アメリカがイランの原油の輸出を全面的に停止する経済制裁に進むと発表した。
昨年11月に、アメリカが原油輸入にも関わる経済制裁再開を発表した際、急な世界経済の混乱を避けるため、8カ国に関しては、しばしの禁輸適応除外としたが、それらの国も5月からは、アメリカの原油禁輸の対象となり、従わない場合は、その国がアメリカとの交易を停止される。
現在もまだイランから原油を購入しているのは、中国、インド、日本、韓国、トルコの5カ国。5月までに、イランからの原油輸入を他の中東諸国に振り替えなければならない。
トルコは、こうしたアメリカの施策は、中東を不安定にするだけだとして反発している。
これに先立つ4月8日、アメリカは、イランの革命軍をテロ組織に指定した。アメリカが他国の正規軍をテロ組織に指定するのはこれが初めてである。
しかし、これで、アメリカは、革命軍の動きを抑えるという公儀でもって、さらにイランへの制裁を強化できることになる。
<イランの反応>
イランは、すぐにアメリカ中央軍(中東の監視を担当)をテロ組織に指定した。またもし、イランの原油輸出が禁じられるなら、ホルムズ海峡を閉鎖すると言っている。
ハメネイ大統領は、「アメリカが、まず、イランに対するすべての制裁を解除したら、交渉に応じる。」と語った。また、イランからの原油禁輸にあたり、その分は、サウジアラビアとUAE(アラブ首長国連邦)がカバーすると言っていることについて、アメリカと協力するこれらのアラブ諸国は、間違っていると非難した。
イランでは、アメリカの経済制裁が再開されて以来、物価が急上昇している。また今月初頭には、南部で大規模な洪水が発生し、40万人が避難を余儀なくされ、70人以上の死者も出した。この時期に制裁強化はかなり厳しいはずである。戦争どころではない。
また、危機的になると、イスラエルが巻き込まれる傾向にあるが、イラン配下で、レバノンからイスラエル攻撃を準備しているヒズビラの地下トンネルは、3本目もイスラエル続いていたことが発見され、国連軍が監視を強めたところである。
アメリカが希望するように、イランが白旗を挙げてくるのか。それとも逆に中東戦争に発展してしまうのか、5月1日以降、注目されるところである。