北部臨戦態勢:ヒズボラから対戦車砲 2019.9.2

31日(土)、ヒズボラのナスララ党首は、「先週のイスラエルのドローンによる攻撃に対する反撃を決定した。イスラエルはそのツケを払うことになる。」と、ヘブライ語の字幕入りで、脅迫するビデオを発表。

www.timesofisrael.com/nasrallah-says-response-to-drone-attack-decided-israel-must-pay-a-price/

これを受けて、イスラエル軍は、北部に軍隊を招集し、道路には通行止めブロックを置くなどして臨戦態勢を整えはじめていた。

1日(日)午後、ヒズボラ系メディアが、レバノン南部、クファル・コーバ付近の山が燃えて、住民が消火にあたる様子を報じ、イスラエル軍のドローンが、発火性ののものを落としたと発表した。

www.timesofisrael.com/report-idf-fires-artillery-shells-into-disputed-land-on-lebanese-border/

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場所は、イスラエルとレバノンの国境付近で、国境で紛争になっている地域、ドブ山(シェバ・ファーム)。イスラエル軍は、この付近で、なんらかの”活動”をしていたことは認めたが詳細は不明。

続いて、レバノンから対戦車砲数発が、イスラエル側の町アビビムに近い、国境付近に駐留するイスラエル軍に向けて発射された。ヒズボラは、イスラエル軍用車両を破壊し、イスラエル兵1人が死亡したと発表した。イスラエル軍はこれを否定。ジープは破壊されたが、犠牲者はなかったと発表した。

この地域は、2015年1月にもヒズボラからの同様の攻撃があり、イスラエル軍車両が攻撃を受けてイスラエル兵2人が死亡、7人が負傷。その後の短い武力衝突で、スペイン人国連軍兵士も死亡したことがある。

現在、イスラエル軍は、国境から4キロ以内地域に、公共の防弾シェルターを開放(準備)するようにとの指令を発したところである。

www.timesofisrael.com/idf-anti-tank-missile-fired-at-northern-israel-from-lebanon/

イスラエルは、これまでから「次回、ヒズボラから攻撃があった場合、短期間にレバノン南部を総攻撃してヒズボラのミサイルを壊滅させる。その時に犠牲になるのは、多数のレバノン市民だ。」として警告を出し続けてきた。

リブリン大統領は1日、「イスラエルを攻撃しようとする者に警告する。イスラエルは、市民を守るための準備を整えている。容赦することはない。」との声明を出した。

<イランからの脅迫:新型ドローン多数公表>

このところ、イランは、新型の武器を続々と発表していた。8月10日には、新型レーダー、8月22日には、新型迎撃ミサイル。8月27日、120キロもの弾頭装着が可能で、1万3700m上空を45分飛行することができるというドローンを発表。

続いて9月1日、ナスララ党首の脅迫と同時に、新型ドローンを公表した。このドローンは、キアンと呼ばれ、遠方のターゲットを正確に攻撃する能力を持つ。イスラエル軍によると、このドローンは、イランから放たれても、イスラエルを攻撃可能だという。

発表には一部英語によるものもあり、欧米世界への脅迫でもあるとみられる。

Yネットによると、イランはこの他にも多数のドローンやミサイルを発表しており、欧米の厳しい経済制裁にもかかわらず、イランが、急速に武装していることを強調する意味合いがあるとみられる。

www.jpost.com/Middle-East/Iran-unveils-another-new-drone-600310

前回お知らせしたように、こうしたイランの現状を世界はスルーしてきた。現実として、イスラエルは今、これに単独で直面しているといえる。

<学校は新学期開始>

こうした中ではあるが、イスラエル北部では、予定通り新学期開始で、子供達は学校へ登校した。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5579290,00.html

イスラエル、レバノン双方の市民に大きな被害が出ないよう、国境からのヒズボラの侵入が防がれ(まだ発見されていない地下トンネルがあるかもしれない)、イスラエル軍兵士が誘拐から守られるようにと祈る。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。