真左))、ヨタム・ハイムさん(28)、サマール・フォウアド・タラルカさん(24・写真右)の状況が、明らかになってきた。
3人は、撃たれた時、上半身裸で、白旗をあげていたという。「助けて」とヘブライ語でも叫んでいたことがわかった。
兵士たちは、それがハマスの策略だと思い、確認しないまま、即、射殺してしまったとのことである。
白旗をあげている人を射殺することはイスラエル軍の規範に反することだった。
さらに、周囲の建物には、「SOS」「助けて。人質3人」とヘブライ語で書いた布がかけられていた。3人は、全力をあげて、助かる道を模索していたということである。
なお、3人は、ハマスから逃げたのか、ハマスが彼らを放り出したのかはは、現時点では不明である。
責任認める軍と政府
事件翌日の16日、ギャラント防衛相とネタニヤフ首相、ベニー・ガンツ氏は、記者会見(メディア関係者のみ)を開き、責任を認め、今後同じことにならないよう対策を取ると誓った。しかし、同時に、ガザでの戦闘がどれほど複雑で困難なものになっているかとも説明した。約45分の記者会見
ガザへの攻撃が進む中、ハマスが手薄になって、人質が逃げ出してきたり、ハマスが人質を見捨てて逃げるなども考えられる。ハレヴィ参謀総長は、前線にいる部隊に新たなプロトコールを送ったとのこと。
その中には、あらためて白旗をあげている者を即座に銃殺しないことを強調する内容も含まれているとのこと。当たり前なのだが、ガザ内部は、あまりにも地獄の戦場になっているので、通常のマインドを維持するのは実際、難しいかもしれない。イスラエル兵の多くは、戦争が始まる前は、普通の市民だったのである。3人を撃ってしまった兵士たちもまた心配だ。
悲壮すぎる葬儀:家族たちは政府に不満
17日、キブツ・シャヒャイヤでは、IDFの誤射で死亡したアロン・シャムリズさん(26)の葬儀が行われた。父親のアビさんは、「今日、私たちは息子を抱きしめるはずだった。悲しむ日ではなかった」と語った。
アロンさんの兄弟のイドさんは、アロンさんが、生きて家に戻ろうとあらゆることをしたと繰り返し、いったんハマスから逃れてトンネルから出て、光を見たのに、闇に変わってしまったと、深い無念を語った。
また兄弟の死を無駄にせず、政府に人質解放を訴えていくとの覚悟を語った。葬儀には、バルカット経済相が出席していた。
ベドウインのタルラカさんの葬儀も16日に行われた。父親のルトフィさんは、「殺す意図はなかっただろうが、もっと良い判断をすべきだった。70日も生き残ったのに、ハマスの虐殺も逃れて、家に帰りたかったことだろう」と深すぎる思いを語っている。
ルトフィさんは、イスラエルとハマスの両方を非難したとのこと。「イスラエル政府は、直ちに人質解放に動かなけれなならない」と語っている。
ガザにまだいるとみられる人質は128人。このうち21人は既に死亡しているとみられている。8人が遺体で見つかり、3人はIDFの誤射で死亡した。
モサド長官がカタールの首相とノルウェーで会談
イスラエルは、カタールが人質交換交渉を再会するという呼びかけを拒否しているが、イスラエルの諜報機関モサドのバルネア長官が、ノルウェーで、カタールの首相と会談。あらたな交渉の始まりではないかとの声が広がっている。
しかし、この情報を伝えたウオールストリートジャーナルは、始まりに過ぎず、プロセスは、長く、困難だとの見方を伝えている。
そもそもカタールは、イシュマエル・ハニエなどハマストップを何人も保護している国であり、これまでのハマスの資金源になってきた国である。イスラエルが、これとまともに向き合うと考える方が実はおかしいぐらいである。
しかし、捕虜3人をIDFが射殺してしまうというあり得ない事件が発生し、まだガザでの戦闘も続くようなので、イスラエル政府に国内からの圧力は高まっている。
しかし、国全体がそう傾いているわけではなく、イスラエル軍の手を縛るようなことはしない方が良い。ハマス殲滅はやり遂げるべきだとの声もあり、政府は非常に難しい状況にあるといえる。
人質家族の思いは想像を超える。彼らを覚えるとともに、交渉を通じてではなく、IDFが1人でも早く人質を保護できるように。早くシンワルを確保し、ハマス全体の崩壊、投降になるように祈る。