5月9日、イスラエルは71回目の独立記念日を祝った。上記のような治安情勢だったが、直前にガザとの停戦に至り、市民たちは、例年のように独立記念日を祝うことができた。
ヘルツェルの丘では、リブリン大統領、ネタニヤフ首相などを迎えての式典。翌日は、戦闘機を含むイスラエル軍機が、バーベキューを楽しむ市民たちの頭上を飛んで、平和を謳歌した。
協力な治安体制のもと、国内では大きな問題もなく、無事この日を終えることができたことは今年も幸いであった。
1)繁栄するイスラエル
イスラエルの総人口は、昨年から2%増えて、902万1000人。71年前、80万6000人で始まったイスラエルは今や10倍以上となった。このままいくと、30年後の建国100周年には1520万人になる見通しである。
総人口902万6000人のうち、ユダヤ人は、669万7000人(74.2%)、アラブ人は189万人(20.9%)その他は43万人(4.8%)となっている。
昨年の独立記念日からの1年で生まれたユダヤ人の新生児は18万8000人(1夫婦の平均の子供の数は3.11人)。新移民は3万1000人。
建国以来、320万人が移住してくる中、71年目の今、ユダヤ人の75%は、イスラエル生まれのイスラエルネイティブ、いわば近代ヘブル人ともいえる人々である。
全世界のユダヤ人のうち、現在イスラエルに在住するユダヤ人は45%である。ということは、現在の全ユダヤ人のうち、30%ぐらいは近代ヘブル人ということである。この人々は毎年増えている。やがて、この人々が、終末時代に大きな役割を果たすことになるのかもしれない。
経済も祝福されている。観光客数は、毎年記録を塗り替えており、昨年末までに440万人がイスラエルを訪問。IT,サイバーセキュリテーなどの部門では、世界中からの投資が相次いでいる。
市民の平均収入は、昨年より増えて、2900ドル(30万円強)。しかし、これについては、格差が相当あるため、あまり参考になる数字ではない。
www.timesofisrael.com/israels-population-tops-9-million-including-45-of-world-jewry/
イスラエルは、戦争が尽きないとはいえ、今、最もおちついた時代を迎えているといわれる。イスラエル人の88.9%が、「私は幸せです」と回答している。
世界経済フォーラムの調査では、世界の経済トップ156カ国の幸せ度を発表しているが、イスラエルは、昨年で11位である。世界経済トップ3カ国のうち、アメリカは18位、中国、日本は、いすれも50位までにすら入っていない。
www.weforum.org/agenda/2018/03/these-are-the-happiest-countries-in-the-world/
2)エルサレムVSテルアビブ
イスラエルのもう一つの顔が、エルサレムとテルアビブの違いである。エルサレムは、かつてイスラエルの神殿があったように、神の存在を認める、認めざるを得ない町である。
一方、テルアビブは、建国の基となった町で、人間の力を謳歌することを全面に出す。おおまかにいえば、聖書に準じてイスラエルはユダヤ人の国と主張する右派が多いエルサレムと、パレスチナ人との対話を重要視する技術、知識最先端の左派が多いテルアビブである。
この二つの都市は、同じ国の町とは思えないほど様々な点で異なっており、どちらかがどちらかに勝とうとする動きはないものの、様々な点でライバルの様相である。
今回のユーロビジョンでは、まさに祭りで人間謳歌。夜にはバーが開かれ、ゲイ・キャピタルとして、ゲイたちが、道を闊歩する。
また、今年のユーロビジョンでは、世界的にかなり有名になっている心を読む超能力があるとされるユダヤ人メンタリスト(イスラエル国籍)、リオール・サッカード氏が、特別に出演することになっている。
eurovision.tv/story/mentalist-lior-suchard-to-make-special-appearance-at-eurovision-2019
しかし、人の考えていることや、将来を読み解くというサカード氏のパフォーマンスは、聖書の視点で言えば、まさに現代における預言者である。聖書の神と無関係であることから、さしずめ偽預言者だろうか。
ユダヤ教の国だからといって、聖書を強調するだけがイスラエルではないと、テルアビブは世界に発信しているようでもある。
これが良いことかどうかは別として、今回のユーロビジョンは、ネタニヤフ首相がガザと早急な停戦を行った点からみてもわかるように、政治的外交的にも重要なイベントである。