第二のハマスの息子登場:ハマスの汚職を暴露 2019.7.8


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シュヘイブ・ユーセフさん 写真出展:Times of Israel

ハマスといえば、ハマスの息子で知られるモサブ・ユーセフさんである。モサブさんは、ハマス創設者の一人で、今も指導者であるシーカー・ハッサン・ユーセフの息子だが、クリスチャンとなり、イスラエルの諜報機関シンベトに協力した。

やがてガザに帰れなくなり、アメリカへ亡命。そこからハマスの不条理を摘発し続けている。

今回、その実の兄弟にあたるシュヘイブ・ユーセフ氏(38)が、やはりハマスから離脱して南アジアへ亡命。先週、イスラエルのテレビ、チャンネル12に出演して、ハマスの汚職など内部上を証した。

チャンネル12の番組(約14分)
www.mako.co.il/news-world/arab-q3_2019/Article-d997e3fb259bb61026.htm?sCh=31750a2610f26110&pId=948912327

シュヘイブさんは、トルコのハマス関連機関で働いていたが、ハマスのあまりの汚職と矛盾に怒りを感じ、ひそかにトルコを脱出して、ある東南アジアの国にきている。(タイ?)

シュヘイブさんは、そこから、イスラエルのテレビ局、チャンネル12のアラビア語キャスターのオハッド・ヘモさんに自ら連絡をとり、取材を依頼した。

シュヘイブさんは、数ヶ月前まで、トルコでハマスの極秘諜報部で働いていた。そこには、高度な盗聴システムがあり、イスラエル人の会話や、アラブ諸国の情報も得ていたという。その情報をイランに売ってお金にしていた。金はトルコの銀行に支払われていた。

シュヘイブさんによると、トルコのハマスメンバーは、かなりぜいたくな暮らしをしている。給与は月に4000から5000ドル(50-60万円)で、プールや、警備員つきのぜいたくなホテルやタワーに住み、子供達は私立の学校で学んでいる。

ガザの市民が一月100ドルで生活しているのに、ハマスのメンバーは、トルコで、一食で200ドルもする食事をしている。この状況に激しい怒りを感じたと話している。

この他、トルコのハマスは、西岸地区で、テロを起こす者たちの調達も行っていた。その目的は、パレスチナの地やエルサレムを解放するためではなく、ユダヤ人へを憎んでいたからでもなく、ただイスラエル市民を殺害し、問題をガザから西岸地区に拡大させるためであったと語る。

パレスチナ市民たちが騙されて、テロに引き出されているが、ハマス幹部らが自分の子供たちをテロに駆り出すことはない。ガザ国境でのデモに、ハマスの首領であるイシュマエル・ハニエが来ることはないのである。

シュヘイブさんは、こうしたテロ活動は、ただハマスが、権力を維持するためのものであると指摘。ハマスがいなくなれば、ガザの問題はなくなるとの認識を語った。

シュヘイブさんは、自分は、”書物の民”ユダヤ人を憎んでいないと言い、ハマスこそ人種差別の組織であり、パレスチナ人にとって危険な存在だと語った。

ただ、シュヘイブさんは、イスラム教徒であり、兄弟モサブさんと違い、イスラエルに協力はしておらず、ハマスに忠実であったと強調している。その上で、ハマス創始者であった父親に対し、ハマスは変わってしまった、父もそこから出てくるべきだと訴えている。

www.timesofisrael.com/second-son-of-hamas-leaves-terror-group-exposing-corruption-turkish-spy-ring/

<エルサレム西北部で車つっこみテロか:イスラエル兵5人負傷>

6日夜、東エルサレムの検問所近くヒズマで、イスラエル兵の列にパレスチナ人の車がつっこみ5人が負傷した。3人は中等度の傷とのこと。イスラエル軍はただちに、車の運転手の捜索を開始。容疑者とその父親が連行されたという。詳細はまだ伝えられていない。

<泥沼ガザ情勢>

ガザからは相変わらず、火炎凧が飛来し、広大な地域で火災が発生するという事態がつづいている。ハマスは、その度に「停戦」といい、イスラエルもそれに応じるが、またすぐに火炎凧が来るといった繰り返しになっている。

イスラエルが、ガザを一層してしまうことは難しくはないが、緊張するイラン情勢もあり、今は下手に事を大きくすることを控えているとみられる。しかし、相変わらずガザとの国境では、金曜デモも続いており、イスラエル南部住民は不満を募らせている。

<石のひとりごと>

イスラエルが最も願っていることは、パレスチナ人自身で、汚職と不条理にまみれた指導部を倒し、民主的で落ち着いた隣人になることである。イランも同様である。イラン人自身で内部から、今の難しい指導部を一新してくれれば、それが一番良い。

しかし、それを実行することは、文字通り、自分も家族も捨てなければならないことである。捨てるだけでなく、命の危険が伴う。

シュヘイブさんは、この番組に出ることで、命を狙われることを覚悟している。また自分の行為で父親の身にも危険が及ぶこともまた覚悟の上である。

イスラエルというだけで、反発する人が多いが、それは間違いである。同様に、パレスチナ人だからといって、そのまま全員が、テロリストなのではないということを忘れてはならない。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。