6月30日、ハイファで、非番の警察官が、エチオピア系ユダヤ人のソロモン・テカさん(19)を射殺した。警察官は、自分の身に危険が及んだからと主張しているが、ソロモンさんとこの警察官は数十メートル離れたところに立っていたのであり、危険はなかったと主張している。
エチオピア系ユダヤ人たちは、警察官の心に黒人エチオピア人に対する人種差差別が原因だと訴え、全国で大規模なデモを行った。デモは各地で、警官隊との暴力的な衝突に発展。テルアビブでは主要道路が閉鎖され、かなり大規模な渋滞も発生した。
7月3日にも大きなデモが計画されたが、死亡したソロモンさんの家族が、ユダヤ教で定められている7日間の喪が開けるまで、デモを控えてほしいと要請したため、一旦、静まりをみせていた。しかし、喪が7日に終わることから、またデモが発生するのではないかとみられている。
しかし、遺族は、暴力的なデモは控えてほしいと訴えている。
家族は、イスラエルに移住してきたのだが、ここで息子を失うために移住してきたのではなかったとその悲しみを訴えている。
<社会の分断がイスラエルの課題>
イスラエルは、ユダヤ人の国ではあるが、ユダヤ人が多様であるために、社会は、多種多様な人種が同居する国である。イスラエルはその多様な社会を一つにすることにまだ成功していないといわれる。
たとえば、ロシアから移住した人は、イスラエル人になったとはいえ、ロシア語を話し、ロシアの価値観で、ロシア系ユダヤ人とだけ住んでいる。エチオピア系もしかりである。それぞれ厳しい迫害の歴史を歩んできているので、それぞれだけで集まるのも理解できるところである。
このため、イスラエルでは、多民族間の対話というこころみが続けられている。
こうした中、イスラエルでは、白人系が優位になりやすく、黒人など有色人種系ユダヤ人は貧しく、社会的に下に見られる傾向にある。特にエチオピア系は、単にユダヤ教に改宗しただけで、本当は、ユダヤ人ではないとの見方が根強く残っている。
www.timesofisrael.com/ethiopian-israeli-protests-reportedly-set-to-resume-after-pause/