イスラム主義国からのクリスチャン難民を助けるイスラエルのメシアニックジュー 2018.10.21

イスラム主義国では、クリスチャンであるというだけで、迫害を受け、信仰を放棄しない場合、拷問を受けるなどして難民になるケースが多い。

こうした人々に直接会うことはなかなかないのだが、記者の友人でイスラエルに在住するユダヤ人ビリーバーのロッテム姉は、アラビア語を学び、時々現地に行って、これらの人々を助ける働きを行っている。イスラエル人としては非常に勇気のいる働きである。

そのロッテム姉が、今特に支援を呼びかけているのが、あるイスラム主義国から逃れ、第二の国で難民として第三国に移動することを待っているベンジャミン(仮名)兄(30)である。

ベンジャミン兄は、祖国で救われてから当局に捕まり、投獄され、ひどい拷問を受けた。釈放後に第二国に逃亡。今は、難民キャンプで、現地の牧師とともに献身者として難民支援と、福音を伝える働きをしている。

ロッテム姉は、そこでベンジャミン兄に会い、その働きを共にし、今は息子のように思っているという。

ベンジャミン兄は今年夏、同じ祖国から信仰のために難民となった姉妹と結婚した。その時、結婚式を行うために、仲間の難民たちからお金を借りなければならなかったという。ロッテム姉は、この若い献身者も負債を解消するとともに、次のステップへの支えをしたいと考え、自らもアラビア語教師として彼を雇って支援しつつも、協力者を探すことにしたという。

記者はベンジャミン兄を直接知っているわけではないが、ロッテム姉はよく知っている。彼女は、イスラエルの教会では子供を教え、熱心に教会に仕えながら、アラビア語をマスター。

イスラエルのユダヤ人であるにもかかわらず、アラブ諸国を含む海外に出かけて行って、宣教師たちを助ける働きをしている。イスラエルの教会でも信頼されている姉妹で、これほど信頼のできる姉妹はいないと思っている。

記者は、ベンジャミン兄を支えるロッテム姉の働きを支えたいという思いで、彼女のプロジェクトをオリーブ山便りにとりあげることにした。以下のサイトから簡単に送金は可能。手数料は、送金者自身が決められるシステムで、献金自体は100%ロッテム姉に、そしてロッテム姉は100%、ベンジャミン兄に送金する予定だという。(プロジェクト期間10/16-12/17 2018)

ベンジャミン兄に証に加えて、ロッテム姉自身からのビデオレターもあるので、ぜひサイトを開いてみてくださればと思う。

chuffed.org/project/let-him-know-we-care

<ベンジャミン兄の証と祈り(訳・抜粋)>

ベンジャミン兄は、厳格なイスラム主義国で、成功したビジネスマンだったが、酒や女性におぼれ、すさんだ生活をしていたという。ある時、アメリカ人クリスチャンに出会い、彼らの家で飲んでいたところ、聖書をがあるのを見つけて開いてみた。山上の垂訓(マタイ5−7)の箇所だった。

ある夜ワインに酔って寝ていたところ、夢にイエスが現れて「私についてきなさい」といった。それで上記アメリカ人の友人のお父さんからイエスが何者なのか聞いた。

イエスは罪から解放する者であると聞いた。イスラムが人々をクリスチャンから遠ざけているということは、サタンが私たちを光から遠ざけているのだと悟った。

それから聖書を読み始めた。2000年前のことであるのに、今現在のことを語っているかのうようだった。これはいくらよんでも理解できないコーランと大きく違っていたという。

またイスラムの神は怒っていて、イスラムを憎む者を敵とみなし、天国へ行くには聖戦を戦って敵を殺さなければならないと教えるのに対し、聖書によると神が、どれほど私を愛してくれているのかが語られていた。やがてそれを理解するようになった。

ベンジャミン兄はイエスを信じて救われ、地下教会に通い始めた。やがて家族友人にそのことを知られ、当局に逮捕された。「お前はクリスチャンか」と聞かれた。「そうだ」と答えると、「だれにそれを聞いた」と聞かれた。

「フェイスブックからだ」と答えたが、仲間の居場所があるはずだとして、独房に入れられ、白状するよう、拷問された。もちろん白状しなかったが、16日目に釈放された。知り合いが当局の知り合いだったからである。

釈放されたのち、2015年の10月に祖国を離れ、第二国で難民となった。難民として国連に登録し、第三国に移送される日をまっているのだが、3年たってもまだその日は来ていない。

しかし、その第二国で、ベンジャミン兄は今、その国の牧師とともに、非常な貧しさの中で、同じ境遇の難民を助け、福音を宣べ伝える働きをしている。この7月には、同じ祖国からクリスチャンとして難民になった姉妹と結婚もした。

ベンジャミン兄は、世界のクリスチャンに向かって次のように語っている。

”一番伝えたいことは、聖書はコーランと正反対ということ。聖書に何が書いてあるのか注意深く読み、理解し、それについていくこと。そうするとき平安があり、神の御手が私の上にあるというのが、父なる神の約束です。

イエスは、たんに天国へのパスポートと永遠の命を与えただけではありません。私たちの罪を取り除いただけでなく、加えて義の衣で覆ってくださっているのです。

私は、これまでの歩みとめぐみ、祝福に感謝しています。私には値打ちはありません。ただ十字架だけです。

兄弟姉妹たち。イエスから目を離さないようにしてください。イエスこそ私たちを罪から救い出し、サタンの悪から解放してくださるお方です。どうか強くあってください。主が共にいてくださるからです。

みなさんが世にあって塩であり、光であることを祈ります。世界がそれで平和になるからです。

それから、恐れないでください。警察に逮捕されたとき、とても怖かったです。それで祈りました。「主よ。あなたのみこころなら私を助けてくださいます。あなたご自身を現してください。あなたこそ真の神だから、囚われ人を助けられるのです。」そうして16日で釈放されたのです。

すべての兄弟に言います。信仰があるなら、イエス様があなたを愛し、すべてのしばりや圧政から解放してくださると、主に信頼してください。

祖国から離れて悲しみ、閉じ込められ、難民となっているすべての人を、愛します。主イエス・キリストが、あなたの心に慰めと癒しをもたらしてくださいますように。そうして、あなたが王の王、イエスとともに喜びと平安のうちに生きることができますように。

最後に言います。父なる神はあなたを永遠の愛で愛しておられます。”

私たち平和な国にいるものには、想像もつかない苦難の道を通っている人だけに、彼のいうことには力がある。英語が読める方は、ぜひサイトの本人による証を読んでみられたし。

彼を通して、中東アラブ諸国にいるクリスチャン難民と彼らの間で働いている働き人を覚えてお祈りいただければ幸いである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。