西岸地区でもパレスチナ人とイスラエル人の衝突が続いている。9月には、グッシュ・エチオンで、男性が1人、10月に入って、アリエル近郊のバルカンの産業パークで、2人のユダヤ人が、パレスチナ人テロリストに殺害された。
バルカンでのテロ容疑者アシュラフ・ナロワ(23)は武器を持って逃走していたが、西岸地区のパレスチナ地区シュウェイカの建設中の学校に立てこもっていたところ、イスラエル軍に包囲され、逮捕されたと伝えられている。(まだイスラエル軍の正式発表ではない)
なお、この捜査には、パレスチナ自治警察も協力していた。
www.timesofisrael.com/idf-troops-operate-in-village-of-barkan-terrorist-as-manhunt-continues/
<過激入植者がパレスチナ人女性を殺害か>
先週12日、西岸地区ナブルス近郊の悪名高いタプアハ交差点付近で、パレスチナ人夫妻とその娘(9)の乗った車が、投石に会い、車内にいたアイーシャ・アル・ラビさん(45)が負傷。後に死亡した。車内で9歳の娘が号泣していたという。
パレスチナ自治政府は、アイーシャさんとともに車内にいた夫の証言とともに、このテロ行為は、過激なユダヤ人入植者によるものであるとして、国際社会に訴える構えである。
イスラエルの警察は、パレスチナ人テロリストが、ユダヤ人の車と間違って投石した可能性もまだ完全には捨ててはいないが、ユダヤ人入植者たちが、パレスチナ人テロリストにユダヤ人を殺されたことへの逆襲である可能性が高いとみて捜査を進めている。
イスラエルのニュースでは、あまり取り上げられないが、パレスチナ人たちによると、過激なユダヤ人ユースの入植者による暴力が、日常茶飯事であり、非常に恐れられているという。
こうしたパレスチナ人をユダヤ人の人権保護弁護士グループ「イエシュ・ディン」が弁護する働きを行っている。
www.yesh-din.org/en/
「イエシュ・ディン」が撮影し、ネットに公表したクリップをみると、15人ほどの白いシャツで揃えた過激なユダヤ人ユースが、パレスチナ人農夫に向かって投石し、パレスチナ人たちが逃げる様子や、入植者らが、投石したあと、車に乗り込んで逃げる様子が、ネットに上げられている。(今回の事件とは関係はない)
なお、イエシュ・ディンは、ヨーロッパ諸国諸団体からの支援で成り立っている。(つまり、反イスラエル関連)
<石のひとりごと:大人のけんか>
ガザ国境での衝突はまさに大人の喧嘩にみえる。ガザのパレスチナ人が、イスラエルの”陣地”に忍び込んで、紛争で死亡したパレスチナ人の写真を立てて戻ってきて喜ぶなど、まさに命のかかった鬼ごっこである。イスラエルとしては、まったく迷惑な話としかいいようがない。
世界は、喧嘩の原因は、イスラエルのガザ包囲が原因だと非難するが、だいたい、ガザからの攻撃がなければ、合理的なイスラエルが、ガザの包囲のようなお金のかかる無駄を続けるはずはないのである。ハマスが先に攻撃をやめないかぎり、イスラエルが先に包囲を解くことはない。
一方、ハマスはガザの支配権を握ってから12年。すべてを犠牲にしてイスラエルと戦ってきたのであるから、今更それをやめるわけにはいかない。ガザの住民は、今更イスラエルと戦っても「帰還」などありえないことを知っているが、彼らには、今はそれ以外にすることすらない。要するにハマスの方でも、戦っている目標がはっきりしない戦いなのかもしれないが、今更やめられないのだろう。
西岸地区では、テロに対してテロでやり返すという憎しみと暴力の応酬が続いている。
大部分のユダヤ人入植者は、隣にいるパレスチナ人との平和な交流を願っている。パレスチナ人もユダヤ人の工場で働いて安定した暮らしをすることを喜んでいた人も少なからずいた。しかし、双方に過激な者たちがいて、殺し合いをするので、大多数の人々は、互いに仲良くしようとしても引き裂かれてしまうのである。
要するに、一握りの過激派が大部分の人々をふりまわしているということだが、この問題は、年月が経って、いまや卵が先か、鶏が先かというレベルになってしまった。もはやだれにも解決できない問題である。
人の命がかかっているだけに、大人の喧嘩は、実にやっかいである。